空白
道を歩いている。コンビニからの帰り道。
ふっ…と
自分の周りから「現実感」が無くなっている事に気付いた。
年に何回かある状態だ。最近は特に。
視野が狭くなる。
呼吸が速くなる。
軽い目眩が襲ってくる。
すぅっと。フェイドアウトしていく感覚。
落下でも上昇でも無い妙な肌触り。雑踏の音も消えている。
「俺は生きているんだよな?」
自問自答。結論無く。
ぐっと拳に力を入れてみる。掌に食い込む爪。痛い。
痛みで判る己の「生」、非常に脆く、細い。
「今此処二有ル物総テガ永イ夢ダッタラドウシヨウ。」
考えても結論など無いのに考える愚かなる思考回路。
それでも明日はやってくる。俺が居ようと居まいと。
多分、日は昇るし沈むのだろう。
唯、俺が「全く感じる」事が出来無くなるだけで。
唯一、言える事。
まだ、俺は生きていて、モノを「感じる」能力が鈍っているだけで。
「いくらでも立ち直れる」。それだけで、幸せなんだ。って事。