『からくりお楽』 帝劇5月特別公演 宮川一郎=作 佐々木猛=脚本 山田孝行=演出
5月16日(木)に帝国劇場公演『からくりお楽』を観ました。主演は赤坂の一流芸者、お楽を演じる浜木綿子さんです。私としては宝塚出身のOGが沢山出演するので、ちょっとした楽しみもありました。
主な出演者は 浜木綿子 杜けあき 五月みどり 高嶺ふぶき 星奈優里 貴咲美里 久城彬 佐野浅夫 中条きよし 丹羽貞仁 深江章喜さんらです。
物語は飛騨高山を舞台にお楽さんの人生を通して、拘わった人々との絡まった糸を解いていくと言うお話です。ベテラン浜さんの粋でさらりとした人間味が見所なのでしょうね。
高嶺ふぶきさんは18歳のおきゃんな乙女役です。可愛くて、ちょっと我がままな娘の感じがよく出ていました。板前さんとのストーリーもあるのですが、出番が少ないのが勿体無いですね。
杜けあきさんは格式ある三条家の令嬢を好演です。極端にプライドが高く、お楽さんとは恋がたきです。終盤、お楽さんの言葉に、ハッ!と我が身を見出した時は、思わずホロッとさせられてしまいました。(唯一感動した所です)
退団したばかりの星奈優里さん、久城彬さんと、一言二言台詞があります。さすがに上手で、可愛らしかったですよ。芸者姿の貴咲美里さんも、しっとりと美形でしたし。
お楽さんの愛息も出て来るのですが、事情あって、離れており、一緒に暮らすようになった矢先に、あっけなく事故死をしてしまい、その辺のストーリーの転回が早くて、あっさりと流してあるので、残念ながら感動が残りません。
お楽さんの人柄と浜さんの持ち味をミックスした作品だと思うのですが、それも今一つ押しが弱い気がしました。浜さんの爽やかさと、台詞の歯切れの良さはいい感じなんですけどねぇ……?
つまり、人生における様々な出来事や事件を作品の中に入れ過ぎて、どれもこれもあっさりと流してしまう所に、今一つの感動が残らないのだと思います。
作者はもっと、もっと、考えて作って欲しいですね。主演も生かされてないし、折角の実力スターが幾人も出ているのに、それもあまり、生かしきれていないのです。
では、せめて、フィナーレに高山踊りでも派手に転回して、太鼓やお囃子、からくり人形等を見せて終わって欲しかったですねぇ。2〜3日前に浜さんが手首を骨折なさったと聴きました。その為にフィナーレの踊りを割愛したそうですが、主役が踊れなくても急所お囃子位は出来たでしょうに、観劇する人の身になって欲しいですね…。
辛口な批評になってしまいましたが、帝劇公演と名が付くからには、立派な役者さんも揃っているのですから、演出家や作者は観る人の側に立って、よく考えて欲しいものです。〔2002年5月18日記〕
『チャーリーガール』帝国劇場2002年4月公演
2度も観ました。最初は一列目の真ん中近くで、堪能。2度目は2階席の一番前だったけれど、それはそれで、全体がとてもよく見えて、楽しめました。
タモさんは本当に綺麗!下着姿になった時はちょっと、ビックリだったけど、美しさには代わりがない。本当の愛する人に気付いた時、愛の鐘がキンコロリンとなる所がとても、可愛いくて、素敵!
鈴木綜馬さんのジャックが凄く良かった!あんなにユーモアセンスが光る人だとは思わなかった。さすが役者って感じ。歌も勿論素晴らしかった。この人は来年一路さんとのキスミーのお相手をするからとても楽しみです。これだけ、ユーモアのある人だから、あのフレディ役はどんなに面白くなるか期待大です。
その他、ジャックのお母さん役の森久美子さんも凄い威圧感、ボリュウム感で、歌のスケールも凄い。後は、「エリザベート」でフランツ・ヨーゼフの母、ゾフィ役だった、初風諄、ここでは落ち着いた伯爵夫人だったけど、歌声が透き通るように綺麗。太川陽介さん、ここでも目立っていましたね。
その他、後で判ったことだけれど、『キス・ミー・ケイト』でお目にかかったダンサー達は、ここでも皆出ていたのですね。全然判らなかったけれど、例えば、直ちゃん、ビアンカの赤坂君以外の求婚者、水野さん、日比野さん、受付の井上さん、女性ダンサーも一杯で、小野さん、ちあきさん、栗原さん、柏木さん、一倉さん、内田さん達。一路さん、キャタリーナに水の中に顔を突っ込まれた俵さん、田沢さん、須田さん、小道具係の乾さんや石山さん、そして、春風ひとみ姉さん等等、作品によって、雰囲気がずいぶん、違うものですね。
もう一度、チャーリーガールを観ると、また、違った目線、気持で観れるかも…。
東宝ミュージカル『風と共に去りぬ』2001年8月10日昼公演 |
演出 山田和也 潤色 堀越真 音楽 佐橋俊彦 秋元康 |
主なキャスト 大地真央 山口祐一郎、杜けあき、今井清隆 |
『風共』のマイブームが過ぎ去った今、偶然な機会を得、観る事になりました。
『風と共に去りぬ』と言えば、宝塚バージョンが嫌と言うほど身に付いているし、映画や本でもお馴染みで、元々私の好きな作品です。
3時間たっぷりの上演で、宝塚のように夢があり、綺麗で、ショーがあるわけではないけれど、ベテラン揃いの出演者、其々の演技が上手い為、見応えは充分にあり、自然に物語りに入り込めました。
