アンナ・カレーニナ観劇記 (ル・テアトル銀座)2006年2月9日〜2月26日

当時のおしゃべりルームから観劇日記を追加します。

2月15日(水)『アンナ・カレーニナ』

観て来ましたよん〜!一路さんのアンナ・カレーニナ、井上芳雄のアレクシス・ブロンスキー!

お2人共、飛び切り綺麗で素敵だった事は言うまでもありません。しかし最後の結末があまりにも哀れで悲しい!泣かずには入られませんねぇ…。今だ感動覚めやらずと言った所でしょうか〜。

ル・テアトル銀座は客席と舞台が近くて、幸運にも最前列のほぼ中央で観劇出来た私は、降りしきる雪のひとかけらが舞って来るようで、嬉しいやら少々気恥ずかしいやらで、気分は最高でしたよ。月末にもう一度観るので、詳しい感想文はその後に〜。

2月25日(土)『アンナ・カレーニナ』16日目

今日(25日)、私は再び『アンナ・カレーニナ』を観てきましたが、早くも明日は東京の千秋楽ですね!舞台は確実に安定度を増し、出演者の誰もが個性豊かに熱演し、悲劇ゆえにユーモアのある場面ではホッとさせてくれます。可憐な一路アンナは美しい声で歌い、人妻的な貫禄も時には発揮!数々の衣装替えはどれもお似合いで、とても素敵です!

数日前の読売新聞夕刊にも『アンナ』の好評が出ており、嬉しくなりましたね。息子セリョージャ役の坊やが本当に可愛く、とても上手でした。明日の東京千秋楽、出演者の皆さん頑張って下さい!!

本日はダンサーの東山さんやニロさんが見えていました。女性客の多い中をスタイリッシュな彼らはとても目立っていましたよ。


 

さて、これは映画などでもお馴染みのトルストイの名作です。アメリカでミュージカル化され、宝塚でも、柴田先生演出の雪組がやりました。東宝盤としては小池先生によって着手、鈴木裕美さん演出により、今回初演です。ミュージカルならではの歌と音楽で綴り、ダンスショーは舞踊会場面のみ、台詞も少し混じった上等作品に仕上がっています。では、其々の配役について、私なりの感想を書いてみたいと思います。

〔アンナ・カレーニナ〕 一路真輝

高級貴族の奥様であるアンナは美貌に恵まれ、何不自由なく、一人息子セリョージャの成長を慈しみつつ静かな日々を送っていました。ところがある日、ブロンスキー伯爵(若き陸軍士官)との出会いにより、運命が大きく転回します。

一路さんの上品なお顔立ちはアンナ夫人にピッタリ!歯切れの良い綺麗なメゾソプラノで、いつもながら表情豊かに感情を込めて歌います。エリザベートよりも少し高めで可愛らしいお声です。今度の恋のお相手は「死」トート閣下ではなく生身の人間、それも気高くうら若き美青年ですからそれはもう、お声もアップ、うんと可愛らしくなりました。一方、優美で知性に溢れ、母としての品位と優しさも備わっています。

アレクシスの求愛に、眠っていたアンナの乙女心が目覚めます。ふと、宝塚時代に一路さんが演じた風共スカーレットの幕開きを思い出すほどに一路アンナは可憐です。8着位の衣装はワインドレス、黒のパーティドレス、白、ピンク、白黒ストライプ、等‥どれも大変良くお似合いです。

雪舞うペテルブルグの停車場、出会いと永遠の別れ…。全てを失い、降雪の真夜中、走り来る列車に身を投じるなんて、何と切なく悲しい事か……。

〔アレクシス・ヴロンスキー〕井上芳雄

モーツアルトで大活躍した井上君です。陸軍士官のお洋服がとても似合い、凄くハンサムな青年に仕上がっています。まるで宝塚の男役のようで、白馬の王子様ですね。アンナの義理の妹キティが憧れるのも無理はありません。
運命的にアンナと出会い、一途に見つめ突き進むさまは、向こう見ずで情熱的。なのに嫌味が無いのが井上君と一路さんならではの清潔感ですね!
歌に危なげが無く、繊細で優しさの篭った歌唱で聞かせてくれます。デュエット曲は2人がとても極細かに歌っているのが伝わり、とても素敵です。

