土曜の物語

 英語の土曜日(Saturday)は、ローマ神話のサトゥルヌスからきています。武力で国を興したローマですが、農業を重視したため、豊饒神としてのサトゥルヌスを讃えたのです。しかし実は土曜日にサトゥルヌスを土曜日の語源にしたところは一握りの国だけで、イタリア、フランスなど多くの国は土曜日を「安息日」と呼んでいます。
 さて、サトゥルヌスは、ギリシャ神話ではクロノスとされています。ゼウスの前に支配者であった神で、巨人族を引き連れてゼウスと戦いましたが敗れました。巨人族とはどんな種族であったか、それをここで書いておきます。

 ギリシャでは巨人族をキュクロプス族、ティターン族、ヘカトンケイル族、ギガース族の4つの種族に分類することができる。

 [キュクロプス族]
 一つ目の種族で、頭には毛がない。世界が創世された時からいた種族で、鍛冶や造船、建築の技術にも優れた腕を持っていた。最初のキュクロプス族の三人、ブロンテス(雷鳴)、アルゲス(落雷)、ステロペス(電光)は、あまりの醜さのためにウラノスによって地の底に閉じこめられてしまう。後にゼウスによって地底より開放され、クロノスをはじめとするティターン族の戦いに貢献し、その功績によって後にシシリア島に住み着いて子孫を繁栄させることになった。
 しかし、長い年月を経てキュクロプス族は、その優秀な鍛冶や造船、建築などの技術を忘れ、単に牧畜しか出来ず、凶暴な種族として知られるようになり、怪物たちの中に名を連ねるようになる。

 [ティターン族]
 巨人族の中で最も優秀で賢く、整然とした態度で常に冷静な、巨人にあるまじき振る舞いをする種族、それがティターン族だ。ティターン族はみごとな青銅製の兜をかぶり、同じく青銅製のすね当てをし、革製で胸部に当たる部分を金属で強化した鎧をまとい、円形状の楯ホプロンを持ち、腰には両刃のまっすぐな剣を帯びて、手には槍を持っている。ゼウスの前に世を治めてたのはこの種族である。
 ティターン族はゼウスに敗れた後も滅びたわけではない。彼らの子孫には、太陽神ヘリオスや、月の女神セレーネ、そして、人類に火を与えたとして有名なプロメテウスなどがいる。

 [ヘカトンケイル族]
 100の腕を持つ巨人で、また50の頭をも持つ。創世の時からいて、最初の三人は、コットス(怒り)、プリアレオス(活力)、ギュゲス(大きな手足を持つ者)である。地底に閉じこめられていたが、キュクロプス族と同様にゼウスに開放され、ゼウスと共にティターン族と戦う。

 [ギガース族]
 英語の巨人(Giant)の語源となった種族で、上半身が毛深い人間で、足は蛇の体のようにうねり、足の頭はトカゲの頭になっている。巨大な槍を常に持っていて、その体はきらびやかな鎧に覆われている。ティターン族が敗れた後、ゼウスに反乱を起こし、苦戦させたが、アポロンやポセイドンの活躍により倒される。

 クロノスの姿は普通老人で、重々しい様相の憂鬱な表情をし、手に鎌とおぼしい曲がった刃物を持っているとされています。クロノスとサトゥルヌスは全く同一の神というわけではなく、ローマ神話にクロノスに相当する神がいなかったため、同じ農業神のサトゥルヌスが代用にされたのです。
 土星の英名はサトゥルヌスの名からサターンと呼ばれていて、これが聖書などに現れるサタンと語感が似ているためにしばしば誤解を受けます。しかし、このように語源は全く違うのですが、ギリシャ神話のクロノスの印象がまた、悪魔の星との印象を受けやすいということもあるのでしょう。
 また、クロノスは時を司る神であり、時計のクロノメーターというのは、クロノスから来ています。

 

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