20120107 古典技法もどき 

 ここのところ、油彩画の古典技法を勉強したいと思っている。
 好きな画家の筆頭がアングルだから、自然な成り行きかもしれない。
 参考にしているのはJoseph Sheppard著『HOW TO PAINT LIKE THE OLD MASTERS』という本。邦訳本もあるらしいのだが、私がこの本の存在を知った時には、既に絶版だったらしい。よって、英語の理解力の低い私は辞書片手に一生懸命読むことになる。できれば邦訳本が欲しい。
 もっとも、カラーの図版があって、それに解説が付いているのだから、ある程度は推測できる。多少は油彩画の専門用語を知っていないと、ちんぷんかんぷんかもしれない。
 その中の「TECHNIQUES OF TITIAN」を特に参考にしている。最初の方にあったというのもあるし(後の方まで読み進めるのは一苦労でして……)、図版を見てる限りでは、最も解りやすそうだったから。
 私なりに解釈した限りでは、
 @ 白と黒のモノトーンで出来る限り形と立体感を描く。
 A 下の色が透けて見える程度にまで薄く溶いた絵具を何層にも塗り重ねる。その時、下に描いたモノトーンの明暗が透けて見えるようにする事で、下のモノトーンが活きる。また、下の明暗によって、上塗りの明暗の調整もしやすいのではないか、と思う。
 という手順で描くのだが、やってみた限りでは、個人的にはなかなか描きやすいのではないかと思う。
 この本では、「ブラックオイル」なる油を使用しているのだが、私には作れそうにもないし、一部で市販されているという話も聞くのだが、見たこと無いので、別の油で代用するしかない。 

 問題は何層も描き重ねる、という点であり、一層を塗って乾いたら次の層を、ということに尽きる。とにかく時間が掛かってしまう。
 前述の通り、「ブラックオイル」が手に入らないので、ブラウンシッカチーフを使ってみた。使ったのはクサカベのもの。絵の具に対して10パーセント以下で混ぜて使う。量を混ぜすぎると、亀裂が入ったり、縮緬皺が寄ったりしてしまうらしい。
 それに、成分表を見ると、金属塩以外は揮発油ばかりなので、接着力は期待できそうにもない。下塗りに少し混ぜるのならばともかく、上塗りには使えそうにもない。
 というわけで、ブラウンシッカチーフ1対リンシードオイル1対テレピン1くらいで混ぜたもので絵の具を溶いて使ってみた。接着力はこれで何とかなりそう。で、光沢も出る。何よりも、真冬でも一晩で可触乾燥状態にまで進む。とはいえ、ブラウンシッカチーフの量は重量比で確実に10パーセントを超えている。30パーセントくらいにまで行っている可能性もある。厚塗りはしていないから、皺も入りにくいのではないかと思いたいのだが……。
 作品についてだが、昨年(2011年)に三軌展に出品した『Re-Birth』と2012年に出品する予定の作品(2012年1月現在、制作中)がこの技法で制作したのだが、シッカチーフし一切使っていないので、ちっとも乾いてくれなかったし、乾いてくれない。
 2012年初頭に完成した『蒼の天使』『朱の天使』はシッカチーフを大量に使用したので、素早く完成。描きはじめから完成まで2枚で16日。制作をしなかった日もあるから、個人的にはこれは驚異的である。薄塗りをしているので、特に悪い影響はないと思いたい。この先、どの程度の時間でどんな影響が出るのか観察もしていかなければならないだろう。はてさて、どうなる事やら。

 三軌展に出す予定の現在制作中の作品は地塗りから下塗りまでシッカチーフをはじめとした乾燥促進剤を使っていないので、この期に及んで使えないかな、と思う。
 賭で使ってみるかな。

 古典技法については、まだ勉強しなければならないことが多すぎる。なるべく堅牢な画面を作りたいもので。
 現在使ってみているこの技法だって、正確には古典技法だかどうだか解らないので、今回は「もどき」付きである、というオチ。