星組東京宝塚劇場公演 2004年5月7日(金)〜6月6日(日)

『 1914/愛 』 谷 正純  作・演出

世界第一次大戦が始まろうとする数年前、パリ郊外を見渡せるモンマルトルの丘に、詩人や印象派と呼ばれる近代の画家たちが移り住んできた。辺りはカフェや酒場、レストランが立ち並び、中でもパリ一番の歌い手と上手い料理を出す『ル・ミルリトン』と言う酒場には、いつも活気があった。口は悪いが心は優しく、歌の上手い太っ腹の若主人(湖月わたる)が店を仕切り、とびっきり上手い料理を作る親父さん(汝鳥伶)と、2人の使用人がいた。
貧乏だか有名な芸術家たちが『ル・ミルリトン』に入り浸り、閉店後には店の主人が残った料理を貧乏な市民たちにタダで食べさせていた。もうけは無いのに自分の歌を披露することで満足をしていた口の悪い若主人。しかし何故か、信頼があり人が集まって来る。

ある日、美貌あふれる謎の伯爵人(壇れい)とやらがやって来て、「夢は持ちつづけてこそ夢ですわ…」と言い残して去っていく。
実は、店の若主人アリスティド・ブリュアン(湖月わたる)は伯爵家の御曹司であったのだ。伯爵家の執事長のアナトール(英真なおき)が「お父様がご病気です」と知らせにくる。それを聞いたアリスティドは装いも新たに、まるで別人のような御曹司となり、急いで我が家に帰ってきた。
伯爵家では何やら騒々しく、2人のご婦人がバタバタと入って来た。出会い頭に御曹司とぶつかりそうになって、顔を見合すと、あの謎の伯爵夫人にそっくり?相手も何処かであったような?そ振り…??

さて、ご病気だと聞いていたお父様は、なんと、お元気で、ご立派なジャン・ポールフルーレ伯爵(立ともみ)として凛としていらっしゃるではないか。あにはからんや、お家の存続の為、アリスティドの花嫁選びのオーデションが行われようとしていたのだ。アリスティドが逃げ出さないように椅子に縛り、気に入った花嫁を候補者から選び出すと言う魂胆だったのだ。(笑)
伯爵と出会ったばかりの謎の伯爵夫人にそっくり?のアデル(壇れい)は、花嫁選びとはつゆ知らず、オペラのオーディション会場だとばかり思っていたのだった。事実を知って、素朴で貧乏な町娘でしかない??アデルは怒りにも似たありのままの自分をぶつけて、会場から飛び出していった。
この時、アリスティドとアデルはお互いに2つの顔を持つ人物に出会ったわけだ。つまり、アデルは謎の伯爵夫人でもあるし、酒場の若主人は伯爵家の御曹司でもあったのだ。時が経つうち、お互いに惹かれ合い、2種の人物であった事も許せるようになり、身分の違いを乗り越えて、ハッピーエンドになるわけだが…。

その間、芸術家たちの浮き沈み人生があり、戦争が真近かとなり、笑いあり、涙あり、暖かさ、優しさがあった店も人が去り、閑散として来る。アリスティドは人を安心させる器量が備わっていたから、こんな時世でも人が集まった。しかし、いよいよ戦争が始まる。兵士に志願する人、郷里に帰る人などが続出。アリスディドは「店を閉めないで、みんなの帰ってくるのを待っているよ!」と豪快に歌って見送る。その隣にはちょこんとアデルがいた。ハッピーエンド! 

何となくほのぼのとしますねぇ〜。
アリスティドを演じた湖月わたるさんは2人の人物を使い分けて、大きく、格好良く、力いっぱい演じていました。アデルの壇れいさんはほんわかとした暖かさを持ち、時には吠え(笑)、ユニークさを出して良かったと思います。
ギョーム・アポリネールは貴城けいさん。明るい美しさと憂愁さを出し、綺麗どころとして活躍していました。モディリアーニの大和悠河さんも明るく綺麗どころとして舞台に華やかさを添えていました。英真なおきさん、アナトールで終始笑わせてくれました。嫌味が無くて可愛らしさもあり、いい笑いを誘いますね。
アルコール中毒の為、30代の若さで亡くなった
ユトリロを演じた真飛聖さん、綺麗でしたけど、いつも酒びたりで気の毒でしたね。あんな風に白い建物を描き続けたのですね。その他にも有名な画家が出てきていましたが、今ひとつストーリが無いので印象が薄れています。エドモン柚希礼音さんはフレンチカンカンが素晴らしかったです!黄色に黒が生えて、16、17回転が凄い!
クロディーヌの陽月華さん、キュッと締まったチャーミングなお顔立ちで、一歩控えめに、アデルの良き相談役を受け持ち、感じが良かったです。
花嫁第一候補の
仙堂花歩さんのソプラノも凄いですね!高音がいったい何処まで出るのかとびっくりです。(笑)
出演者たちの小技が効いて、観れば観るほど楽しい作品でした。

『タカラヅカ絢爛』 作・演出 草野 旦

カリブ海の青さと灼熱の太陽が降り注ぐキューバのオレンジ色、妖精たちの戯れ、様々に彩られる海の姿を描いた明るく楽しい作品ですね!
キュートな妖精たちがはしゃぎまわる場面、縄跳びが面白かったですね。
貴城けいちゃんの明るい笑顔が印象に残ります。
うわさの蛇ダンス、怪しいけど良かったですよ!
柚希礼音さんのしなやかな身のこなしと真剣さに拍手です。
妖精ポノポ(
湖月わたるさん)と人間マリア(壇れいさん)の運命的な出会い、その恋は夢の中に儚い爪跡を残して、消えていきます。明け方に襲ったハリケーン!荒れ狂う波と風、2人の風変わりで情熱的なダンスが浮き上がリます!ちょっとリアルだけれど、踊っている2人は真剣で本当に大変だっただろうと思います。(お疲れ様!)
海の神オバタラは
英真なおきさん、ふくよかな年寄り姿は微笑ましく、舞台にアクセントを添えていましたね!もう一人、陽月華さんのエレグアは時の神でしょうか?チャーミングで、身のこなしが軽やかで、効果的でしたね。

今までの宝塚作品の中では、とても珍しいダンスありで、外人さんならではの振り付けなのかも知れないなと思います。新開地ものですね。夜明け、太陽が昇る様は素晴らしかったです!!強烈でダイナミックで素晴らしい!これぞ豪華絢爛って感じです。フィナーレのラテン系衣装は華やかで可愛らしく、素敵です!大柄が一層生える黄金色を身に纏ったキャプテン湖月!全体を通してそのバイタリティは本当に素晴らしかったです!

2004年6月11日 yuko記

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