ホテル・ステラマリス 宙組東京宝塚劇場公演★★2005年3月観劇記〕

作・演出 正塚 晴彦

何とも複雑な思いがして、素直に拍手が送れないストーリーになっています。終わり良ければ全て良し?そんなぁ〜。

つまり、ロンドンのA社から1人のエリート社員が、今や客足が遠のいた小さなホテル、ステラマリスを再建する為に、派遣されてきた。その人の名はウイリアム・オダネル。和央ようか扮する長身で少々キザ?なイカした青年である。調査をした後、副支配人として就任し、再建に全力を注いだ結果、仕事は大成功!
しかし、当初の目的から外れ、いささか横道へ…?いや、もちろん、いろいろな見方があるので、一概には言えないが、彼は人間本来の自分を見出したと同時に1つの大きな裏切りをしてしまったのだ。
彼には婚約者のアリソン・オーウェル(彩乃かなみ)がおり、全財産を叩いてまで婚約指輪を彼女に贈り、「仕事が終わるとすぐに帰って来る!しばしの間、待っていてくれ!」と言い、彼はカリフォルニアにあるホテル・ステラマリスに出掛けて行った。
なのに、再建の苦労を共にしたホテル社長の娘であるステイシー・ランカスター(花總まり)と共感し、成功した後もロンドンに戻る気はなく、社長命令を兼ねて迎えに来た婚約者アリソン・オーウェルを一人ぼっちで帰してしまう。つまりは、婚約破棄であり、エリート社員も脱という事なのである…。

自らそれを確かめた婚約者が取り乱すことなく、礼儀をわきまえた、凛とした美しい女性であり、彼を心から愛している故に、このような結末はあまりにも気の毒である。(笑)現代的なよくある話?リアルなストーリーであるかもしれない…。しかし、何となく空しい思いが残ったのは私だけだろうか?

故に、同情したいのは、ステイシー・ランカスター(花總まり)に振られた許婚である水夏希扮するホテル支配人のアレン・ケンドール。その後も寛大な心でステイシーを見守り、寂しげに去っていくアリソン・オーウェルには「お会い出来て光栄でした。またのお越しをお待ちしております。お元気で…」と、儀礼的ではあるが、やけに暖かさが伝わってくる…。
また、その時のアリソン・オーウェルの去り際の良さ、彼女の後ろ姿にも心打たれる思いがする。
その他は、宿泊客の一人である海洋学者、寿つかさ演じるティモシー・マクファーソンが面白い!微笑ましく憎めないキャラクターに仕上がっている。最後はこの人のおかげで、この小さなホテルは大々的開発が凍結され、海や自然を生かしたリゾートホテル保護地区になったのだから…。
そうそう、彩苑ゆきさん扮する従業員食堂のおばさん(ヘレナ)役、結構良かったかも〜、はまり役って感じで…。

レヴュー伝説 〔宙組東京宝塚劇場公演★★★2005年3月観劇記〕

作・演出 草野 旦

モン・パリ誕生77周年を記念して作られたと言う、美しく夢のような星の伝説。煌く銀河に流れ星、貧しく病に犯された人間ジジが星たちに見守られて、幸せになると言う…。

夜空の銀河から星の王子オルレリアンが現れ、やがて、無数の星たちが地球に舞い降りてくる。黄色、黄色と目も覚めるような黄色使いの舞台に変わり、それがまたとっても綺麗!!
エトワール座の開幕、星たちのショーが次々に繰り広げられる。ジジは星の王子様オルレリアンに出会って、その相手役に変身する。それがまた、可愛らしく微笑ましいのだ。
踊って踊って、ジジも観客も楽しめる夢の世界。やがて、ジジの命の糸は切れるけど、星の世界で蘇るジジ。星たちが空に帰っていき、ヨンヨン出雲綾の歌声が美しく響く中、和央ようかのオルレリアンと星になった花総まりのジジは晴れ晴れと伸びやかに踊る。その息の合った軽やかなダンスは何と言っても圧巻!!戯れるように踊った2人も星に帰っていく。

そして、77年の歳月が流れて、エトワール座の星たちが宝塚の舞台に戻ってきた。華やかな宝塚レヴューのフィナーレとなる。

花總まり扮するジジがとっても良く、あどけなく純真な笑顔に、その成りきり度が素晴らしい!宇宙の銀河を表した回る舞台装置も、お洒落で素晴らしい!草野旦先生の作・演出がお見事だ!!全体的に新感覚の舞台イメージでなかなか良かった!

2005年3月30日yuko記

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