機上の空論

号外   特別塗装

 

 

  今日、航空業界は特別塗装を施した機体が花盛りです。国内では青い尾翼の「電気ネズミ」と本来白い尾翼の「アメリカネズミ」が覇を競っています。また世界各国の多くの航空会社も、特別塗装を施した機体を飛ばしており、成田などではマニア各氏がその映像を捕らえようとレンズを構えています。このような大ブームを巻き起こしたのが、1993年9月、青い尾翼のクジラであったことは異論がないことでしょう。一般公募の中から選出された、当時の小学生の作品が多くの人を魅了し、大いなる人気を博したことは記憶に新しいところです。

 しかし、このクジラを以って、特別塗装機の嚆矢とするわけには行きません。それに先立つこと7年、私は驚きと感動を持って特別塗装機を見ているのです。その光景は今もはっきり目に焼き付いています。

 時は1986年5月、ストックホルム・アーランダ空港を発つ、リーニェフルィーグの機内にいました。友人に会いに北のウメオへ向かっていました。機体がターミナルを離れて暫くすると機内は騒然としてきました。私はポートサイドの窓側に座っていましたが、スタボードの窓越しに芸術的なF28が目に飛び込んできました。後日の新聞によると50gの塗料を33uに塗ったのだそうで、同社とスウェーデン観光局の共同企画とのこと。図柄は同国の夏をイメージしたものです。タイトルは「スウェーデンは素晴らしい」で、これは観光局のキャッチコピーです。

 写真を撮りたかったのですが、上記のように条件が悪く、次の機会にと思ったのが運の尽きで、その後実機を見られませんでした。手元にある映像は当時の新聞広告のみで、画像が悪いので、とてもご紹介できるものではありませんでした。しかし、最近インターネット上で、今は無きリーニェフルィーグ(1993年1月SASに買収された)についてのHP、"LINJEFLYGS HEMSIDA" を見つけ、早速コンタクトを取り、管理人のアンデシュ・エリクソン氏より映像利用の許可を得ました。(同HPについては「リンク集」参照。)下の映像がそれです。この場を借りてエリクソン氏の御厚意にに感謝申し上げます。

 

 

 寅さん流に言えば「物の初めが一ならば、国の初めは大和の国。島の初めは淡路島。泥棒の始まりは石川五右衛門。特別塗装の始まりはリーニェフルィーグ!」となりますか。

 

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