『夏の夜のロミオとジュリエット』  

天王洲アートスフィア、2005年8月24日〜8月28日

公演期間が短くて、あっと言う間に終わってしまいましたが、私はそのうち昼の公演を3回続けて観ました。天王洲アートスフィアはこじんまりとしたなかなかのお洒落劇場です。

作・演出・振付は玉野和紀さん。躍動的ダンスにタップと豪快な歌、クラシックにジャズ音楽ありの玉野編シェクスピア物語です。

キャストも実力派揃い!本格的な歌いっぷりの坂元健児さん唸るような響きのある立派な歌声に圧倒されました。
東山義久君のダンスは若さと躍動感に溢れ、それはそれは素晴らしいですし、ダイヤモンド・ドッグメンバーが所狭しと飛ぶは回るわと、大活躍していました。

伊織直加ちゃんは天使が奏でるクラシック調のメロディを、綺麗な裏声的発声で披露しました。天上界にいる時は白い衣を着て、人間界に降り立った時はピンクのワンピースです。胸のコサージュが美しさを強調していましたし、後ろに軽く束ねた長髪もお似合いでした。17、18才の乙女天使ですから、初々しい感じで、とても綺麗ですねぇ〜。

同じく宝塚OGの
三咲レアちゃんはダンス専門。物語では直ちゃんとライバルになるのですけれど、東山君と対等に素晴らしいダンスを披露してくれました。可愛らしくてスタイルも抜群、なかなか格好良かったです。まるで、『ピーターパン』のインディアン娘タイガーリリーがそのまま駆けつけて来たようです。(笑)


ストーリとしては、人間と天使の恋物語で、「夏の夜の夢」プラス「ロミオとジュリエット」なのです。

舞台は上下2つの世界で区切られています。1つは天使が住む天上界、舞台の上に位置します。その下に人間界があり、天使達はいつも人間界を眺めています。
ポセイドン(坂元健児)は天上界の実力者で、人間の行いが気にくわぬご様子、仲間の天使達を連れて、人間界に降り立ちます。
人間界では、ポセイドンの兄にあたる
ゼウス様(平沢智)が営むカオスと言うジャズクラブに、人間の若者達が退屈しのぎに来ています。

若者のリーダーは佐藤ひろし(東山義久)。仲間には田中だの斉藤だの渡辺だのありふれた名前がゴロゴロ〜。佐藤の彼女は渡辺房江(三咲レア)。若者達はそんな苗字に飽き飽きしています。話はそんな所から始まります。

ポセイドンは人間を小馬鹿にしているかのような横柄な態度で現れ、ちょっとした行き違いからダンス合戦に入ります。
ダンスが終わった頃、ポセイドンの婚約者である天使
アフロディーテ(伊織直加)が人間界に飛び込んできます。美青年佐藤ひろしと清純な乙女アフロディーテは一目ぼれ!
怒ったポセイドンは2人を引き離し、アフロディーテが人間界に行く事を強く禁止します。しかし、好奇心と騒ぐ心を抑えきれず、アフロディーテは再び人間界へと〜。

佐藤との2度目の出会いは公園のベンチ。「こんにちは、人間!」なんて言うから愉快です。恋の花が開くかのようにユーモアと可愛さが入り混じり、直ちゃんのアフロディーテぶりはなかなか美味です。東山君の佐藤ひろしぶりも良く、2人は息が合っています。
それを佐藤の彼女(三咲レア)が影でやきもき〜、アフロディーテの守役
アテネ(ヒルナオミ)も心配で見守っています。
前向き一点張りのアフロディーテをすっかり気に入った佐藤、2人の心は大接近!しかし、ポセイドンが許すはずがありません。怒り狂って、またもや2人を引き離します。
恋に目覚めたアフロディーテの思いは募るばかり…。
ポセイドンとの婚約を解消して欲しいと頼みますが、聞き入れてもらえるどころか、監禁されてしまいます。
天上界ではアフロディーテが泣き叫び(歌で表現)、下界では嫉妬の炎を燃やした渡辺が、佐藤ともつれ合うように激しいダンスを見せます。上級ダンサーの踊りはさすがに凄く、見事です!!

