機上の空論

機体を読む   序

 

 航空機は自然にあるものではありません。人間が設計し、人間が作ったものです。何を当り前のことを、と思われるでしょうが、人間が作ったものである以上、それを作った人間の意図がそこから読み取れるはずです。また、設計者が置かれた文化的な背景が滲み出ることもあるでしょう。小さな部品一つから色々なことが読み取れるなら、見たり乗ったりするときに楽しくて仕方がないでしょう。

 この章では機体の囁きに耳を傾けてみます。第一部では比較的大きな声で語るTu144をコンコルドとの比較から読み解いてみます。

 第二部では航空機から英国の思想・文化を読み取って行きます。ここでは民間機ばかりでなく軍用機を含めて考えます。軍用機が嫌いな方もいらっしゃると思いますが、技術的により高いものを求めているので、避けて通れません。決して好戦的な内容ではないのでご安心下さい。

 この章で扱うのはかなりマイナーな機種ばかりになると思います。はっきりした特徴がある機種のほうが、大きな声で語りかけてくれるので、私にも聞くことができるからです。逆に標準的な機体は小さく囁くので、聞こえないことが多いのです。そんな囁きが聞こえるように私も研究を重ねて行くつもりです。何か聞こえたらそのときに順次稿を加えてゆくつもりでいます。

 この章での記述は私自身が考察したものですので、技術的に見て誤りがあるかも知れません。その際は、識者諸氏のご批判を賜れれば幸いと存じます。

 

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