ミュージカル・演劇・コンサート編 (2008年〜2010年)

2010年9月20日(日)井上芳雄10周年記念コンサート(長文ですが…)

9月11日(土)より、井上芳雄10周年記念コンサートが青山劇場にて開かれました。
私は16、17日と連日夜出掛けました。実は私、またちょっと風邪を引きかけていて、体調は充分とは言えなかったのですが(芳雄君に元気を貰ったのか?笑)、まぁ何とか大丈夫でした。
16日は2階席2列目センターより、17日は1階席15列目センターでした。どちらも劇場の作りが良くてよく見えました。

さて、第一部は小池修一郎先生の演出構成によります。10年来のミュージカルナンバーが惜しげもなく飛び出し、当時の感動が蘇りました。

「モーツアルト」より『影を逃れて〜』。
「ウエディングシンガー」より2曲『Casualty of Love. Grow Old with You』。これは作品が楽しかった!ギターも上手く引けるようになりました。

次は「ミス・サイゴン」から『神よ何故?』これも観に行きました。良かったですね!
「シェルブールの雨傘」、残念ながらこの舞台は私観ていませんが有名な曲『I will Wait for You』とても上手に歌っていますねぇ〜…。そう言えばあの時、相手役が宝塚トップ娘役出身の白羽ゆりさんでした。

「ミー&マイガール」より『ミー&マイガール』、明るく楽しい曲です。
ここで、タキシードをバシッ!と着こなし、ソロのタップダンスです。軽やかでなかなか上手いですよ。あの時に覚えたのでしょうね。続いて、ミー&マイガールより『街頭の下で』。

そして、皇太子姿に着替えると、作品「ルドルフ」より『明日への階段』。あの時は笹本礼奈さんが相手役男爵の娘でした…。これも懐かしい作品です〜。

続いて「エリザベート」からは『闇が広がる』です。
ステージバックに映像が出て、井上トートが出現しました。生ルドルフとの2重唱なんです。かたや録音とは言え、同一人物ですから当然声の愛称が良いです。井上トートもカリスマ的風貌で悪くは無いかも…?小池先生の計らいでしょうかねぇ?見るもの聞くものを喜ばせてくれますねぇ(笑)。いつか舞台で実現して欲しいものです。

一部の最後はモーツアルトより『僕こそ音楽(ミュージック)』でした。
一部のテーマが「幸福の王子」だそうで、最後は白馬の王子のような姿をして舞台中の舞台に後姿で階段を上った所で、1幕終了です。

こうしてみると、10年間、井上君は本当に代表的な東宝ミュージカルにほとんど主演していますね。私もシェルブールの雨傘以外は井上君主演のミュージカルを全部観て、楽しんで来たのだなと思います。


さぁ〜、第2部はスペシャルコンサートと題して、井上芳雄君自身が構成、小池先生監修です。井上君等身大のMCを加えながら、あらゆるジャンルの歌を歌います。

『I Love You』『愛しかないとき』『夜の通行人に捧ぐ』など、愛の歌を3曲どれも上手いのですが、3番目のシャンソン曲が特に良かったです。
続いて、『Come Fly with Me』『Cry Me a River』ロックミュージックもOK!です。

ジャズダンスも上手くなりました。唯一の共演者であるダンサーの男の子2人が一緒に踊ったり着替えを手伝ったりお世話をしています。2人共井上君そっくりの仮面を被って両脇で踊ったりするのが面白いです。場繋ぎと影の存在ですかねぇ〜?でも踊りが上手いし効果的です。

さてさて、この辺りでお待ちかねゲストの登場です。
16日(木)は
一路真輝さん、17日(金)は島田歌穂さんでした。(他の日も日替わりで色々なゲストが1人出ているそうです。)
今年3月にコンサートで4年ぶりのカムバックを果たした一路真輝さんは、お元気で明るく高らかな笑い声が懐かしさを誘います。それにホッ!とするような優しい雰囲気も今だ変わらずです…。
井上君から見れば、初舞台で出会った最初の先輩とも言えるそうです。皇后エリザベートと皇太子ルドルフの間柄でしたからね(笑)。
その後2人は恋人役もしました。「アンナ・カレーニナ」です。井上君の恐縮した腰の低さには感心しました。先輩を敬う一生懸命な姿に好感が持てますね。

