雪組編 観劇記

『愛燃える&ローズガーデン』  『追憶のバルセロナ&ON THE 5th』

雪組東京公演愛燃えるRose Garden東宝劇場2002年1月20日観劇記

本当に久しぶりに雪組公演を観ました。私としては、97年の『仮面のロマネスク』以来かも知れませんねぇ…。

お芝居『愛燃える』 酒井澄夫(作・演出)

まずは幕開き、見事な舞台演出に圧巻です。舞台全体に赤をふんだんに使い、金粉をあらゆる所に使った見事な構成です。トップ(轟悠)さんのお衣装も立派です。上質感にあふれ、終始、赤か黒、または金色使いでした。
作品は、中国の王朝物で、2つの国の争いの中、1国の王がただ一つの真実、愛を貫くが為に、国も身も滅ぼしてしまう物語です。
昔から、宝塚が得意とする王朝物だけあって、その絢爛豪華さにはびっくりです。
『皇帝と魔女』という作品が遠い昔にありました。おぼろげですが、似ているように思います。内容的には麻路さきさんが演じられた『皇帝』の最後の場面とも似ていますね。
大詰めの、月影瞳さん演じる西施の活躍には、涙を誘われます。愛する人の命令で故郷を捨て、敵国の王妃となる西施。恐ろしいと思っていたはずの、敵国の呉王(轟さん)。その優しさに満ちた愛に心打たれ、やがて、呉王に真実の愛を見出した西施は、戦いの時、呉王を庇って、自分の国の兵士に切られます。そして、国は滅び、呉王も果て、幕となります。

凄まじい光景と、けなげな西施には胸を打たれますね。月影さんは上品で控えめなお妃様で、透き通るようなお声も素敵でした。伍封(朝海ひかる)は呉王に仕える、優秀な家臣、将軍ですが、王に対する幾度かの助言や努力も空しく、最愛なる弟も味方に切られ、自分もあっけなく切られてしまいます。無念ですね!何とも言えない虚しさが残ります。
最後に城が、愛が、真っ赤に燃え上がる舞台も、凄かったです。真ん中に立つ轟さん(王)が衣装や装置に飲まれないのは、トップとしての威厳でしょうか、さすがですね!!

ロマンチック・レヴュー『Rose Garden』 岡田敬二(作・演出)

幕が開くと、「ウワァー!」と歓声が上がる程、これもまた、舞台背景、装置の素晴らしさが、観客の目を奪います。ベルバラがクラシックなら、ローズガーデンは現代風、モダンな薔薇づくしです。技術の向上には、今更ながら感心します。大きな薔薇が一輪、くり抜いてあり、その向うが赤や金に変化するのが見事です。
そんな背景の中で、薔薇をテーマにした様々な歌やショーが、転回して行きます。親しめる歌も沢山ありました。
「ラ・ビアン・ローズ}「ローズガーデン」「ラ・ロジータ」「ジェラシー」「バラのタンゴ」「ラ・ヴィオレッタ」。パレードでは、メドレーで「バラは憧れ、テキサスの赤いバラ、野ばら(ウエルナー)、酒と薔薇の日々、バラの入れ墨、百万本のバラ、野バラ(シューベルト)」。そして、テーマ曲「ローズガーデン」等です。
中でも「バラのタンゴ」は、男女のタンゴ場面で、雰囲気があって、心地良いです。古風な、宝塚っぽいローズガーデンの場面もありました。薔薇プラス、空にダイナミックな三日月は、バランスが良くて、デザイン的に感心しました。

一頃から比べると、雪組のメンバーが大分代わっていましたが、かしげちゃん、まひるちゃん、未来優希さん、飛鳥裕さんと、懐かしい方が活躍していました。メグちゃんもラインダンスの中央で、チャーミングに踊っていましたね!退団されるのが残念です。おっ!いましたよ、壮一帆さん!花組から配属になった人ですね。こんな所でお目にかかるとは、不思議なような嬉しいような……。(笑)

