シアトル発AF通信によると、ボーイングは次世代自動操縦システムの開発に着手すると発表しました。60億ドルの開発費を計上して完全な自動化を目指し、コックピットの無人化を図るとのことです。
同社では、このシステムをB767/757から787に至るフライト・マネージング・システム(FMS)進化の延長と位置付けており、無人偵察機の技術を民間機に発展転用するとのことです。システムの目玉としては、音声認識プログラムの搭載が挙げられています。これは管制官からの無線指示を認識したうえで、あたかも操縦士がいるように人口音声により復唱するのもで、管制官は何の違和感もなく従来と同じように職務を遂行できるとしています。
同社の声明には「当初は爆撃機や戦闘機を想定したものの、過激な運動が少ない輸送機から開発する。民間旅客機にこのシステムを搭載すれば、もはやハイジャックはありえない。」とあり、テロ対策が一つの契機になったことを示しました。
全自動化の安全性を危惧する声に対して、同社は「万が一機体に異常が発生した場合は、地上の緊急センターで24時間待機している技術者に衛星経由で警報とデータが届き、無線操縦で着陸させることになる。」との構想を示しました。緊急センターの場所については、時差を考え3乃至4箇所に設置される予定で、時間帯によって作業を分担することとなります。具体的な場所は現段階では未定ですが、決定されても保安上の理由から公表はされない模様です。
(2006/04/01 記)