『喝采』〜愛のボレロ〜 

帝国劇場 2004年7月1日(木)〜7月25日(日)

作・池田政之 演出・山田孝行 

〔キャスト〕 浜木綿子 紫吹淳 目黒祐樹 池畑慎之介 左とん平

風花舞 伊織直加 大路三千緒 臼間香世 他


浜木綿子さんの舞台人生50年を記念して、帝国劇場で1ヶ月間繰り広げられた『喝采』!!
ほんわかとしたお茶の間的なお芝居に宝塚的要素が織り込まれ、和と洋が入り混じり、何とも不思議な作品でした。
最初浜さんの自叙伝かしら?と思っていたのが、そうではなく、浜さん扮する立花愛がかつて大スターであった亡き姉に寄せて、夢の実現の為に姉が在籍していた桜舞踊団の再建に力を注ぐお話です。

立花愛(浜木綿子)の暖かなユーモア溢れる人望に多くの人が手を貸し、心を動かされ、やがては難問解決して、新しいスターが誕生します。それが紫吹淳さん扮する影山香璃(リカ)です。
リカは桜舞踊団の希望の星で優れたダンス力を持ちながら、劇団にはほとんど顔を見せず、劇団仲間や父親の心配をよそに、不良仲間と付き合い、毎日荒れた生活をしていました。
桜舞踊団には観音崎すみれ(池畑慎之介さん)と言う高慢ちきで時代遅れのスターがおり、そのすぐ下には前途ある門倉杏子(風花舞)と、香取あずさ(伊織直加)がいます。演出家には佐伯五郎(左とん平)と言う、ユニークで憎めないけど、今いちさえない演出家がいます。その他吉野定子先生(大路三千緒)を初めとする若手の劇団員(宝塚のOGや役者さんなど)が日々真面目にレッスンしています。
リカ抜きで地方のホテルなどで興行したりするのですが、いまいち好評を得ません。舞踊団がつぶれるのも時間の問題〜かも〜?
そんな時、立花愛が現れます。舞踊団のオーナーの夢と団員達の思い、そして自分の姉の為にも立花愛は自分が演出家となり、再建の為に一大決心をします。
大らかで暖かさと優しさを持つ立花愛の人柄が、ひねくれた影山リカの心を解きほぐし、心配する父親影山良一(目黒祐樹)と仲直りをさせて、努力と勇気が運を呼んだのか政財界人からは多大な融資を受け、そうした多くの人の協力を得て、目出度くも桜舞踊団は待望の帝国劇場で『喝采』の幕を開ける事が出来たのです。(ここの所だけは現実と上手く重なっていますね)

話としてはこんな感じなのですが、何と言っても役者浜木綿子さんの持ち味が好感を呼び、それを支える芸達者な左とん平さんに池畑慎之介さんの日々変わるアドリブ、ユーモアが客席を盛り上げていました。
宝塚を退団して間もないリカさん(紫吹淳)はとても自然体の演技で感じが良く、フィナーレのダンスはやっぱり素晴らしい!風花舞さんとのデュエットボレロはお手本と言う位に、息もぴったりで、宝塚っぽい見所となっています。

直ちゃん(伊織直加)の役は舞踊団の2番手格の男役です。普段の稽古場ではファショナブルな洋服を着て、とても綺麗な女の子です。ただ、香取あずさは真面目故に他の人よりも感情があらわに出る時があって、かなり激しいので、ちょっとビックリしますが、根は優しい普通の女の子です。リカが居ない時の舞台では門倉杏子(風花)ととても格好良く踊っています。幕開きの白燕尾(白スーツ?)はとっても格好良いです!!2幕の最初の稽古場も赤いシャツで観音崎すみれ(ピーターこと池畑慎之介)にレッスンを受けていますが、それはちょっと男役でも女の子でもないすみれ(ピーター)のお相手役と言うところでしょうか〜?
そして、フィナーレの黒燕尾バックダンサーの主席を勤めているのも直ちゃんです。男役化粧も程良くて、とても綺麗ですね!!

風花舞ちゃん(杏子役)は元々芝居も上手く自然な感じで、ダンスも抜群、真剣に踊っていて好感が持てます。

フィナーレは中段を設けた大階段形式で、舞台前では浜さんとピーターが日本舞踊を披露し、中段では紫吹さんと風花さんがボレロを披露、やがて直ちゃんを中心とする黒燕尾軍団が階段上をしめ、和洋混合豪華なフィナーレとなります。
『喝采』のテーマ音楽も良いですよ。最後は大路三千緒さんも黒燕尾を着こなし、中段横手より中央に出てきます。直ちゃんが手を取ってエスコートし、下段に導きます。微笑ましくも華やかに幕となります。終わり

2004年7/25 yuko


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