一路さんの歌は「アンナ・カレーニナ」より2人のデュエット『待ち焦がれて〜』。もう1曲は『セリョージャ』でした。一路さんの艶やかな美声はまだまだ健在ですね!!今年末より『アンナ・カレーニナ』再演が決まりましたからいよいよ始動開始ですかしらね。

17日、島田歌穂さんとの対面も良かったです。彼女とは舞台では全然共演されていませんが、すれ違い舞台を惜しむような会話が弾みました。
1曲目はモーツアルトから『愛していれば解り合える』をデュエットでした。
そして2曲目は井上君の10周年を記念して原点に立ち返った
島田さん。選曲は「レ・ミゼラブル」からあの素晴らしい『オン・マイ・オウン』でした。さすがに会場からも割れるような拍手が続きました。
私も大好きな曲を聴けて本当に良かったです!井上君もいつか、「レ・ミゼラブル」に出たいような事を言っていましたよ。いつかきっと実現するでしょう楽しみです。

ゲストさんが帰られた後は、

『No More』ーイントーザ・ウッズーより、『Being Alive』ーカンパニーより。井上君はジャズも歌え、リズム感も大変良いです。
井上ひさし作、組曲虐殺より『独房ソング』で、井上芳雄君もストレートプレイで出演しました。私はそれを観ていませんが歌を聴いていると内容が深そうな良作品だったんですねぇ…。

フィナーレは『Time to Say Good−bye』を絶唱して幕です。
その他アンコール2曲があり、トークも沢山ありました。
音楽監督は島健さん、ピアノ島健さん、演奏島健バンドメンバーでした。


井上君の張りのある素晴らしい歌声は前向きな元気さがあり、反面、静かなバラード的曲もまた聞かせます。どんなジャンルの曲を歌わせてもOK!!ロックにジャズダンス、タップダンスにギター弾きと幅広く、役者なり歌手なりの肉付きもしっかりしてきました。
運が良かった事もあるかも知れませんが、本人の実力と努力も10年を無駄に過ごして来てないなぁ〜と、心から拍手を送りたいですね。

休憩を挟んでの3時間…。身体が二つ折りになるほどのお辞儀、ゲストの前では汗だくになりながら相手を尊敬する態度が微笑ましく、MC入りのコンサートだから判る、気さくで飾らない素直な性格、真面目な人柄、仕事に前向きで積極的な姿勢、等などが伺えました。
連日満員の観客、先生如き人物も見かけましたし、ゲストの方を初め、多くの人に見守られ、井上君の更なる活躍が楽しみですね。

このコンサートは東京で10日間(昨日で東京は終わりました)、その後、名古屋、福岡と廻るそうです。若さゆえのエネルギーは本当に凄いです。頑張れ!

2010年9月10日(金)エリザベート観劇

厳しい残暑が続いております。皆様お元気でいらっしゃいますか?

私は8月、猛暑の夏をだらりだらりとやっと乗り越え〜(笑)、朝晩若干涼しい9月初旬を少しづつ自己運転をはじめていますかな……。

久々の観劇は東宝『エリザベート』からです。9月7日(火)、私としては4年ぶりの『エリザベート』観劇です。
エリザベート皇后は
朝海ひかるさん、トート閣下は石丸幹二さん、皇太后ゾフィは杜けあきさん、皇太子ルドルフは伊礼彼方君、と新メンバーが加わり興味ある所です。
脇をしっかりと固めるのは以前からの抜擢人、フランツ・ヨーゼフが
石川禅さん、ルキーニは高嶋政弘さん、エリザベートのパパは村井国夫さんでした。
やっぱり、『エリザベート』と言う作品は、演じる役者が交代しようがしまいが内容的に面白く、音楽的にも立派に作られているなぁ〜と思いました。

