錆
ぎしぎし。
?
音がする。
ぎしぎし。
何時からだろう。
耳障りな音。
頭から聞こえている様な
関節からの様な。
ぎしっ。
体のどこかが
錆びているのか。
それとも空耳なのか。
いや、聞こえる。
確かに、聞こえる。
確実に訪れている
死への足音なのか。
それとも、
何かの悲鳴なのか。
俺には俺の
「声無き声」を理解できる程
経験が積もっていないから、
気付いた頃には
手遅れかもしれない。
それもまた
人の運命かも知れず。
運命は手遅れになった物には
非情だ。
ぎしぎし、みし。
結局、俺はこの耳障りな音と
共に存在するしか無いのだろう。
止め方など
知って居る者などいないのだろうから。
ぎしっ。