（トントン）
耕一「耕一ですけど・・・」
千鶴「耕一さん、どう・・・あっちょっと待ってください」
『部屋の中からバタバタと音が聞こえるけど聞かなかった事にするのが礼儀だろう（苦笑）』
（ガチャ）
千鶴「さっどうぞ」
耕一「おじゃましま〜す」
千鶴「なにか御用です？」
耕一「その、親父の墓の場所教えてもらいたくて」
千鶴「えっ叔父様のお墓？」
耕一「うん、鬼の力も制御できるようになったし、千鶴さんに親父の事いろいろ聞いて自分の気持ちを整理したくてね」
千鶴「そうですか・・・」

千鶴さんは館山の山奥の寺に親父の墓があることを教えてくれた。

翌日朝食の後。
初音「お兄ちゃん、今日は何して遊ぶ？」
耕一「ごめん。俺、今日出かけるんだ」
初音「えーっ。どこに行くの〜？」
耕一「ちょっとね」

二人の会話を見ていた千鶴は困惑気味な顔をしていた。

耕一「なんて山奥だ・・・」墓のある寺まで来た耕一はぼやいていた。
耕一「で、どれが柏木の墓だろう・・」「誰かに聞いてみるか」
社務所に行って柏木家の墓はどこかと聞いたら親切にもそこまで案内してくれた。
耕一「ここに親父が・・・」

耕一「千鶴さんに聞いたよ。親父がお袋やオレから離れたのは鬼の力に巻き込まないためだって」
　　　「仕送りとかも親父からだったんだな。」
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千鶴「耕一さんはどこかしら」「あっいたいた」「見つからないようにしなくちゃね」

耕一「オレも鬼の力が出たよ。でも、制御できるようになったよ」
耕一「親父の変わりに梓や楓ちゃんや初音ちゃんをこの力で守っていくよ」
千鶴「耕一さんったら私は守ってくれないの！」
耕一「それから千鶴さん」
千鶴「えっ」
耕一「彼女は今まで四姉妹の長女としてや鶴来屋の会長としていろいろ苦労してたと思う」
　　「親父みたいに包み込む事は出来ないかも知れないが、そんな千鶴さんの側にいて支えて守っていきたいと思う。」
千鶴「こっ耕一さん・・・」
（ガサッ）
耕一「誰かいるのか？」
千鶴「すみません。私です」
耕一「ちっ千鶴さん、居たんですか」（ちょっとあせってる）
千鶴「耕一さん、私を守ってくれるって本当ですか？」
耕一「えっ」
千鶴「どうなんです。叔父様の前ではっきりしてください」
耕一「えーっと、コホン」「愛する千鶴さんを命がけで守ります！」
千鶴「耕一さん！」
（バッと飛びつく）
顔を見合わせキスする二人
千鶴「でも・・・」
耕一「ん？」
千鶴「本当に命かけないでくださいね。耕一さんがいなくなったら私・・・」
耕一「愛する千鶴さんを悲しませると思う？」
千鶴「いいえ、思いません」
耕一「親父、心配かもしれないがオレ達のこと見守っていてくれ。みんなを幸せにしてみせる」

耕一「そういえば千鶴さん、仕事はどうしたの？」
千鶴「あっお昼休みに抜け出してきたから戻らないと・・・」時計を見る「キャーもう時間が過ぎてる〜」
バタバタと走り去る千鶴を見ながら微笑む耕一だった。
耕一「親父、また来る。今度はみんなで墓参りに来るわ」

その日の夕食後。梓や初音も片付けが終わって居間に集まってる。

耕一「みんなちょっと話がある」
梓　「なんだよ話って」
耕一「実はオレと千鶴さんは付き合ってる」

梓　「ぶっ」飲みかけのお茶をふきだしたようだ
楓　ちょっとびっくりした顔をしている
初音　耕一と千鶴の顔を交互に見ている

梓　「耕一本気か！こんな胸の無い不器用な偽善者と付き合うなん・・・」
千鶴「ア・ズ・サちゃ〜ん。今なんて言ったのかしら〜」
顔は笑っているが千鶴さんから『ゴゴゴゴゴ』という効果音が聞こえそうだった。まわりの空気が３度ほど下がった気がした。
梓　「あっいやその・・・美人でやさしいお姉さまと付き合えるなんて耕一は幸せ者だなぁ〜と」
千鶴「あらそう。ありがとう梓ちゃん」
初音「千鶴お姉ちゃんと耕一お兄ちゃんが付き合うってことは耕一お兄ちゃんが本当のお兄ちゃんになるってこと？」
耕一「そういうことになるのかな・・・」
楓　「・・・千鶴姉さん、耕一さん、おめでとう」
耕一「ありがとう、楓ちゃん」
梓　「でも、冗談抜きで耕一、千鶴姉さんは今まで苦労してきたんだ。だから幸せにしてやってくれよ」
耕一「もちろん。幸せにしてみせるさ」
千鶴「耕一さん・・・」

その後オレは大学を卒業後千鶴さんと結婚し柏木家に住むようになった。
が、『新婚の千鶴さんの手料理』を食べてオレが死にそうになったのでさすがに千鶴さんは料理をしなくなった・・・。