あくまで私的感想ですが、朝海さん演じるエリザベートは自然な可愛らしさはありますが、クールな印象で、押し出しとか何となく生命力に欠けるかも知れません〜。歌に関しては、肝心の高音域が綺麗に出ているのに感心しました。元々、宝塚トップ男役を経た方ですから演技力はあると思います。
石丸幹二トート閣下は凄い迫力でした。外見的印象は濃く、ビジュアル的です。劇団四季出身者ですから歌いっぷりは申し分ないです。
皇太后ゾフィの杜さんは一路真輝さんの宝塚雪組一年先輩で、初抜擢です。綺麗に歌い過ぎてるせいで、思ったよりも迫力に欠けました。あのゾフィの凄みが出ないのですよ。低音が弱く、ある意味で声を割らないと?あの凄みは出ないのではないかしらん〜?(言うのは簡単でごめんなさい)改めて初代の初風淳さんは凄かったんだと思いました。

伊礼彼方君ルドルフは大変美男子で、役柄にピッタリですが、有名な聞かせ所であるトート閣下との二重唱「闇が広がる」が弱く、残念でした。今言う草食系男子ですね(笑)。バランスの面でトート閣下ばかりが強力な歌いっぷりでした。

しかし、脇を固めた人達が良かった!フランツヨーゼフ石川禅さん、流暢な歌いっぷりは以前にも増して聞かせてくれます。ルキーニの高嶋さんも年季が入り、独特な凄みが増し、良かったですよ。この人は外見から入って行く感じで、よれよれの年季の入った洋服やもじゃもじゃの髪型が面白かったですね。

アンサンブルメンバーは以前と変わりなく迫力があって良かったです。トートダンサーメンバーは顔ぶれが大分代わり、ダンスの振り付けも変化し、ドロドロと死の淵を泳ぐようなハイテクダンスが目を引きました。かなり重労働だと思いますね(笑)。そうそう、エリザベートの妹役ヘレネが宝塚娘役出身南海まりさんでした。柚希礼音さんの同期生ですね。歌の上手い人でしたから、東宝でご活躍なんですね〜。

何と言っても聞きなれた音楽ナンバーはとても良かったですし、やっぱり熱い感動を貰いました。

2010年6月4日(金)ミュージカル『キャンディード』帝国劇場

6月には入ってすぐ、久々の帝国劇場に足を運びました。演目はミュージカル『キャンディード』です。
実は、観た事も聞いた事も無いミュージカル作品なのです。
それもそのはず、海外では結構上演されているらしいのですが、日本では初上演で6月2日に開幕したばかりです。

座長は市村正親さん。ヴォルテール(狂言回しであり、原作者役)と家庭教師バングロスの2役を演じています。
主役のキャンディード(タイトルロールですね)はお馴染み井上芳雄君です。幅広く活躍し益々人気上昇中の井上君がこの新作品をどのように演じ、歌い捲るのか、大いに興味があったので、観ることにしました。

さて、時は18世紀のヨーロッパ、ドイツを出発点として、ヨーロッパの至る所を旅して廻る純粋で穢れ無き若者キャンディードの話。

キャンディードはドイツのある男爵の城に住み、家庭教師バングロスに学び、のどかで何不自由なく暮らしていましたが、ある日、男爵の娘グネゴンデ(新妻聖子)と恋仲になった為、男爵の怒りに触れ、城から追い出されてしまいます。
さぁ、それからが苦難の旅の始まり、始まり!
楽天的最善説を唱える家庭教師の教えが身に着いていたキャンディードに何故か悪い事ばかりが起きます。
世の中の荒波は想像以上に険しく、それでも彼は運強く生き伸び、少しづつ国や人の気質を学んで行くのですが、色々な国の色々な人に出会い、何度も裏切られ騙され、生きるが故の醜さ惨さが蔓延り、折角、辿り着いた国を追放されてしまいます。

