ガサラキ感想_GASARAKI
 


◆本放送終了から既に久しく時代が流れ、あれよあれよという間に早数年。今年2003年を迎えてなぜかオフィシャルサイトが立ち上がる。期待を胸にちょくちょくサイトを訪れるが、な〜んも更新されん。おまけにBBSは閉じられちゃうし、なんの為のサイトなんだか。要はサンライズが有料ダウンロード商品で小銭を稼ぐ為のサイトなんかい? 恐らく疑う余地なくそうなんでしょうね。がっくし。

◆それはそうと私もこのサイトを立ち上げてから数カ月……、なんのリンクも貼っていないのに心暖かい方々の来訪をお受けるものの、その割りにやっぱ何の更新もしておらん…。ぎゃふん。すんません。苦し紛れ? にこんなコメントページ作ってみたり。いえ、苦し紛れじゃありませんよ〜。


■小説版ガサラキ 感想■ 2003.07.04 UP


高橋「ガサラキ」と野崎「ガサラキ」

◆TVシリーズも26話を除けば(除いちゃうんだ…)すっごく好きでしたが、こちらの小説版も面白いですね。
◆小説版は話の全体的な流れはTV版に沿ったものなんですが、微妙に…というか割と細かなところでも野崎テイストが出てましたね。それにやっぱり野崎氏は日本語がうまい! 日本語大好きなんでしょう〜ね〜。かく言う私も日本語大好きです。本筋から話は逸れますが、最近のアニメやマンガのメディアミックス的なノベライズものは、もう思いっきり日本語が下手クソで話が面白い面白くない以前に日本語が崩壊している! ドカーン、バキーンとかの擬音ばっかで、読んでいて思いっきり興味が削がれちゃう。どうにかして欲しい!
◆話を小説「ガサラキ」に戻しますが、この小説版というのは、高橋アニメの「ガサラキ」から少し離れ、野崎小説の「ガサラキ」というものが強く出ている感じ。野崎さんは野崎さんで、高橋監督の目指すガサラキとは別に描きたいもの(……というか、本流とは別の支流で表現したかったのでしょうか?)があったんじゃないでしょうか? 高橋アニメ「ガサラキ」を単純に補完している意味もあるんでしょうが、全体的に流れる雰囲気がもっとキャラクター側に寄っているように感じます。正直に言えばアニメのユウシロウは少し厚みが足りなかった(彼自身の人と成りを描く時間が足りなかったというか、バックボーンを描くだけで終わってしまったかな…と感じます)――結局はTVアニメ全体を通して足りなかったのは、ユウシロウとミハルの心の揺らぎの表現だったとも言えますが。
◆お二方とも目指したものは恐らく一緒なんでしょうが、その「表現したいもの」へのアプローチが違っているんだと感じました。高橋監督は世界観を見せていく事で。野崎氏はキャラクターを掘り下げていく事で。
◆もちろん、ガサラキの世界観には野崎氏の直接的な表現が強く表れていましたが。(なんたって世界観の多くを築いたのは野崎氏ですからね…)

◆よりどちらの「ガサラキ」が良いって事はないですが、あらゆるガサラキを鑑賞してこそ、さらに「ガサラキ」が楽しめる事は確かですね。(否、あらゆるものは見てないですが…)

見どころはズバリ……!

◆さて、大変前置きが長くなりましたが……
◆この小説版の醍醐味はなんと言ったって、第2巻の「平安時代偏」でしょう!!! TV版と多少話が違っていますが、小説版はさすがに1冊丸まる平安偏なんで、濃くて面白いです。もちろんTV版の平安偏も好きなんですが。なんたって三富が! 三富が!!(大興奮!)
◆か〜わ〜い〜い〜! んがしかし、可哀想! もうユウシロウはミハル一筋だしね〜。完璧に三富に入り込む余地なし! ぎゃ! だからこそ三富が可愛いんだけど! でも三富のあのシーンはすっごく切なくて悲しかったな〜。野崎のイジワル!
◆それにしても一清(綱)の冷徹さは恐い〜。あんた鬼か! いや絶対に鬼だ! しかしTV版の一清のラストはそりゃないでしょ〜という感じですが。どうですか、ドラマCD版も一清さんはああですか? どうなんですか? やっぱり買った方がいいんでしょうかね?

鏑木大尉に敬礼!!

◆そして! 鏑木大尉ファンのワタクシとして絶対に布教しなくてはならないのは、安宅×鏑木! マジですよ〜! あの微妙〜な関係がいいのよ〜! それにしても安宅は完璧すぎよ! あんなイイ女はこの世にいねえ。頭が良くてざっくばらんで誰にでも慕われるお姉さんでおまけに声は高山みなみだと〜〜〜〜! 否、安宅は高山嬢が声を当てたからこそのキャラでしたね〜。あの存在感。さすがです。
◆んで、小説版の二人の関係はTV版のさらに上を行きます。ラブいんですよ。あの鏑木大尉がしおらしい!素敵! 安宅ばんざい! しかしTV版の二人も捨てがたい! いや捨てらんねえ。なんたって咄嗟に「安宅!」「鏑木!」――普段のストイックな関係はどこへ行ったの〜〜? ラ・ブ・い! 最早収集がつかなくなっておりますが。世の安宅×鏑木派の諸君、今こそ立ち上がるんだ! 私の為に!(は?)





