その他観劇記 一路真輝さん編
2019年9月2日(月)『リハーサルの後で』新国立小劇場
9月2日(月)、もう秋です。暑さも少し柔らかくなって、早速観劇に出掛けしました。
一路真輝さん出演の戯曲『リハーサルのあとで』を新国立小劇場にて観ました。
京王線一本で行ける初台駅は家から案外近くで、ゆっくり出掛けられます。いつも入るイタリアンのお店で昼食を済ませました。
前から3列目の下手よりの通路側の席で、とても見やすくオペラグラスは不要でした。
出演者は一路真輝さん、榎木孝明さん、森川由樹さんの3人だけです。
机、椅子、ソファーが置かれた大きな事務所の一室、この1場面だけで話が展開します。おそらくその向こうの部屋は演劇のお稽古場になっているのでしょうか。芸達者な3人が同じくらいの重圧でセリフをしゃべり、演技します。
演出家ヴォーグレル役の榎木さんは膨大なセリフを長々と喋ります。つまり役者の演技について理路整然と語る訳です。よく突っかからないなと感心するほどです。
対するは森川さん演じるアンナは、若手新人女優です。新人女優としての意見を演出家に向かってしきりに述べています。
しばらくして、そこへ、突然幽霊が出てきます。
演出家の記憶の中にあるのかも知れませんが、元大女優だったと言う演出家ヴォーグレルの妻ラケルです。一路真輝さんがラケルを演じています。
ラケルは死んだ人ですから血の気が失せた顔色で地味で清楚な衣装です。いきなり出てきて、昔の恨みつらみを喋りまくります。
ラケルを演じる一路さんの台詞回しが見事です。膨大なセリフなのにいかにもその哀れな女優に成り切って、迫真の演技を40分位ずっと見せます。
幽霊が噛みつかんばかりに演出家に向かって、内容的には男と女として、旦那と妻として、果てしなく喋ります。
立場を変えて聞くと、結構、納得させられる部分もあります。
これは20世紀後半の北欧演劇から世界に広まったと言うイングマール・ベルイマンと言う人のテレビ映画作品だそうです。
それを『リハーサルのあとで』と称して舞台化したようですが、歴史ある作品なんですね。
久々に一路さんの作品に浸って感慨深かったです。
2017年2月24日春の兆し
ここ数日、吹き抜ける風に春の兆しを感じますね。「来週は3月、ひな祭りか〜」とびっくりするほど月日の経つのが早く感じられます。
顎関節は何とか治って、歯医者の治療も一応終わりました。
先週は久々に一路真輝さん主演のお芝居を三越劇場に観に行きました。
中央のとても良い席でゆっくり観劇。石井ふくこさん名作劇場の一つ、『君はどこにいるの』と言う作品です。
他に主な出演者は西郷輝彦さん、竹下景子さん、森宮隆さん、渋谷飛鳥さん、いまむらいづみさんらが繰り広げる、日常的な人間味のあるホッとした物語です。
竹下景子さんやいまむらいづみさんのベテラン演技が光ります。
一路真輝さん演じるミコ役は残念ながら最後は死んでしまうのですが、どことなく寂しげだけど、快活で歯切れのよい名演技を観て、何となく自分もほっこりとした気分になりました。
「梅一倫、梅一倫ほどの暖かさ」そんな言葉通り、春はすぐそこにです。お読み下さり有難う御座いました。
2016年5月28日(土) そよ風と新緑もあと少し
皆さん、こんにちは!そよ風と新緑の春もあと少しで、うっとおしい梅雨になりますがいかがお過ごしでしょうか?
