う   歌 麿 

 ある大名家にいた人が、歌麿の絵を観て想像した。
 このような美少年を描く人は、本人もさぞかしハンサムに違いない。
 結婚しよう。と思った。

 そこで人に紹介してもらい、いい日を占ってもらって、ついに会いに行ったということである。ところが、ハンサムどころか「こわいかに歌麿醜貌甚しく、毫も画く処の美少年に似たるものなし」とあるように、歌麿の素顔は相当にひどかったらしい。

 しかしまあ、これには歌麿にも責任がある。作品の中に作者と思わせるような形で、二枚目が描かれているものがあるのだから。

 さて、「歌麿」の呼び方であるが、一般には、「うたまろ」である。しかし、研究家の林美一氏の説によれば、「うたまる」が正しいという。この説を読むとどうもこれが本当のようにも思えるが、ここでは一般の例により、「うたまろ」で扱わせていただくことにする。
原典