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「酷い暑さ」



 酷暑と書こうとしたけれど、日本気象協会が独自でつけた気温四〇度以上の「酷暑日」という呼称に、気持ち的に遮られた気分である。四〇度を超えなくたって、酷暑と感じるくらいの暑さが続いている。なんというか、もう世も末なのか、と思ってしまうが、もし世の末に立ち会えたとしたら何をするであろうか?と考えてしまった。やっぱり家族で仲良く、畑をやりながら、サッカーを見て、ギターを弾いて、ということを選ぶのだろうな。地球滅亡の日に電気がまだ使えるかどうか想像もつかないけれど、その時に連れ合いは洋裁をするのだろうか?

 あまりに暑いので、頭もおかしいのかもしれない。去年は、9月になっても最低気温が26度、最高気温33度以上の日が続いた、と書いている。今年は7月初旬で最高気温が35度弱の日が続く。静岡市は昨日40度を記録したとメディアが騒いでいた。不思議なことに、暑い日が続くとすっかりカラダも慣れてきて、働けばお腹はすくし、人のカラダはすごいものだなと思う。ただ、カラダとしては疲れはじんわり浸透しているようで、仕分けしていると眠気がすぐに襲ってくる。よく寝た、と思ってもすぐに眠くなるのである。

 静岡市が40度でも、隣の清水では33度であった。海の近くはやはりいくらかマシだ。ここの辺りも海の近くであるから、気温はそこまで上がらないはずなのだ。畑では、ナスの樹が大きくなりだしたので、ニジュウヤホシテントウの繁殖期の季節である。しかし、毎日、ニジュウヤホシテントウの成虫や、葉の裏の産卵を少しだけしか見つけられていない。蚊でもそうだけど、夏の虫の多くは25度から30度の気温が虫の活発さを発揮できる最適温度のように思う。もちろん虫によっても違うだろう。このままニジュウヤホシテントウが繁殖しないでいてくれたら、僕の仕事も減らせるのだけど…。気候の変化は、生態系の変化へと繋がっていくのだろうか?

 一方、ナスの樹には、去年くらいからカタツムリの小さなタイプのものがたくさん付くようになっている。ニジュウヤホシテントウを探す時には、ナスの葉の食害あとを見つけることが最初の一手である。僅かな食害あとをみつけて葉の裏側をめくってみると、ほとんどがミニカタツムリの仕業であることがわかる。カタツムリも、ミニタイプになると気温が高くても大丈夫なのかな?

 この時期の夕方の時間は、ナスおじさんになって虫退治するわけだが、その作業をしている時にはあまり暑さを感じない。人間のカラダが何かを変えるのか?ただ単に暑さを忘れるだけなのか、それとも夢中になっている時には神経の感じ方が変わるのだろうか?人間は人間自身のこともまだまだ解明されていないのだろう。

 この先、いつまでこの暑さが続くのか?と考えると怖いくらいだ。どんなに暑くても、時間はきっちりと流れていく。何事もいつかは終わりの日が来るのだ。ニジュウヤホシテントウ退治にだって、毎年終わりは確実にある。やりきることは満足感を伴って健康によい。酷い暑さ過ぎて、健康どころか、生きていられたならラッキーである。

2024年7月8日




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