大地さんのスカーレットは、小さな顔立ちとウエストの細さ、全体のスタイルの良さから、どの衣装もぴったりで、大人のスカーレットの感じを出していました。まろやかな歌声、何処となくユニークさも含んだ、大地さんのキャラクターらしきスカーレットでした。
山口さん!今度はバトラーですか…。
この間はトートだったし、いや、トートの真っ最中じゃないですか!(笑)。ジャンバルジャンの時もあったし、まるで七変化ですねぇ。トートが化けているみたぁーい。いいえ、すっきりとしたスマートで綺麗なバトラーです!映画のようにたばこ臭い成熟した、少々、女たらしのバトラーではないのです。歌は言うまでもなく、暖かく包み込むような歌いっぷりで、申し分ないですよ。メラニーは杜さん、安定感のある落ち着いた雰囲気で、綺麗な高音で優しく歌う。大石蔵之助の名台詞「思い残す事は御座らぬ!」と言い残し、宝塚を去った時の低い声がまるで、嘘みたいな変身ぶりです。
スカーレットとは対照的に地味な洋服と、控えめな行動故に、元々押しが強い印象もあるので、ちょっと可哀想な気もしたけど…。アシュレは、オペラ座の怪人でお馴染みの今井清隆さん、素晴らしいバリトンの響きは絶品。割腹のいい腰周り、やや中年の感じのアシュレかな…。目元の優しさと、品のある風格で、アシュレらしさを出しています。
(ゆきちゃんのアシュレを観て、高嶺ふぶきに、はまってしまった私!「マグノリアの花」を歌うアシュレを、つい、思い出してしまったけどね…。)マミーには花山佳子さんが挑戦で、ビックリです。花山さんって、私の中では、色白で明るく大人の雰囲気を持ち、綺麗なソプラノで大きな演技をする人!と言う印象があります。そんな面影が無いほど黒塗りで、バンダナを頭全体にすっぽり巻いているし、お腹の周りも肉座布団を巻いているらしく、かなり、でぶっています。思いきった挑戦で、驚くばかりですが、いい感じを出しています。途中、ゴスペル調な独唱場面があって、聞かせてくれる程に大活躍でした。もう一度聞いてみたい気がします!
安崎求のチャールズは、『王様と私』で素晴らしい歌声を聞かせてくれた人です。
ジェラルド・オハラに扮した歌の名手、林アキラさん。レミゼラブルで慈悲深い天主様に扮した人でもあります。
ここで、この人の歌を幕開きに聞けるとは思わなかった!
印象に残った主な人は、この位でしょうか。とにかく聞かせてくれる『風共』でした。
舞台装置は、さすがに大掛かりです。戦闘の中、馬車でアトランタを脱出する場面は、煙と炎、爆音と、その凄さを大胆に表現していました。いきなり数発の爆音と激しい光で、かなり、びっくりさせられました!!
例の階段の場面も立派な作りです。結婚のお披露目的な所はないけれど、新婚旅行の場面等、スカーレットの幸せなひとときをたっぷりと取ってあります。
ストーリーの中盤、タラのテーマやタラの場面が少し違えてあり、最後に形を変えて、タラの空が夕焼けに染まり、明日を信じて、佇むスカーレットのシンプルな姿が、とても効果的でした。音楽は作られたばかりで、初めて聞くにはあまり馴染みがないです。つい物語の方に入り込んでしまうのと、宝塚盤の歌が要所要所に私の体内に埋め込まれているので、親しみが湧かなかったのでしょうか。
もう1〜2度観ると余裕で聞けるのかもしれませんね!その素晴らしさに浸れなかったのが、ちょっと残念です。それにしてもこの作品は、女性的なストーリーで、感動を呼びますね!何もかもがスカーレットの身になってしまい、泣きたくないのに初めから終わりまで、目から水が出ていた私です。周りは誰も泣いていなかったと言うのに…。(笑)
『桜祭り狸御殿』 【2001年4月20日、梅田コマ劇場にて】
思っていたより、なかなか楽しい作品でした。
芸達者揃いで、全員の迫力と心意気が凄いです。
宝塚在籍中にトップを極めた人は、必ず目立つ役所を貰っており、全体的に上手く構成されていましたし、誰もが歌も踊りも芝居も上手くて、恐れ入りました。
大御所の美吉佐久子さん、大路三千緒さんコンビの演技は健在、お元気です。
その名も有名な鳳蘭、汀夏子、榛名由梨、瀬戸内美八さんらは、初めて、舞台を観ましたが、さすがにお上手です。
峰さお理、高汐巴、寿ひずるさんらも目立つ役所で、其々に違った個性で良かったです。
若葉ひろみ、大輝ゆう、秋篠美帆さんは品位があって、今もとてもお綺麗。
商人役の千寿晄さん、お芝居の上手い事!
海峡ひろきさんは、以前雪組でやった『恋さわぎ』の金持ちの旦那風の役です。なかなかのはまり役で、大いに受けました。
真織由希さんも歌の上手さを買ってか、要所要所を歌い、役所もぴったりで印象に残りました。
麻乃佳世、森名みはるちゃんも、、現役時代と変わらず、若々しくて可愛らしかったです。
知っている人が沢山出演していたので、物珍しくもあり、懐かしさがあったのかもしれませんね…。
肝心の現役生5人(リカさん、チャーリーさん、ガイチさん、コウちゃん、直ちゃん)は、お芝居とは全く別枠で、天使みたいでした。
素敵な燕尾服姿で、お芝居の案内役、少しのトークと歌とダンスを披露してくれました。
プロローグと2幕の初めとフィナーレに、その都度、燕尾服を替えての登場です。
5人共初々しくて、スマートで、清潔感のある美しさを感じました。
怪我で、ダンス休演なさっていたチャーリーさんも、スマートで素敵なダンスが蘇ってきました。