惑星の数が変わる

 惑星の定義について検討を重ねていた国際天文学連合(IAU)の総会はこの8月24日、冥王星を惑星から格下げし、太陽系の惑星を8個とする最終決議案を採択したというニュースを聞いた。冥王星は以前から惑星として疑問視されていた天体だが、僕はこの決定より少し前までは、冥王星は惑星としてはやや定義に外れるかもしれないが、昨夏に発見された冥王星より大きな星2003UB313を10番惑星として、そのまま冥王星を9番惑星としていても別に構わないのではないかと思っていた。

 気が変わったのは16日に9個から一気に3個増え、12個になるという惑星の新定義が提案された時である。一時、この提案が有力視されたときは、妙なうさんくささを覚えた。冥王星を無理に惑星と定義づけするためにごり押しをしているように感じたのである。

 せっかく一度惑星としたのだから、発見者のことも考えて惑星のままにしておこうという気持ちはわかる。科学的とは言えないかもしれないが、惑星の定義といっても人間が決めるものである。少しくらい人情的なものが入っても仕方がないのではないかと思う。その意味で、冥王星と2003UB313を惑星にするというのはわからなくもないし、カロンと冥王星を二重惑星とするのもいいだろう。

 だが、もう一つの惑星とされたのがセレスである。大きさは冥王星の直径2,390qに対し910q。この二つの大きさの違いには目をつむるとしても、小惑星帯にはパラス(520q)、ベスタ(500q)もある。また、ごく小くて球形ですらないが、衛星を従えている小惑星アイダは全く考慮に入れなくてもいいのか。なによりも、カイパーベルトにあるセドナ(約1300〜1800q)、クワーオアー(約1300q)、アイキオン(約1100q)などはセレスより大きいのになぜ無視されなければならないのか。

 この奇妙な案を見たときに、思い過ごしかもしれないが、理屈をこじつけて無理にでも冥王星の格を上げてしまおうという意図を感じてしまった。疑問を持たれながらも、なんとか惑星に残ったのではなく、もともと冥王星は立派な惑星だったのだと主張するために。なんだか、NASAの冥王星探査計画ニューホライズンズに箔をつけるためにこういう案を出したのではないかと、つい疑ってしまう。

 会議の流れが変わって12惑星案が破棄されたのはよかったと思うし、結果的に8惑星と決まったのは理にはかなっていると思う。でも、なんだかすっきりとはしないなあ。

2006年8月25日

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