万能の神ゼウス様によって、アフロディーテは助けられ、佐藤がいるジャズクラブに連れられてきました。ゼウス様そっちのけで2人の思いは一気に溢れ、素敵なデュエットダンスが始まります。
(直ちゃんは東山君のリードに乗って軽やかに踊ります。まるで夢ごこち〜?それとも必死〜?あっ、失礼!)

しかし困った事に、この4角関係はなかなか解決しません。寛大な御心を持つ反面、冒険好きなゼウス様は、はてさて、どうしたものか??と、妖精パック(玉野和紀)を呼び出します。
可愛くはないけど、一癖も二癖もある可笑しな玉野パックです。でもタップダンスは抜群ですよ!気まぐれパックは壁の向こうからとか、いろんな所から現れるんです。
(平沢さん、玉野さんの軽快なやり取りがとても面白いです)
ゼウス様は四角関係を何とかする為に恋の三色スミレを摘んで来るようにパックに頼みます。

さて、ポセイドン率いる天使達と佐藤率いる人間達はクラブで決闘に発展していきます(決闘ダンスシーン)。
そこで、ゼウス様は眠り薬入りの酒を全員に振舞って、一旦は寝かせてしまいます。
パックが恋の三色スミレを取ってきましたが、ゼウス様は女房殿よりお呼びが掛かり、その場をパックに任せて、出て行ってしまいます。
パックは適当に三色スミレの花粉を撒き散らします。花粉を振りかけられた者は目が覚めると、目前の人物に恋すると言うのです。
さぁ、大変!!全員が目覚め、男女メチャメチャに恋騒ぎと化したではありませんか〜。
(悪戯が過ぎて、ふざけた場面なのです!会場は大笑いです)
用を済ませ、戻って来たゼウス様は、成り行きに驚き、最大の威力を発揮して、元の状態に戻します。

再び、怒りのダンスが始まります。ナイフ持参の立ち回りは凄いです。アフロディーテの直ちゃんも後半からダンスに参加です。
天使は1度死ぬと人間に成れると言うのです。アフロディーテはナイフで自分の胸を刺そうとしますが、佐藤やポセイドンが必死で止めます。
(この辺りの掛け合いもダンスシーンなので、人と人がぶつかりはしないかとハラハラドキドキさせられますけど、さすが洗練されていて、大したものです)

 

いよいよ結末です。佐藤はポセイドンを刺すつもりが、止めに入ったアフロディーテの胸を刺してしまうのです…。
過ち故に、歎き苦しんだ佐藤はついには自分の胸を刺す事に…。人間になったアフロディーテが目覚めた時、佐藤は二度と帰らぬ人に……。(泣)
人間の死は1度だけ…。人間になったアフロディーテは再び死を選ぶのです
これぞ玉野流ロミオとジュリエットなのです!!
折重なって倒れている二人を見て、初めてポセイドンは悲しみます。2人の愛の深さに気付くのでしょうか?渡辺も同じです。残された者達が改心し、更なる偉大な神に2人の復活を願わくば、『別世界でなら永遠に生きられる』とのお声が下ったです。
天より白衣が下り、2人をそっと包み込むと、そのままアフロディーテと佐藤ひろしは遠い国へと導かれて行きました。おわり


まるで、『エリザベート』の結末のようでしたねぇ〜。
舞台装置は天上界と下界のクラブに公園のベンチセットだけです。
衣装は天使以外は皆着たきり。無駄が無く、面白くて可笑しい、少しだけ悲しい、
あらゆるジャンルをコラボレーション化し、本当によく纏まった
夏の夜の夢でした。

2005年9月2日yuko記

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