「雨の日の密かなる楽しみ」
不快指数の決め方は
「100人、バイトを並べて立たせて、何人が「今日でこのバイト辞める」って言い出すかの人数。」
とかキミは言い出した。昼飯を食べながら週末の正午が近付く。
雨はシトシトと僕たちの「たまの休み」をあざ笑うかの様に降り続いていた。
天気予報は傘だらけ。ぞれは絶望的に全国で咲いており、週間的にも横並びだ。
つまり
今日の間に日の光を見る事なんて無いって事、確定。
冒頭の彼女の発言は天気図を見た当たりでの「迷言」だった訳で。
裏返せば、普段、人の発言を捕まえては「つまんない事言わないでよ」と鼻先で笑うコイツにココまで
言わす位、「恨めしい」事だったらしい。
カレンダーに付いた丸印。ボールペンで殴り書き。
一言、「うみ」と。
1ヶ月ぶりに二人で居られる日がコレなんだから、まぁ、何となく神様を恨むコイツの気持ちが判らなく
も無い。
「傘をさしても海は見れるけど？」
「つまんない事言わないでよ。」
いつものセリフだけど「鼻先で笑う」が抜けている。
おぉ、怖。
「雨の午後ですよ」。国営放送の時報が教えてくれる。特に何の予定も「無くなった」二人。
コイツには悪いけど、俺はこの状況を楽しめる様になっていた。
のんびり。まったり。居ても鬱陶しく無く、喋らなくても間の保てる絶妙の距離感。
「次はいつ休みが取れるんだっけ？。」
「…何よ？。」
まだ海と太陽が諦めきれないらしい。
「…土日となると。。。来月かな？。まだ解んないよ。」
「じゃ、今日の所は…。」
「うん？。何？。」
「来月の予定でも立てますか。」
「…つまんない事言わないでよ。」
鼻先の笑み、復活。
これが愉しみだと言ったら、コイツは怒るんだろうか？。