ある時、放浪の旅先で、昔、男爵亭で仲良しだった男爵の娘グネゴンデに再会します。今では男爵家は破壊し、彼女の両親は殺され、兄弟の行くへさえも判らなくなっていました。
当時、女性への扱いは酷いもので、奴隷扱いされ、惨い仕打ちを受けながらも生き抜いた女性は多く、彼女もしたたかな女になっていましたが内心は清らかさを残していました。
しかし、つかの間の再会の喜びも、悲しい運命が引き裂き、キャンディードは再び国を追放されます。

次に辿り着いた所がエルドラード黄金国でした。ここは国が豊かで人々も大らか、キャンディードはそこで手厚いもてなしを受け、しばらく滞在し、溢れんばかりの土産物を手にエルドラード国に別れを告げます。沢山の黄金と羊を貰ったのに、羊は過度な旅で大方死んでしまい、残る2匹を連れて、再びグネゴンデを助けに行かんとします。しかし、途中でまた困難に会い、手銭も少なくなっていくのです。

まだまだ、山あり谷ありのキャンディードでしたが、忠実な友に出会い、信念を変えるきっかけになった悲観主義者である掃除番の老人マ−テイン(村井国夫)にも出会いました。グネゴンデの兄や家庭教師バングロスにも再会しました。
思えば、キャンディードは正当防衛のはずが何人も人を殺してしまった事もあります。その度に国を逃げ出してきたのです。
ところが、漸く見つけたグネゴンデは、更に醜い女に返信し、人に物乞いするような浅ましい女になっていたのです…。
放心状態になったキャンディードは、しばらくして、長旅による教訓から新たなひらめきを得、穏やかな土地にて気の合う仲間との自給自足生活を見出します。やがて、グネゴンデも元の自分を取り戻し、キャンディードやその仲間達と共に暮らす事になります。終わり

なかなか、哲学的で理屈っぽい辛口ストーリーですが、旅は人生とも言えますし、様々な国は時々の情景とも取れます。また見方によっては面白冒険物語でもあります。
レナード・バーンスタインの音楽綴りとは言え、まだ親しみが無いですね。舞台装置も簡略化されているので、地味で非常に難しい作品だったかも知れません。
井上君だけが正当派役で、綺麗な衣装を着せてもらい客席にも降りてきて、くるくると細やかな演技をしていたと思います。聖子ちゃんは可憐で綺麗でしたし、村井さん、坂元さん、阿知波さんも役柄を楽しめて良かったです。
歌はみんな上手いベテラン選手、合唱アンサンブルもとても良かったですね。もう1〜2回観るともっと親しみが涌くかも知れませんね。

2010年3月5日(金)一路真輝コンサート

いつの間にか、なんと4年も経っていましたか〜〜?!
帝劇公演『エリザベート』千秋楽をもって、突然お隠れ遊ばされた一路さんが、日比谷の小劇場にこれまた突然?我々の前にお姿を現されました!

3度あるライブのうちの今夜は初日です。
幕明けをドキマギしながら待っていたら、静かに幕が上がり、青空に白い雲なびく風なロングドレス姿の一路さんが歌い始めました。
髪はアップに結いあげ、右胸にはブルーの花、ウエストにはゴージャスな銀色の幅広ベルトが煌びやかに瞬いています。とても爽やかな大人の雰囲気が漂います。

最初は新曲ですかしらね?心を込めて丁寧に一路さんらしく歌います。観客は息を潜めてじっと見守るように聞いていますよ。
1曲歌い終わると、しゃがみ込むような仕草をしながら「あぁ、緊張した〜!」とチャーミングに笑う一路さん〜。と同時に会場と舞台との間の緊張が一気に解け、一路コールが飛びます。「お久しぶり、待ってましたよ!」など、一路ふぁんは健在、見守るファンの温かさが感じられます。
緊張から開放された一路さんは、その後ミュージカルメドレーを4曲程歌います。
当時の事が思い出されます…。帝劇の2階から観た
『南太平洋』。高嶋君とピンクのドレスでくるくると回り踊ったシャルウィダンス『王様と私』。名古屋まで観に行った『モーツァルト』男爵夫人役ですね。そして九州博多座まで行った『キスミー・ケイト』です。この時は直ちゃんも出演していました。
楽しかった事を懐かしく思い出しながら聞き入りました。

