『白昼の稲妻』『テンプテーション』宙組東京宝塚劇場公演
(2004年1月9日&22日観劇記)

『白昼の稲妻』  柴田侑宏・

物語は19世紀前半のパリの貴族社会において、政経の実業家なども行き交い集います。そうした地位や品位は必ずしも美しく貴くないのです。妬み、恨み、欲望の果てに殺意までが渦巻き、政権争いが起り、内乱の末に地位を得た人物もいます。8年後の今、再び、過去を引きずった争いが、殺意が、復讐が起こらんとする。芸術家や下町の大衆演劇社会を巻き込みながら、1つの美しい愛と共に物語が転回していく。

そうした社会の痛手をもろに受け、両親や兄を殺され、他国に亡命していた美しい娘が8年ぶりにパリに戻ってきた。幼馴染の美青年が彼女との再会を心から歓迎する。最初、心を閉ざしていた彼女は、やがて、青年の熱意あるアドバイスと優しい愛に触れ、シェイクスピア劇の『オセロー』変形盤を劇中劇に使い、青年と共に困難を乗り越えて悪に立ち向かう。芝居は上手くいき、娘達の勝利となる。

結末が主役2人のハッピーエンドで終わっているから、それはそれで良いのだけれど、悪人ランブルーズはその後どうなったのだろうか?身の破滅にはなったかも知れないけれど、観念しているのかしらん?アルベールの身が危ない〜!なぁーんて余計な事を心配してる私(笑)。

キャストについて

和央さん(アルベール)と花總さん(ヴィヴィアンヌ)はいつもながらの安定した演技です。
中でも興味深いのは役替わり悪役ランブルーズ侯爵です。上手い具合に私は両人を見ることが出来ましたので、感じた事を記します。水さんのランブルーズ役は悪人として腹の座った感じで、冷ややかでゆとりさえも感じさせられます。顔付きや骨格にも雰囲気が出ています。独特の鼻に掛かった声は嘘で固めた大人の悪党って感じで、貫禄があります。
安蘭さんの方は、首の付け根が座っており、その辺りから威厳を発していますね。歌の上手さには安定感がありますし、怒り狂った時に、目をカッと見開いた様は凄みが感じられましたね。ただ、目がパッチリと綺麗なので、あまり悪党に見えず、年齢も若い感じですね。
古着屋サバティエ役の大和さん、さり気なく主人公を助けて案外と良かったです。公爵未亡人ギャランティーヌ役の貴柳さんも良かったです。かなみちゃん演じる女優ベラに振られてしまった初風さん演じるオーギュスト、友達思いで芝居が無事に終わって、1人寂しく出て行く所が、ちょっと可哀想〜。

『テンプテーション』ー誘惑ー  岡田敬二 作・演出

最初は随分満艦飾だなと思ったけど、さすが岡田先生、見所は結構ありです。中詰のインドシナ、ベトナムの所、『白い蓮の花』の歌に乗って盆が廻り、柔らかで美しい雰囲気がとても宝塚らしい。学生みたいな衣装姿(人民服?)のたか子さん、長身が映えて、スッキリと格好良いです。花ちゃんもお人形みたいで、とても可愛らしいです。歌も昔、何処かで聞いたような、懐かしい香りがしましたよ。

ガイチさんを筆頭にしたパーフェクトマン、楽しくて良かったです。

大和さんの女役には圧巻!ガイチさんと組んだ時はユニークさも含んで、楽しかったし、たか子さんとのデュエットは超綺麗!足の長さといい、甘さを含む美しさといい、目を見張るものがありますね。原色(オレンジ)が似合うお見事な大柄女性で、リカさんの女役に負けてない(笑)。(リカさんの怪しげなお色気には負けてるけどね。笑)

熱愛のボレロは、他の作品でも見聞した歌と踊りで、燃えるような赤を使った背景に、白地に銀を散らした衣装は凄く素敵です。(数年前、岡田先生作、雪組公演『ラ・ジュネス』の男役の衣装は黒地に炎の模様でした。その時もトップさんの相手役は花ちゃんでしたね。たか子さんや安蘭さんも一緒に出演していて、ちょっと懐かしかったです。)

フィナーレは黒燕尾の踊りです。ピシッ!と決まっていて、とても良かったです。やっぱり、黒燕尾の男役のダンスは格好良いし、花ちゃんの赤いドレスが映えてとても綺麗。

パレードの色彩は私の大好きなストロベリーピンクです!トップさんの背負い羽根は、それに白と黒を合わせて、花ちゃんのゴールド色のドレスは実にお見事でした。先月の雪組公演『レ・コラージュ』のパレードのブルーも綺麗だったけれど、濃いピンクも本当に綺麗ですねぇ〜!
宝塚の舞台美術の見事さを感じます。

2004年1月29日Yuko記

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