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9月19日 ヤミ金にご注意

 昨年の出資法の上限金利引き下げ(40.004%→29.2%)と前後して、ヤミ金融業者(ヤミ金)が増加しているようです。

 利息制限法はおろか、貸金業法(出資法)の上限金利すら守らないヤミ金の代名詞は「トイチ」(10日で金利1割=年利365%)でしたが、最近は「トイチ」などむしろ良心的(?)なヤミ金業者で、「トヨン」(10日で金利4割=年利1460%)、「トゴ」(同5割=年利1825%)などが主流になっています。

 彼らの狙うターゲットは、ブラックリストに載ってしまい、通常のサラ金からは借りられなくなった多重債務者。とりわけ、破産宣告を受け、免責決定を受けた人がカモにされます。ブラックリストがヤミで売り買いされているのでしょう、破産宣告直後から大量の勧誘ダイレクトメールが届くのです。

 まあ、破産宣告を受けて懲りたはずなのに借りてしまう債務者も債務者ですが、ここで誘惑に負けて借りてしまうともう破滅寸前です。何しろ一度免責決定を受けているため、10年間は再度の免責決定は受けられません(最近、東京地裁では例外的に認める運用をしているようですが)。これがヤミ金業者の狙いでもあります。いくら苦しくとも、破産→免責という切り札がもはや使えないために、絶対に返さなくてはならないからです。

 最近、クレジット・サラ金法律相談でも、過去に破産宣告・免責決定を受けているのに、ヤミ金からまた借りてしまい、にっちもさっちもいかなくなって相談に訪れる方が増えているようで、私なんぞも当番に当たるたびにそのような相談者を担当させられるのですが、正直言って弁護士にとっても解決の幅が狭まるため、余り受任の意欲が湧く事件ではありません(と、文句を言いつつ結局引き受けて苦労していますが)。

 このような違法金利を取る行為は明確に刑事罰の対象になっているのですが、警察も実際にはなかなか摘発してくれません。また、監督官庁も人手不足で監督の実効性は上がっていません。また摘発しても、刑事罰が軽すぎるため、何の抑止効果も生まないようです。

 違法な高利貸しが利益を得るような社会は近代国家とは言えないような気がしますが、もう少し何とかならんもんですかね(被害対策弁護団の活動だけでは限界がありましょう)。

 本日の弁護士会のクレサラ弁護研修を受講していて思ったことでした。

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