CO2と地球温暖化

 地球温暖化が問題となって久しい。COがこのまま増え続けると、何年後には地球の気温が何度上昇し、海面が何メートル上昇する。そして・・・といった予測をテレビなどで見ることがある。今、数字を曖昧に書いたが、実際にテレビ番組などにでている数字はあまり意味がない。IPPC(国連の気候変動に関する政府パネル)の第三次報告書(2001年)によれば、今後100年間に地球の温度は1.4〜5.8℃上昇し、海面が9〜88p上昇するとある。この数字を見ればわかると思うが、この予測にはずいぶんな幅があり、この数字をもとに未来像を予想したところで、最高と最低の数字のどちらかをとるかによってかなり結果が違ってくるだろう。

 それに、地球の気候はCOの濃度だけで決まるものではない。確かにここ数年の地球の平均気温は上昇し、COの濃度も上昇している。しかし、たとえば江戸時代の気温は今より暖かい時期でも2℃、最も寒冷な時期では5℃低かったし、同じ頃のヨーロッパではこの時期にアルプスの氷河が前進し、各地で住居が押しつぶされたとある。その一方、5千年前から8千年前はかなり暖かく、現在より3℃ほど気温が高かったようだ。暖かかった5千年前と寒かった300年ほど前の気温差の原因が、CO濃度によるものだとは考えられない。地球の気候の変動の原因には太陽活動などの影響も多大にあるからだ。

 だから京都議定書の数値目標には科学的根拠がないというのが、議定書反対派の意見である。その意見については僕も特に否定をするつもりはない。だけど、だからといってこのまま放置していていいのかな。

 恐竜がいた中生代の白亜紀は地殻活動が活発化し、COの増加による温室効果によって温暖化していた。地層の分布から考えて、当時は200メートルも海面が高かったと推定されている。そのままCOが増加し続ければ温室効果の暴走によって生物は破壊的な打撃を受けていたかもしれない。それを阻止したのは植物の光合成であり、珊瑚礁だった。珊瑚礁は海水からCOを吸収して群体の骨格となる炭酸カルシウムを生成する。、また貝も貝殻として炭酸カルシウムを生成していた。そのため、地球は温室化の暴走から止まったのである。でも今はどうか。環境破壊によって珊瑚礁は次々に壊滅し、森林の面積は減少し続けている。守ってくれるものは少くなった。とはいえ、地球全体のことを考えればそう心配はいらないかもしれない。いずれCOによる温暖化が進んでも、暴走まで行かずそのうちに止まるときが来るのではないかとは思う。ただし、そのときに人類が生き残っているかどうかは知らないけれど。

 たとえ温暖化によって人類とともに現世の生物のほとんどが滅んだとしても、地球生命はいずれ復活するだろう。今までの歴史を見ても、地球にはそれだけの力はあると思う。でも、人類にはそれだけのしぶとさはあるか?

 科学的根拠がないし、どうせ焼け石に水なのだからCO対策なんかするのは無駄だという意見もある。地球の気候変動が全てCOに起因するものではないことも確かだ。僕はその意見にも一理はあると思う。しかし、COの増加が温暖化を促進することもまた確かである。どうせ無駄だから何もせずに放置しておけというのは、極端な例なのを承知で言えば、人間はどうせ死ぬのだから、病気になっても医者にかからなくていいというのを人に勧めることと、同じことなのではないだろうか。

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