ずいぶん、ご無沙汰してしまいました。年齢のせいもあって、だんだんと沢山の事が出来なくなってきました(苦笑)。
無理をして頑張った後は、手や腰が痛くなって、結構厄介なんですよ。ですから、言い訳みたいですけど、ついついご報告が遅れています(陳謝)。
先ずは、忘れないうちに昨日(5月27日)のことをお話しますね。
久々の観劇ですが、昨日は世田谷区三軒茶屋にある、世田谷パブリックシアターと言う所に初めて行って来ました。
行きは京王線、井の頭線、田園都市線を使って、劇場に辿り着きました。途中渋谷で昼食をしましたけどね。
開場時間よりも早く着いたので、ロビーで少々待ちましたが、客席は500人程入るなかなか洒落た造りの小劇場でした。
一路真輝さんが出演なさる舞台だったので、出掛けた訳ですが、作品事態はちょっとショッキングな怖いミュージカルでした。
舞台は一幕だけで照明や家具の配置で物語を表していました。次々と場面が変わる宝塚大劇場とは大違いで、役者の演技がモノを言う作品です。
その不気味なミュージカルは「ブラック・メリーポピンズ」と言い、脚本、作詞、音楽はソ・ユンミさんです。韓国出身の方ですね。キャストは小西遼生さん、上山竜治さん、中川翔子さん、良知真次さん、そして一路真輝さんと、5人だけです。
ある日突然、心理学者である博士の豪邸が大火となり、博士もろとも焼失してしまい、家庭教師であった一路真輝さん扮するメリーが養子達4人を必死で救い出した後、全身火傷を負った家庭教師のメリーは失跡してしまった。
なぜ火事になったのか、事件当日の記憶を失った4人の養子達が12年を経て、事件を解き明かそうと苦難する物語なんですが・・・。
悲惨、残酷、耳をふさぎたくなるような事が解明されていきます。私は想像もしていなかったので、かなりショッキングな作品だと思いましたが、一路真輝さんは変わらぬ気品があって、役柄も悪くはなかったし、他の役者さんも大変な熱演ぶりでしたけどね。
ところで、宝塚OGが演じる劇場に出かけると、偶然、知り合いに会うものです。一路真輝さんの舞台を見に行くとよくお見かけするMさんで、2、3回ご一緒にお茶した事もあります。
終演後は世田谷パブリックシアターの最上階、キャロットタワー26階のカフェに案内してもらい、世田谷の街が一気に見渡せ、晴れた日は富士山も見えるとかで、小1時間ほどMさんとお話をしました。
宝塚関係の話が出来る方との語らいは久しぶりで、あれやこれやと話が弾み、時間が経つのもあっと言う間でした。さらに、おまけは路面電車に乗車出来たことです。
Mさんのお住まいは京王線の下高井戸で、田園都市線ではなく世田谷線で一緒に帰ろうという事になりました。
私も路面電車に乗って世田谷の街や懐かしい松原町辺りを見たいと思っていたので、ちょうど良かったのです。
そんな訳で、観た作品は少々きつかったけど、おまけが着いて、のどかな一日になりました。長くなりましたので、また書きますね。yuko
2011年7月24日(日)一路真輝『リタルダンド』観劇
7月23日は久しぶりに渋谷パルコ劇場に出掛けました。土曜日の渋谷の街は自由気ままな服装をした若者でごった返しています。
夏休みに入ったせいもあるのでしょう、何と人が多いんだろうと思いながら、多く立ち並ぶ珍しげな店先をきょろきょろと見過ごしながらスペイン坂をパルコ方面に向って登りました。劇場に向うワクワク気分でね〜。この日は「アンナ・カレーニナ」以来のお芝居出演の一路真輝さんを観る為で、上演作品は音楽劇『リタルダンド』です。
全キャストは一路真輝さん、吉田鋼太郎さん、高橋由美子さん、伊礼彼方さん、松下洗平さん、市川しんぺーさん、山崎一さんの7人だけです。それはとっても重い内容のお芝居で、一路さん扮する洋子が結婚して6ヶ月目に夫の吉田さん扮する潤治が若年性アルツハイマー病に侵されていくお話なんです。
夫は再婚で23才になる一人息子がおり、前妻は3年前に交通事故で亡くしています。彼は「リタルダント」と言う雑誌の編集長で仕事がバリバリ出来る人だったようです。妻を亡くして、しょげ込んでいた彼は職場の繋がりで洋子と結婚する事になりますが、猛反対した息子の恵治は家出をして半年も家を離れています。
他には編集社員として高橋由美子さん扮する吉野康子(多少訳あり)、伊礼彼方さん扮する編集社員の藤原雅彦。雑誌関係者としては市川しんぺーさん扮する泉拓郎、洋子の事を心配する兄に山崎一さん扮する小松義男などです。
舞台構成は家庭内の風景一場面だけで2時間余りですから、凄いですね。居間を中心にして、食卓やキッチン、玄関、ベランダ、トイレ(隠れている)などがあり、よくまぁ、こんな小さな空間にこれだけのものを詰め込んだものだと感心しました。先行き真っ暗な病気の話なのだけれど、そこに音楽が入り、人々の自然な暖かさや、飛び出した息子までが全てを理解しようとして、自分が変わっていく姿があり、前妻と後妻の区別が付かなくなった夫を洋子は傷つきながらも献身的に看病していきます。
どうしようもなく大変で病魔は進行していくのです。でも希望やユーモアはなくさない、人々の愛も感じます。一路さんのさりげなく気品ある演技も良く、洋子と言う人物を自然な感じに作り上げる所がさすがですね!
リアルで果てしなき戦いが始まったばかりで、終わりが無い事にある意味で勉強になりましたし、流れる音楽が重さを少し和らげていたにしても、私自身や家族にも無関係では無い深刻で切実な思いがしました。