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鳳凰木(ほうおうぼく)

 

卒業式の花

 日本語では正式には鳳凰木(ほうおうぼく)と言うが、火炎樹(かえんじゅ)と俗称されることもある。鳳凰木はベトナムでは南北を問わず見ることができ、5月から7月にかけて真紅の花をつける。このハデな色のため、火炎樹の別称がある。

 数は多くないが街路樹として植えられているほか、学校にも植えられていることもある。ベトナムの学校は9月にはじまり6月に学年が終わるので、鳳凰木の咲く頃が卒業式の季節である。日本の入学式と桜の花ほどの深い関係ではないが、ベトナムで卒業と鳳凰木が相互連想されることもある。

 鳳凰木の花はベトナム語では「ホアフオン」とよばれる。ホアは花、フオンは漢字で「鳳」であるから「鳳凰の花」といった意味で、日本語の鳳凰木と同じ言い方である。

ぶらさがる黒ヘビ

 鳳凰木は19世紀の初めにマダガスカルでヨーロッパ人植物学者によって確認されて以降、世界の熱帯各地に広まった。したがってベトナムに持ちこまれたのも比較的新しい。日本では沖縄で見ることができる。

 木の高さは8mにもなり、かなり大きな日陰をつくる。葉はタマリンドと似ていて、細かい葉がたくさん集まっている。花が満開のときの鳳凰木はなかなか見映えがするが、花を近くで見ると痩せ細っていて美しくない。しかし花は高いところに咲くので、近寄って見る機会は実際には少ない。

 7月が過ぎて花が散ると、8月から9月にかけて、長さ50センチにもなる大きなサヤがぶらさがる。鳳凰木はマメ科の木で、このサヤのなかにマメが入っている。サヤははじめ緑色だが、やがて黒色になる。緑の葉と真紅の花が美しいのにたいして、花が散ったあとの鳳凰木にはたくさんのサヤが黒いヘビのようにぶらさがりグロテスクである。

数ミリの可食部

 サヤが緑色のうちにとると、なかのマメを食べることができる。サヤは高いところにできるので、木に登ってとる。このサヤを自動拳銃の弾倉にみたてると、マメは弾と同じように横向き等間隔に並んでいる。サヤはかなり頑丈にできているが、力をこめればちぎって細長いマメをとり出すことができる。さらにこのマメを爪で割って、やっと中の微小な可食部分を手に入れることができる。

 半メートルにもなる巨大なサヤに比べて、可食部分は長さ1センチあまり、幅数ミリと小さく、やっと指先でつまめるくらいである。かすかな甘みがある。同じマメ科で鳳凰木に似たタマリンドの実が食用として有用なのにたいして、鳳凰木は労力に比べて得るものがあまりに少ないので、食用としての用途はない。

 

 

【ベトナム語】(ホアフオン)

 

 

花は痩せていて、近くで見ると見映えがしない。鳳凰木は遠くから見るもの。

 

【日本語】鳳凰木(ほうおうぼく)、火炎樹(かえんじゅ)

【英 語】flame tree, flamboyant, poinciana

【学 名】Delonix regia またはPoinciania regia(マメ科) 

 

サヤをちぎってマメを取り出したところ。食べられるのは、さらにこのマメの中心部にある小さな部分。

 

【参考資料】

 Hoi dong Quoc gia Chi dao Bien soan Tu dien Bach khoa Viet Nam, Tu dien Bach khoa Nong nghiep, Ha Noi, 1991.

 William Warren, Periplus Nature Guides, Tropical Flowers of Malaysia & Singapore, Singapore, 1996.

 

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