MCでは、御家庭の様子を聞かせて下さいました。お子様はそろそろ幼稚園とか〜。素敵なパパのお話も少し〜。
パパ、ママ共にお子様に沢山の絵本の読み聞かせをなさってるそうです。そっか、なるほど〜、役者業のご両親は読み聞かせの声色も格別、本格的読み聞かせなんだ〜、子供にとってはなかなか良いかも(笑)。ママからはお子さんに歌のプレゼントもいっぱいあるようですし、微笑ましく暖かなご家庭が伺えましたよ。

そこで、宮崎ツトムさんのアニメソングから1曲私達にも聞かせて下さいました。
また、一路さんお気に入りの絵本の読み聞かせもありました。題名
『ちょっとだけ!』。さすが上手いものです。格別、格別(笑)!

この後、お召し替えの間はチェロとピアノの生演奏がありました。

黒のスパッツに黒のアゲハ蝶風なふんわりとした上っ張り、白い刺繍の縁取り良く、男役的な出で立ちで一路さんの再登場です。
『エリザベート』から
「愛と死のロンド」です。そう、宝塚バージョンですよ。引き続き『花夢幻』『あかねさす紫の花』寺田先生作曲の歌です。

今だ変わらず安定した男役の歌声に、一路さんの宝塚全盛時代に思いを馳せます。
最後の曲はやはり、東宝『エリザベート』から
『私だけに』でした。
鳴り止まない拍手と一路コール!があり、盛大に1日目のコンサートが幕を閉じました。

外へ出ると、楽屋口の前に車が止まっており、何と、旦那様のお出迎えですよ。会場にいらしていたのかお出迎えなのかは判りませんが思いがけず内野さんにお会い出来て嬉しいです。やはり、俳優さんは綺麗、格好良いですね!
4年ぶりの一路さんに会えて、沢山の暖かさを貰って、格好良い旦那様をチラッとお見掛けして、更に得した気分で私は家路を急ぎました。


2009年4月5日(日)『トライアングル』パルコ劇場にて

2日(木)にパルコ劇場にて今年初の観劇をしました。

渋谷にあるパルコ劇場は高嶺ふぶきさんや伊央里直加さんも出演された所で、何度も通った事があり、思い出深く懐かしさがよぎります。
出し物は
『トライアングル』〜ルームシェアのススメ〜で、井上芳雄、彩乃かなみ、新納慎也の3人ぽっち出演のミュージカルです。舞台後方にオケ生バンドを配置し、舞台構成は1場面だけ。1幕だけの3人だけと言うのは思い切った試みだなと思います。
場面は終始、アパートの1室で、孤独な悩み多き若者の姿をミュージカル仕立てに描いた作品です。彼らにとっては等身大の日本物ですね。

真面目で作家志望のナツメ役の井上君と、自由人間でミュージシャン志望の幸三郎役の新納君、2人の役柄が正反対で非常に面白い。
そしてその中に割り込んでくる幸三郎のいい名づけとやらの芽衣役を彩乃さんが演じています。この役もまた、素っ頓狂で大変面白い!宝塚トップ娘役時代のイメージを180度回転させたような役柄に挑戦しているのに、男の子2人に全然負けていません。

夢が叶ったり、叶わなかったり、2転3転する物語なのですが、コメディセンスを程好く効かせ、3人3様個性豊かな役柄を無理なく演じています。
歌も其々に大変上手く、ダンスもハイテンションで元気一杯踊ります。2時間芝居なのに観客を飽きさせないから不思議ですし、3人の息が合っている所も素晴らしかったです。

