機上の空論

機内サーヴィスあれこれ   序

 

 今日では、各航空会社とも使用機材や航空路などハード面では大差が無くなっています。すなわち、目的地までの所要時間や1フライトあたりの最大乗客数、居住スペースなどでは差がつきにくくなっています。そこで航空各社が自社をアピールする手立てが機内サーヴィスとなります。実際手を変え品を変え独自の工夫が見られ、それらを比較するのも飛ぶ楽しみの一つとなっています。

 ただ、最近は低料金が最大の売りという傾向が強まっているため、差はなくなりつつあるのが現状かも知れません。機内サーヴィスをぎりぎりまで削って、低料金を実現する戦略もあれば、料金は少し高めでも濃厚なサーヴィスで顧客を惹きつけるという戦略も成り立ちます。顧客は千差万別ですから、色々なサーヴィス形態があってしかるべきでしょう。こうした中で、同一フライトでも、クラスによる格差が開いてゆく傾向が強まっています。会社にもよりますが、低料金のエコノミークラスで高サーヴィスというのは望めなくなりつつあります。低料金で高サーヴィスとなると、世知辛い昨今、航空会社は倒産するか、整備コストを削って安全面を犠牲にするかのどちらかになるでしょうから。

 この章では、今までの経験から素晴らしいサーヴィスの例をご紹介し、サーヴィスとは何かを考察してみたく思います。特に断りがない限りエコノミークラスでの状況です。また、10年以上前の古いものが主になっていることをお忘れなく。

 

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