よ   妖 怪 画

 幕末から明治にかけて、信州の小布施にいた高井鴻山という画家がいる。いや、画家というだけでは正確ではない。当地きっての豪商であり、漢詩、経済、儒学、蘭語、天文地理、絵画といった知識を貪欲に吸収していた才人であった。また北斎の晩年のパトロンでもある。高橋克彦氏の著書「北斎殺人事件」という小説の中で、隠密である北斎が監視していた相手として推理されているが、じっさい勤皇側に知人が多く、幕府に建白書も出している。

 明治維新後も、新政府に対して、上申書や建白書を連発するが、多くはなしのつぶてに終わる。そして、なぜかこのころから妖怪画を描き出し、七十歳を越えてから、妖怪ばかり描いた

 認められないという不満がこのような行動に走らせたのだろうが、なぜ妖怪画なのか。興味があるところである。