今回、井上君の演じた役はまるでその人みたいな印象で、役柄にピッタリとはまっていて、彼にとってまた1つレパートリーが増えて良かったなと思います。
彩乃さんは爽やかで明るい笑顔が久々でした。シャキシャキパワーの演技と歌声も全快で、宝塚退団後初の作品として、芸能界への良いスタートが切れたのではないでしょうか〜(宝塚月組の男役トップスター瀬名じゅんさんからお花が届いていましたよ)。
新納君は帝劇などの舞台で何度か拝見していて、『エリザベート』のトートダンサーだったし、『イーストウイックの魔女達』にも出てらしたし、最近では井上君主演の『ルドルフ』で確かイギリスの皇太子役でしたよね。この公演では、新納さんがこんなに面白く演じる人だったとは〜。非常にユニークで自然な演技がなかなか良かったです。


2008年8月21日(土)東宝版『ミス・サイゴン』

ここの所、涼しいですねぇ〜。今週は21日(木)に帝国劇場へ世界的ミュージカル東宝版『ミス・サイゴン』を観て参りました。

これは1989年にロンドンで始まり、世界各国で上演され続けて、来年は20年目を迎えるようです。
日本では初演が1992年5月〜93年9月とロングランでした。1993年の冬、私が帝国劇場に足を運び始めて観たミュージカルが偶然にもこの作品でした。

次に、日本で再演されたのは2004年。この頃からキャストも入れ替わり、井上芳雄君ら若手が出演し始めました。私もキャストチェンジしたこの作品を再び、2回程観たと思います。

そのまた4年後に当たるのが2008年ですが、夏から秋にかけて東京で3ヶ月上演し、2009年1月〜3月は九州、博多座で上演されるようです。

内容は、ベトナム戦争で犠牲になった健気な母と子の物語を描いたもので、観る度に心痛を味わいます。
その頃、ベトナム女性とアメリカ兵士の間に生まれ、捨てられた子供達は数知れず…。ブイ・ドイと呼ばれたあわれな孤児を救う運動が後のアメリカで行われていたようです。
そうした事実を元に描かれ、其々の日替わりキャストが日々熱唱しています。

21日昼公演のキャストはエンジニア橋本さとし、クリス井上芳雄、キム笹本玲奈、ジョン坂元健児、エレン鈴木ほのか、トゥイ神田恭兵さんでした。

自分が生き抜くためには何でもする、夢はアメリカンドリーム!と歌い続けたエンジニア役の橋本さんはユニークな演技で客席を笑わせていました。以前は役所哲也さんや市村正親さんがなさっているのを観ましたが、橋本さんもこの役柄にピッタリとはまっていて、良かったですよ。

若いアメリカ兵士クリスは人気の井上芳雄君で、以前よりもっと人間らしく骨太演技、かなりの熱演熱唱、汗だくで気の毒なくらいでした(笑)。

ミス・サイゴンと言われるベトナム女性キム役は笹本玲奈さん、以前の松たか子さんも魅力的で大変良かったのですが、玲奈さんも歌の上手さと言い、清楚の中にも快活な情熱や、我が子に対しての愛情の深さが健気に現れていて胸を打ちました。ふと、初演の頃の亡き本田美奈子さんを思い出したりしました。

クリスの戦友ジョン役は以前と同じく坂元健児さん、安定感のある力演でなかなか良かったですよ。なかなか上手く日程が合わないのですが、岡幸次郎さんのジョン役も一度は見てみたいものです。
クリスの妻、エレン役の鈴木ほのかさんを観れたのは、偶然で大変儲けもの。ちょっと辛い役柄だけど、ミュージカル界のベテランですし、危なげない演技力と歌を聞かせてくれました。
もう一人、キムの許婚であるトゥイ役の神田さん、事情あってトゥイはキムに殺されてしまうのですが、幽霊になって現れる所が気味悪いです。以前はこの役柄事態がとても嫌な感じがしていたのですが、今回は気の毒にって感じもしました(笑)。

我が子タムをクリス(父親)とエレン(クリスの妻)に手渡した瞬間、母キムは自害して果てます。結末が何とも言えないですね……。世界中の皆に何かを伝えようとするこの作品、全体的にとても良かったです!