■小説版ガサラキ 感想2■ 2003.08.01 UP


ガサラキのうまさ

◆前回の小説の感想が個人的に片寄り過ぎているので、もう少しきちんとしたものを……。

◆小説に限らず、「ガサラキ」という作品のすべてのメディアに言える事ですが、まず良くないなと感じる点を挙げるとすれば、物語そのものが難し過ぎて、しかも最後はどうしても画竜点睛な感が否めないですが…。率直に言えば、設定の真新しさはすごくよく感じたのですが、いかんせんラストがよろしくない、という事です。
◆しかしながら作品のクオリティーはものすごーく高く、「良いアニメ」で「好きなアニメ」だと声を大にして言いたいです。そして「面白いアニメ」です!

◆現在までに出し尽くされてきた感のあるロボットアニメ界において、「能」という科学的なものとは対極を為すものを、科学技術の塊であるロボットと融合させる事で、本当に新しい感覚のアニメが作られたと思います。単純に「かっこいい」と感じました。ロボットものとなると大抵は「科学戦隊」的なイメージが先行しやすくて、(言ってみれば「エヴァンゲリオン」もそのカテゴリーに入ると思いますが…)――似たり寄ったりが多ございますが、「ガサラキ」はうまい事やらかしてくれました!
◆面白いと思わせるものは、つまり単純に言ってしまえば、「意表を突く」事です。能+ロボットと聞いて「アレ?」と思わない人はいなかったと思います。うまく意表を突いてくれましたよ、ええ。能楽のお囃子(?)が聞こえてくるだけで、今迄強く触れた事のなかった音に引き込まれていきましたもん。それに小道具も面白い。「石舞台」とか「傀」とか「骨傀」とか。
◆それになにより「ロボット」そのものがカッコイイ! どうしてもアニメロボットは「ガンダム」色が強くなりがちですが、見事にそれを払拭し、結果、ガサラキに登場するTAはオリジナリティ溢れる、すごくリアルなロボットとなりました! 「ウィーン、ガション!」という作動音がよく似合う! ロボット好きにはたまらんです。LDなんかに添付されているリーフレットを熟読すると、TAとイシュタルのデザインの相違、対照的な感じが分かって面白いです。

アニメ VS. 小説

◆んで、上記な感じを踏まえつつ小説の感想をば…。

◆おおよそは前回の日記に書いた通りですが、さらに詳細な感想を申し上げますれば。――やはりアニメ作品のノベライズですから、アニメ版との比較は絶対に避けて通れぬのもですな。
◆アニメのノベライズだからって、アニメと全く同じ流れでただつらつら書いていくだけじゃ、小説という媒体であるからこその魅力・メリットは減少し、アニメの「動き」のリズミカルさを殺してしまい、デメリットが多くなってしまうものです。つまり小説は「静」の魅力、アニメは「動」の魅力がそれぞれ強く、対照的なものだと思うわけです。
◆野崎氏はその違いをよく分かってらっしゃる! あえてアニメとは違ったエピソードを含ませる事で、小説としての面白さを強くアピール出来ているなと思います。大筋はアニメと一緒ですが、美鈴が静脈流に来て、ミハルと接触してみたり、乃三郎お父ちゃんは総代のままであったり、ベギルスタン派遣後のTA中隊の動きの違いであったり…。結構細かい所は随所で違います。違いは違いで面白いと思いました。

◆それにキャラクターの描写が細かい。丁寧に書かれています。その分、キャラ自体の厚みが増し、ユウシロウの魅力が生かされていました。(アニメのユウシロウは少し大人し過ぎて、何を考えているのか分かりずらかったです…)それに平安偏とリンクして前世、今世の両方のキャラクターが出てくる事によって、それぞれ厚みが増して良かったです。

◆そ、それにしても平安偏のユウシロウとミハルって……!!!! まあ、そりゃ、そうだわな。いや〜現代版の二人がストイックだからあんまり気にしてなかったんですけど、あんだけ愛しあってるんだから、そうなるわな〜。挿し絵がなんとも…。
◆どうぞチェックしてくださいよ!

ラスト

◆ラストはアニメも小説も……!

◆ああいうオチは好まれませんよな。まあ、私もど〜よ、って思うし。ただ、小説の方はきちんと伏線が説明されたので、言いたい事はよくよく分かりましたし、まだいいかな、とは諦めが尽きますが。
◆ただ、今迄の伏線の結果が宇宙人襲来ってのはいいんですが(なんつー適当な表現だ)もっと、きちんとそれを描写して欲しかったです。ああいう精神世界ってのはテキトーにやっちゃうと面白くない。やるんだったらもっと明らかにスゴイものを! 圧倒されるくらいの勢いが必要です! TVも小説もどっちもナアナアで終わっちゃった気が否めない。精神の流れではなく物語が欲しかったです。