機上の空論

機内サーヴィスあれこれ   ピーナッツ

 

 ピーナッツといっても、トライスター売込みの賄賂ではありません。豆のことです。たかが豆のことと馬鹿にするなかれ。そのウラには、かのロッキード事件をも凌ぐ謀略(???)が隠されているのです。

 ドリンクサーヴィスの際は、ピーナッツがよくおつまみとして出されます。特に米国系の航空会社では欠かせないものになっているようです。(ピーナッツアレルギーの乗客への配慮から乾しブドウに代えるという話も何年か前に米国でありましたが・・・)では何故ピーナッツなのでしょうか。独断と偏見で分析してみましょう。

 味が万人受けするということが第一要因であることは言うまでもないでしょう。私の周辺でもとても好きであるとまでは行かなくても、嫌いではないという方は多いようです。また、適度な歯触りと、ボリューム(カロリー)があることも見逃せません。少量でもある程度は空腹感を満たせる上、顎の筋肉を適度に刺激して何か食べた気にさせるのです。そしてどんな飲み物にも合う点が、ドリンクサーヴィスに必須となる要因でしょう。つまり顧客の満足度が高い点でピーナッツは優れた食品と言えるでしょう。

 量の割に、かさばる点も顧客満足度に大きく寄与しています。機内で配られるのは15g前後ですが、一袋は結構大きく見えます。また、一粒一粒摘むと、間持ちするという利点もあります。これが15gほどのチョコレートの塊なら、見た目も小さく一口で食べられてしまい満足度は低くなってしまうかも知れません。

 サーヴィスする側に立って見ると、更にメリットは大きくなります。単価が安くつく点はさておき、取り扱いが簡単なところは注目に値します。先に例をあげたチョコレートは温度管理が大変です。(機内でもよくサーヴィスされますが、冷蔵された食事と共に出されることが多い)クラッカーやポテトチップと比べると、壊れにくさが強みとなります。更に、クラッカーなどと比べると、かすが飛び散らず機内清掃の手間が省けるのも大きなメリットでしょう。ただ、1985年8月にエールフランスでは、あられが出ましたが・・・

 ここまで見てくると、先述の乾しブドウ代替案が理解できます。しかし、アレルギーの問題を除くと、乾しブドウはピーナッツに取って代わることはできないでしょう。何故かと言うと、ピーナッツの塩味と、食後のいがらっぽさが乾しブドウには無いからです。ピーナッツを食べた後、ほとんどの方が喉の渇きを感じるはずです。ドリンクサーヴィスの折に、ピーナッツが出されることを思い出して下さい。ピーナッツが飲み物を必要とさせ、ドリンクサーヴィスをより価値あるものに演出しているのです。

映像は上から、デルタ航空、ノースウエスト・オリエント航空、SASカップ入りピーナッツの蓋、同袋入り、エールフランスあられ添付の紙 (袋は上手く傷つけないように開封するのはかなり困難。鋏かカッターがあると良いのだが、機内に持ち込めないのが残念。)

 

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