〔コンスタンティン・レイヴィン〕葛山信吾

不器用だけど生真面目で優しい、農業の合理化とか、狩猟などアウトドアが似合う純朴青年。アンナの義理の妹キティの事をずっと思っていて、引っ込み思案な所もあり、もたつきますが、最終的には「福の神」来たれりで、キティと幸せな結婚をします。
葛山さんは芝居の人で、ミュージカルは初めてとか聞きましたが、なんのなんの結構、歌えますよ。ハンサムなのにむさ苦しい雰囲気がよく出ていました。

〔スティファン(スティーバ)・オブロンスキー〕小市慢太郎

アンナの兄です。陽気で情が深く、人生の匙加減も心得ており、大切な物を知っている人です。妻とのいざこざで始まりますが、妹キティの事を真から心配し、アンナ亡き後、残された娘を引き取り、戦地に向かうブロンスキーを励まし、見送ります。
演じた小市さんは小柄で華奢な感じですが、ユーモア感と人柄の良さを上手く表現しています。

〔キャサリン(キティ)・シチェルバツカヤ〕新谷真弓

アンナの義理の妹にあたり、スティーバの妹です。嫁入り前の彼女は恋に恋する19歳です。それにユニークで素っ頓狂な人物です。
ブロンスキーに憧れ、夢見ますが、振られて相当傷つきます。しかし、彼女は本当に愛する人はレイヴィンだと気付き、とても幸せな家庭を築きます。アンナとは対照的です。
新谷さんは芝居人間だそうで、歌も何もまるで喋っているようですが、ともかくユニークで素直な自分の世界を作っている人です。

〔プリンセス・ベッツイ〕春風ひとみ

ヴロンスキーの従姉妹か親戚かと言った役所で、暇に任せてスキャンダル好き。巷に噂をばら撒き楽しんでいるけど、根は決して悪くない人。
ベッツイを演じる宝塚出身の春風さんは歌唱力抜群、話し言葉のような歌詞を上手く歌いこなしています。他のハードなミュージカルでも結構お見掛けしますね。

〔ニコライ・カレーニン〕山路和弘

アンナの夫です。上流階級の官僚、日々、忙しさに追われ、家庭を省みる暇もありません。妻を愛してはいるのですが、子供には厳格な父親です。
最初、山路さんって、なんて暗い雰囲気のする人物なんだろうと思ったりもしましたが、落ち着いた演技と心に染み入る歌に心打たれました。歌詞も含めて趣があり、それとなく涙を誘い、なかなかお上手です。
アンナが駆け落ちをし、いなくなった後、息子には厳しい教育をしていますが、実は優しいし、寂しさを秘めた感じも良く出ています。やはり世の父親ですね。

〔セリョージャ〕夏目卓実&真鍋 優

ダブルキャストで、アンナの一人息子です。ご両人共、とっても可愛くて快活です。演技や台詞も負けず劣らず上手い!女子の真鍋さんは鬘を被っているのでしょうか。2人共凄く似ていましたからね。
カーテンコールでは一路アンナとしっかり手を繋ぎ、片時も離さない感じでしたね。(笑)

〔アンヌーシュカ〕福麻むつ美

アンナ家の召使、セリョージャの守役です。むっちゃんも宝塚出身の舞台人、セリョージャやアンナに対しての召使いぶりが実に良く、味のある演技は暖かな印象を残します。

〔シチェルバッキー家のメイド〕ももさわゆうこ

キティの守役です。ふさぎ込んでいるキティのお相手を根気良く続けている時、そこへ福の神なるレイヴィン様が現れました。
飛び上がって喜んだのは当のキティよりもこの人!それが観客の笑いを誘い、かなり受けていました。どんどんエスカレートして行ったみたいで、楽しい場面の一つですね。(笑)


生演奏、悲哀的メロディが心に染みます。終盤、耳を劈くような汽笛の音が何とも空しい…。あぁ、また最後は死か……。
とは言え、いつの世にも通ずる教訓的な名作です。以上、私の感想としてはこんな所でしょうか〜。

これから1ヶ月、大阪、福岡、名古屋、日本各地を回るそうです。お見逃した方は是非ご覧あれ!

2006年3月3日yuko記

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