AF通信電   2016
人工知能による飛行実験


今後予想される世界的な操縦士不足に備えて、人工知能による旅客機操縦の開発が進められています。先日行われたとある実証実験について、サンノゼ発AF通信が以下の様に伝えています。

ASAN社 (Artificial-intelligence Supported Air Navigation Co. Ltd.) は、過去1年程に亘り世界中の航空会社約20社に所属する、B777-300型機の操縦士約100名の協力を得てデータを蓄積した。それらデータには、エンジン出力や舵角等の操作や、高度、気温、風向、外気圧などの外的環境に関するもののほか、操縦室内の会話や脳波など操縦士の生理的・心理的情報も含まれている。

これらの膨大なデータを「学習」し、操縦技能と判断力を身に着けた人工知能KNURDを、シミュレーターにつなぎ、緊急事態を想定した状況を含めその能力を2週間かけて評価した。結果は参加した技術者の誰もが驚く程の、素晴らしいものであった。

満を持して、先週KNURDをB777-300実機の操縦システムにつなぎ、飛行実験を行った。実験は3日に亘り、シアトルのボーイング・フィールドとサンノゼ国際空港を毎日1往復するものであり、機長の資格を持つ2名の操縦士の監視のもとに施行された。

初日の実験は恙無く進行し、世界初となる人工知能による飛行は成功した。しかし、小さな異変も起きた。シアトル到着後、特設スポットに戻るや否や、KNURDは、搭乗した操縦士や技術者にねぎらいのメッセージを表示したが、それは、「一杯やりたい」と締めくくられていた。技術陣は爆笑とともに、KNURDの電源を切った。

2日目も飛行実験自体には問題は無く、サンノゼ着陸の際発生したウィンドシアも難なく回避した。しかし、問題が無かったわけではない。飛行中、KNURDはギャレーにある客室乗務員対象の情報システムへ、「一杯やりたい」とのメッセージを5分おきにに伝えていた。シアトル帰着後、同社の技術者が総出で改修を試みたが、原因を特定することはできなかった。しかし、飛行の安全には影響がないとして、翌日の飛行実験は行われることとなった。

最終の3日目の結果は、散々であった。午前9時にAPUを始動の後、KNURDの電源を入れると、思いもよらない異常が発生した。起動するや否や、KNURDはメッセージを発した。「一杯やりたい」「飲めなければストを起こす」 5分後、「ストを決行する」とのメッセージが発せられ、機体の操縦システムロックされた。KNURDを何度再起動しても結果は変わらなかった。結局この日の試験飛行は中止となり、KNURDは機体から切り離された。

ASAN社は、自動構築されたプログラムの解析を進め、改修を試みるとの声明を発表した。実験再開の目途はまだ立っていない。


(2016/04/01 記)


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