宙組編 ’02.7月『ベルサイユの薔薇』

2001年7月、宙組東京宝塚公演『ベルサイユのばら』を観劇して、思う事

 

昔、私が観た印象では、『ベルバラ』とは、「こてこてした愛の物語だな」と思っていた。
しかし、今回の『フェルゼンとマリー・アントワネット編』は、はかなげな恋物語的印象が濃い。水面上の美しさと言うか、メルヘンチックなお菓子の国の物語、お姫様と王子様的な感じがする。場面、場面の美しさに目を見張るものがあり、良い意味での「これぞ少女歌劇!」と言う感じがした。

私が『ベルばら』の舞台を、生で観たのは、たったの4回である。
初めて観たのは、1979年、花組の地方特別公演で、我が地元にやって来た『アンドレとオスカル編』である。榛名由梨さんがアンドレだったような気がするが、配役はあまり覚えていない。
その10年後、1989年『フェルゼンとマリー・アントワネット編』が2度目の観劇で、星組の日向薫さんと毬藻えりさんの主演作品である。
そして、2001年、今回の宙組公演『フェルゼンとマリー・アントワネット編』が3度目となる。この公演は、幸運にもおまけが付き、もう1回観る事が出来て、加えて4回目となる。
あとは、テレビ中継や販売ビデオを観て、「ベルばら」の知識を得たと言う事になる。

つまりは、観る者の人生感や年齢、観劇の回数、演じる側によっても、受ける印象はずいぶんと違ってくるもの。そうした事を前提に、印象に残った所を、私なりに少し掻い摘んで、書いていきたいと思う。

プロローグは、やはり超豪華で綺麗!お菓子のお城の開幕だ
少女なら誰でも着てみたい可愛いドレス!お人形さんのような小公子、小公女。
沢山の素敵な少年少女達が、甘いお菓子の香りを降り巻きながら、バラの花咲くお菓子の国に誘う。まるで、デコレーションケーキがメリーゴーランドのようにくるくると回って…。初めて観る人なら、思わずため息が出てしまうであろう、世界だ。やがて綺麗なお姉さんとお兄さん(フェルゼンとマリー・アントワネット)が愛のせつなさを歌いながら登場。場面が変わるとバラと劇画が描かれた壁が舞台一杯に広がり、くり抜いた壁の左右から、アンドレとオスカルが愛の歌を歌って登場。フェルゼンとマリー・アントワネットも再び歌う。

宝塚ファンだから案外驚かないのかも知れないが、実際観ると、やはり豪華で思いきった舞台装置に感心する。ベルバラはやっぱり凄いと、ここでまず思う。

和央ようかさんのフェルゼン、優しく落ち着いた雰囲気を創り上げている。スタイルの良さ!立ち居振舞いなど、素敵である。ウエーブの優しい髪形も似合っていて良かった。

花総まりさんは、思っていた通りに上品で美しく、凛としているが、爽やか系のマリー・アントワネットである。ため息が出るような数々のドレスの着こなしも素晴らしかった。頭のてっぺんから、よく抜ける声で、気持ち良く歌い、聞いている方も安心できる。

水夏希さんのアンドレ役もやはり、爽やか系であるが、どことなく憂いがあり、素敵な感じがする。ブルーの軍服と黒髪も似合っていて、良かった。

出雲綾さんの歌がもっと聞きたいと思った。影ソロではあるが、折角なのだから、舞台の端にでも出て来て歌って欲しかった。「アンドレとオスカル編」ならば、モンデット公爵夫人役ももっと、生かせたであろうに…。少々気の毒だ。

ルイ16世、大峰麻友さんは、台詞の一つ一つをとても大切に表現していた。さすが、上級生、上手いなと思った。

スエーデン国王の箙かおるさん、久しぶりに舞台を拝見した。私としては『虹のナターシャ』のカメさん以来である。あの時は意地悪な女中頭役で、好感度大の大奮闘だったから、静かで大らかな国王役に、少しの物足りなさを感じた。また、あの元気の良いガラガラ声(失礼!)が、聞きたいものだ!!(笑)。

そうそう、アントワネットの少女時代の麻生あくらさん、夢のお馬車でお嫁入りが、ぴったり配役で、とても可愛らしい。私のお気に入りの場面の一つである。

そして、見せ場のフィナーレナンバーも忘れてはならない。
バラのタンゴ、水さん中心の男役の踊りは楽しくて、いい。
主役二人の真っ赤な衣装に、大階段のボレロ。張り詰めた空気が劇場全体を包む、時計の針が止まるかのように、舞台と観客が一つになる一瞬だ。息の合ったコンビで綺麗に見せてくれた。そして、最後は黒燕尾の男役全員の総踊り、皆真剣で揃っている。ファンならば、これを見なくっちゃ!と言う所だろうか……。
タカ子さん、ご成功おめでとう!!

ベルバラのストーリー転回は、いつ観ても面白く、楽しめる。1本物であっても、時間の経つのが早く感じられる。
舞台はやはり、生で観るもの!とは言っても、相変わらずの「ベルばら」チケット合戦は厳しい。少々の努力では手に入らない。
私としては、宙組公演は幸運が重なり、2回も観る事が出来たが、ノルさん主演の星組の『アンドレとオスカル編』は、サヨナラ公演であるから、ただでさえ、取れるはずがないのに、大して努力をしない私など、なおさら取れるはずがない。それにしても、まことに残念である…。

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