懐かしい歌の数々、知らず知らずのうちに、音楽を楽しんでいる自分に気付いたりと…。
まぁ、こんな感じでしょうか、やっぱり、雪組らしさは何処かに残っていました。

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雪組公演追憶のバルセロナ&ON THE 5th東京宝塚劇場2002年9月5日、13日観劇記

最初にして最後の絵麻緒さんとまひるちゃんのトップ公演を、宝塚友の会のお席で見せていただきましたので、私的な感想を少しだけ記録したいと思います。

お芝居『追憶のバルセロナ』 正塚晴彦(作・演出)

スペインの若者貴族フランシスコ(絵麻緒ゆう)がフランスと戦い記憶喪失になり、ジプシーの娘イサベル(紺野まひる)の介抱で記憶を取り戻したけれど、全ては遅かった〜〜。両親をなくし、恋人は他の人の物となっていた。
でも希望を失わずにスペインの為に前向きに戦うフランシスコを、ジプシー達が影となり日なたとなって助けた。
やがて、ジプシー達が去って行く時、娘イサベルは1人残り、フランシスコと共に明日を生きようと言う物語ですね。

黒い旋風と言う得体の知れないスーパーマンが5〜6人、入れ替わりに出て来るのですが、当然のごとくに絵麻緒さんは一番格好良いです。バルセロナに帰還した時、黒い旋風の姿のままで、結婚を約束していた恋人セシリアに、それとなくネックレスを見せて立去るのですが、マントをひるがえし、宝塚っぽくてなかなか格好良かったです。

上質感があるアントニオ(成瀬こうき)の衣装が、並外れてお洒落で、何度も目に止りました。ジプシーのリーダー格ロベルト(朝海ひかる)は、一味残る良い役柄ですね。未沙のえるさんはジャン・クリストフの部下役を、実に面白く演じていました。さすが専科のベテラン、演技力が光ります。あと、ジプシーの未来優希さんの歌は重量感があって、やっぱり上手い。

最後、2人だけになったフランシスコとイサベルを夕焼けの風景が包む所は、とても綺麗。
反面、サッパリし過ぎて、いまいちロマンチックさに欠ける所がちょっと物足りないかな…。(笑)
主題歌が素敵です。宝塚は歌詞が綺麗、この間まで外部公演の歌を聞いていて、日本語歌詞がリアルで、実に現実的だったから、よけいに感じるのかなぁ。

全体の舞台装置はちょっと貧弱!轟さん時代の豪華装置とはまるで違うかなぁ〜?その分ショーの方で、ある程度豪華だったけどね。

☆ショー『ON THE 5th』 草野旦(作・演出)

風変わりで、とても良かったです。アメリカ国旗をバックに、全員が白のスーツに銀の星、白いハットです。シャープ感溢れるアメリカのイメージですね。国旗が取り払われると黄金のエンパイヤステートビルが聳え立つ、茶系に衣装替えした全員のタップダンス。色合いがコーヒー色で洒落ていました。
シャインと紳士の出会いの場面、バックの電飾で表わした特大ハートから、小さなハートがいくつもこぼれ出る所が、とても楽しくて、お洒落。やがて一つの輝く星になるのね。なかなか舞台装置が凝ってます。
教会の前でジーンズの若者達が、あのテロの悲しい事件の結末を傷んで、絶唱し、踊る所が良いですね。コムちゃん(朝海ひかる)筆頭です。

まひるちゃん(シャイン)が所々に出現して、可愛かったです。大階段をバックに踊る2人のデュエットも素敵で、絵麻緒さんとまひるちゃんのピンクの衣装がとても綺麗です。

ピエロみたいなクラウンUSA(風早優、未来優希、愛曜子)の試みも面白かったし、特大風船お人形やりんごも珍しかったです。大階段のパレードの後、もう一度アメリカスタイルに戻り、全員が白いスーツに白いハットで、タップダンスを盛り上がらせる所は演出家の思いきったこだわりかな…?大階段をすぐに閉じて、全員の衣装替えは大変だったかも知れませんね。

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