星組東京公演 『 花舞う長安 』 
東京宝塚劇場2004年12月10日観劇記


始まりの音楽がとても綺麗です。
寂しげな、もの悲しい雰囲気が舞台に立ち込め、玄宗皇帝の晩年を物語っているのでしょうか…。
皇帝の為に敵中に身を投じたあの美しい楊貴妃!決して忘れる事のないその姿に今一度会いたいと、仙人(英真なおき)にこい願う玄宗。そうした神秘的な始まりから、中国唐王朝、第6代皇帝玄宗誕生の時代へと舞台は遡っていきます。

品位と優しさ、落ち着いた風格に立派な衣装と冠、更に長身と若さがモノを言い、宝塚ならではの美しさを際立たせた湖月わたる扮する玄宗皇帝が出来上がっています。

強引とも言える手段で後の妃となる玉環を奪ってきます。周囲のざわめきを静めるべく、妃として相応しい教育を学ぶ意味もあり、半年ほど寺院に預けられる玉環(檀れい)。やがて時期到来、玉環は宮廷に入り、晴れて陽貴妃の誕生となります。それはそれはまばゆいばかりに美しい楊貴妃(檀れい)です。

檀ちゃんはその名に相応しくしっとりとした美しさで客席を魅了しています。評判は上々ですね。

華やかな祝典が催されます。中国と言えば羽根を操る技芸師達の舞が披露されますが、中心で踊る柚希礼音さんはひときわ目を引き、その舞い姿はさすがダンスの名手です!楊貴妃は他の妃から嫉妬や意地悪を常に浴びせられますが、玄宗皇帝の愛を独り占め。日が経つにつれて、その気品と美しさは更に磨きが掛かり、凛とした態度でその意地悪や嫉妬に立ち向かう楊貴妃です。

一方、楊一族はその後籠を受けて、富と栄誉に恵まれんばかり。立樹遥が楊国忠を演じ、将軍陳玄礼は汐美真帆さん、李補国が涼紫央さん、これら男らしい3本柱が玄宗に忠実に仕えており、しっかりと演じています。唐の武将である皇補惟明は真飛聖、出番が少ないですが、りりしい2枚目が似合っています。楊貴妃の美しさに惹かれつつもあっけなく戦死してしまいます。

さて、安碌山です。小柄な安蘭けいが珍しく骨太な悪役を演じています。巧みな台詞回しと安定した歌いっぷり、身軽な動きと腹の据わった悪人ぶり、謀反の張本人ですね。私的には前々月に観た月組『飛鳥夕映え』の中臣鎌足のような?感じがしています。何故なら国や時代が違えども何処も同じだなぁと思いましたからね。安碌山の方がもっと民衆の出っぽいし、黒い感じがするけれど。籠の鳥(インコかな)が愉快でしたね。

睡蓮の場面はとっても綺麗、花の精がひらひらと舞い、さすが宝塚!やはり羽山紀代美先生の振付でした。それに加え河村隆一さん作の主題歌が生きていますねぇ〜。
あと、麻尋しゅんさん(李亀年)の透明感ある歌声も印象に残っています。

さて、玄宗の気の緩みか、時代の移り変わりか、いよいよ、民衆と組んだ安碌山が攻めて来ます。炎の中を盆が回り、武将達が激しい立ち回りをします。この場面も最大の見せ場で、男役は皆、格好良く見えます!立樹遥さん演じる楊国忠は無念の最期を遂げ!瞳子さん安碌山は腹を据えて攻め続けます。わたる玄宗の武装姿は実に良く似合い、最高に格好良くひときわ映えています!トップ男役の見せ場です!
敵の要求は「楊貴妃を差し出せ!」です。玄宗は「命を掛けて楊貴妃を守る!」と言いますが、楊貴妃は玄宗の愛を一心に受けて、玄宗を助け、国を救わんが為に、凛とした態度で、自ら敵の中に身を投じて行きます。本当に檀ちゃんはこの役にピッタリ!『王家に捧ぐ歌』のお姫様も良かったけれど、今回のも雰囲気がとても良いです。

戦いは終わり、最初の回想に戻るわけですね。仙人(英真なおき)の導きにより、天女が舞い、光の彼方から楊貴妃の幻が現れます。微笑を浮かべた楊貴妃は玄宗に戴いた髪飾りをそっと返し、再び天に帰っていきます。〔幕〕

『ロマンチカ宝塚’04』

ショーの方は、イタリアを背景にカサノバ的に描かれていますね。小悪魔ディアボロ(安蘭けい)が愛の悪戯をし、男女達が操られているようです。湖月わたるさんは早替わりが実に多く、目くるめく歌い踊っており、ほんと凄いです!
怪しげな場面が展開し、悪夢か幻か?と思っているうちに早くもフィナーレへと。先月の花組のショー『ラ・エスペランサ』にも似ているような気がしました。あれは天使だったみたいで、背景も違いますけどね。
水兵さんの場面が明るくて楽しかったですね。1等航海士真飛君の2枚目な衣装は大変似合っていて格好良かったです。

さて、フィナーレ大階段、男役勢揃いです。ダンスと言い、黒く光る衣装は絶品、これぞ宝塚見せ場です!
それにパレードの配色が凄く綺麗です。わたるちゃんカラーの濃いブルーに黒、女役さんのストロベリーピンクがまたまた映えて、飛び切り綺麗な舞台配色で、夢のようでした。〔終〕


筆者は風邪っぴきのせいで、1回しか観劇出来ず、解釈を間違っていたらごめんなさいね。

2004年12月21日yuko記

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