夕立
さっきまでの街の喧騒はどこに行ったんだろう。
背景がいつのまにかモノトーンの色へ変わっている。
蒸気とも思える、風。
地鳴りの様な音。天から響く。
そのうち、光る。響く。落ちる。
狂風と共に水、迸る。圧倒的な光景。
いつも思う
「全部洗い流されるんじゃないか、この街」
大掛かりな映画のセットを見るかの様に
俺はどうしようも無い事を知っていて
「他人の視線」をこの嵐に向ける。
自分の中にこれに似た「嵐」が有る事は
「ある事件」をキッカケに発見された。
迸り、うねり、荒れ狂う、嵐。
そこでも、「成すべき事無く立ち尽くすだけ」の俺。
永遠に続くかと思われるこの「不安定な大気の産物」は
本物の夕立の様に
消え去る事は有るのだろうか。
あくまで、「傍観者」な自分に
何かする事は有るのか。