2008年5月『Rudolf』を観て

5月、22日、29日と帝国劇場にて、秘かに楽しみにしていたウイーンミュージカル『Rudolf』日本初演を観ました。

19世紀末のハプスブルグ帝国において、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフとエリザベートの間に生まれた皇太子ルドルフの物語です。
簡単に言えば、時代の流れが深く関わり、父親と意見が合わず、苦悩の果てに若くして男爵令嬢マリー・ヴェッツェラと心中をしてしまうと言う悲しい物語です。

宮本亜門さん演出で悲劇ながらとても素敵な日本版ミュージカルとなっています。舞台構成が奇抜で洒落たセンスが際立ち、衣装も其々適度に凝っていて新風的なセンスが目を引きます。目で楽しみ、耳で楽しめます。
また、キャストは、主役ルドルフに成長著しい
井上芳雄君。相手役マリーに笹本玲奈さん、彼女も成長著しく多くの賞を受賞しています。この2人が中心に立てば歌唱力は安泰、この舞台に掛ける意気込みも伝わり、素晴らしい熱演でした。その他、哀れな皇太子妃は知念里奈さん、悲壮な叫びと熱唱に心痛みます。元宝塚男役トップスターの香寿たつきさんはマリーの親友役ですが、男役だった声がすっかり女声に変換していて、歌いっぷりも見事でした。ベテラン岡幸二郎さん、今回は皇太子の前にはだかる悪役ですが、存在感と響き渡る歌声は圧倒されます。その他にも売出し中の若手面々が出演しており、若々しいミュージカルとなっています。

1回目観劇よりも2回目の方が自分としても観慣れ、聴き慣れたせいか、日を経たせいもあるのでしょうか、言い知れぬ感動がしばらく残りました。とにかく、しっかりとした作品で音楽も役者も装置もフレッシュ、悲劇だけれど、とても良かった!そんな感じです

2008年2月24日(日)ウエディング・シンガー(日生劇場)

2月半ば(2/15.2/22)ブロードウェイミュージカル東宝盤ウエディング・シンガーを観に行きました。

井上芳雄主演、上原多香子、鈴木ン馬、新納慎也、大隈賢也、樹里咲穂(元タカラジェンヌ)、千秋しん(元タカラジェンヌ)、初風淳(元タカラジェンヌ)さん方々で構成されているとっても楽しく愉快な作品です。

アメリカのニュージャージー州を舞台に青春物ハッピーエンドストーリーになっています。全体的に高テンションで、歌が皆上手い!ダンスも超弾けています。

井上君は等身大の役柄なのですが、傷つきやすい若者の性格を力いっぱい演じています。ジャズっぽい歌も凄く上手です。一頃の硬さが取れて、舞台でのしなやかな成長が感じられますね。
相手役の上原さんも自然で、歌が上手いし可愛らしいです。
友人役の樹里さんは凄い弾けっぷりで、スターのオーラも凄まじく好感度アップです!!
ちょい悪役?の大隈さんもはまり役で良い味を出しています。さすがダンスの切れも良く、演技も上手いです。
ミュージカルでお馴染みの鈴木さん。今回は人が良くて少しお馬鹿で、ずぼらなミュージシャン役、友達思いな所が良く、成り度はさすがです。
千秋しんさんは娘を金持ちに嫁がせたいと言う要望のある上品な母親役でした。初風さんも、ここではモダンでキュートなおばぁさん役。微笑ましくも笑わせてくれました。

私としては元タカラジェンヌが3人も出ていて嬉しいですし、その他、アンサンブルの人達が様々な役で盛り上げています。主役達の周りが個性的で毒々しさがあったり、嫌味があったりする分、主役や他の配役が浮き上がり、ストーリーが生き、その良さを一層引き立てているんですね。そう言う面でもバランスの取れた作品だと思いました。


演劇・ミュージカルindexに戻る     Topページに戻る