3月某日


「一緒にフランスに行きませんか?」
とS氏に言われた。

これはプロポーズの話ではなく・・・旅行の話です。。。

フランスにあるル・ピュデュフでやっている夏だけの野外劇
”cinecinie”
を観に行こうという計画。
S氏は私の父の友人で
函館野外劇の創立メンバーの一人なのだ。
2年前、私が一人で函館野外劇を観に行った時にも
色々とお世話をしてくれた。
そして、その時に姉妹都市になっているル・ピュデュフのメンバーが招待されていて
色々と交流の場面を作ってくれたのだった。

ル・ピュデュフのメンバーに又会える!!
「よし、行こう!」

心に決めた。

心に決めたものの・・・・・。
この日から、資金作りにあえぐのだった。

ルピュデュフの夏だけやっている野外劇。
これは映画の「ベンハー」を生で見ているようなスケールらしい。
広大な敷地の舞台で、馬が走り、鷹が飛び、さまざまな動物たちと、さらに地元住民の約2000人が
ボランティアで出演するのだ。
そして更に凄いのは、水と花火。音と光を最大限に表現したスペクタクル。
この施設はシーズン限定で運営。
なんとしても行かなきゃ。

実行日・・・2004年6月10日〜22日


<2004.6.9>
家を出て、東京へ。


<2004.6.10>

11:25 成田からパリへ向かう。
乗り継いでロンドンへ(19:50
ヒースロー空港へ着き、地下鉄に乗る時、

切符の自動販売機前で、同じぐらいの年の女性が(やはり一人旅っぽい)
「ここで最後だから、あげる」
と差し出したのは、地下鉄の1日フリー切符。
貰っちゃいました・・・。
地下鉄でACTONTOWN駅へ。
いとこの家族が旦那さんの関係で、この一年間イギリスで暮らしている。
今日はここにお世話になります。
かわいい、甥っ子と、姪っ子と、久々遊ぶ。
小学生の姪っ子が今夢中なのは、
シルバニアファミリー(動物のお人形)



<2004.6.11>
今日はシェークスピアの生家のあるstratford-upon-avonへ。
イギリスは行く方向によって鉄道のターミナル駅が違う。
駅のターミナルや、車中、街中
途中、いろんな人と出会った。
途中Oxford駅では、学生さんがいっぱい。
 

とても緑の豊かな草原の真ん中を走っている。(車中より)

ストラトフォード・アポン・エイボンへ着き
早速、町並みを散策。
ストラトフォード・アポン・エイボンは日本のマスコミや観光客も来ていた。
ザ・シェークスピアホテルへ行き、チェックイン。
かわいらしい部屋だった。
シェークスピアの生家はもちろん、スワンシアター、ブックショップまで。
あっという間の一日です。
有ご飯は、近くのパブへ行き、定番のフライドフィッシュを食べた。
そして、シェークスピア劇場で本日行われる「夏の夜の夢」のチケットを購入。
ストラトフォード・アポン・エイボンは日本のマスコミや観光客も来ていた。
「夏の夜の夢」はシェークスピアノ芝居の中でも、
私の思い出の作品。
なので、多少英語が聞き取れなくても解った。
毎日これだけの観客がいるのかと思うほど盛況で、
このムードに浸りながら見る芝居は、又別の趣があった。



<2004.6.12>
昼、ロンドンまで戻る。
そして、今日はロンドンに住む、いとこのお姉さんとプリンス・オブ・ウェールズで「マンマ・ミア」を観劇。感激。
その後、ゆっくりといとこの家の近所を散策したり、
のんびりすごしました。

<2004・6.13>
本日一人でロンドン見学。
赤いバスや、地下鉄もだいぶ慣れてきました。
大英博物館→ロンドン塔→ハロッズ(日曜日は定休日でした・・・悲しい)
お昼は、大英博物館の近くのパブで、
再度「フライドフィッシュ」に挑戦。
そこの「フライドフィッシュ」はめちゃくちゃ美味かった。
こういう定番料理はお店によってかなり違いがあると感じた。
明日フランスへ行く。
今日でいとこ家族とお別れ・・・。
ほんの短い間だったけれど、とてもいい思い出。
今度は日本で会うのだね〜。


<2004.6.14>
ロンドン・ヒースロー空港(14:00)→パリ(16:10)→モンパルナス駅の近くのプチホテルへ泊まった。
ロンドンのヒースロー空港へ向かう途中、石畳の上を思いスーツケースを転がしていたせいで、
スーツケースのキャスターの4つのうち、1つが焼けてゴムが曲がり壊れてしまった。
それでも何とかモンパルナス駅までたどり着く。
モンパルナス駅からホテルまで歩いて5分(と書いてあった。
この間に、さらに2つのキャスターが壊れてしまった。
これでは、どうしようもない。ピンチ!
キャスターがないスーツケースを運ぶのってこんなに大変なことだったのか
と、改めて感じた。
とりあえず、重い荷物の清でホテルまで5分で着くところ、20分かかって何とかたどり着いた。
普段からビール1ケースとか運んでいたから何とかなったんかな?(実家が酒屋なので・・・)
この近所のブティックやショップはたいてい5:30とか6:00には閉店
一人彷徨い歩いたあげく、翌日8:30に開店するお店を発見!
駅前の「ホテル・リッツ」の中のお店。
あえなく、めちゃくちゃ高ーーいスーツケースを買う羽目になった。

<2004.6.15>
11:05のTGV(新幹線みたいな感じ)でナントヘ向かう。
ナントには13:21着。
そこで、函館の今回誘ってくれた画家のS氏とF氏待ち合わせ。
ちゃんと会えた〜。(ほっ)
F氏は長い間フランスに住んで日本語教師をしていた。
ご主人がなくなった後日本に戻り、現在函館で暮らしている。とても面白い、おしゃべりな女性だ。
「フランスにきたら、相手の会話の隙間に入っていかないとだめよ〜
なんたってフランスのおばちゃんたちはおしゃべりが止まらないんだから〜」
と言われた。
のんびりしている、東北人が、大阪のおばちゃんたちの会話に入っていくのは、それなりに大変だ。
なんか、同じ感覚?
Puy du fou(ピュデュフ)のメンバーが迎えに来てくれていた。
Le BOUPERE(ル ブペール)はまるで岩泉のような所。(パリからTGVで約2時間半、そこから車で約一時間ちょっと)
”まるで岩泉のような所”ですごいことをやっているからこそ、来たかった。
マドレーヌ宅へ行き、今日は会食。マダムはとても気さくな方だった。
マドレーヌさんの亡くなったご主人はヴァンデ民族音楽団の初代団長さんで函館にも来たことがあったらしい。
家庭料理とワインをゆっくり時間をかけて食べて、しかしその間中、会話の”隙間”というのはなかな無い。
恐るべし、フランスのおば様パワー。
そしてホテルに戻った。

マドレーヌさんと共に。函館のS氏の描いた絵画の前で。


<2004.6.16>
今日は午前中Les EPESSES(レゼペス)へ行き、墓参り。
その後Grand Parc du Puy du Fou(グランパークピュデュフ)へ。
レゼペスの村長さんと会いました。とても歓迎してくれて、昼食会を開いてくれました。
レゼペスの村長さんはルピュデュフ野外劇の理事長さんでもある。


夜は、ヴァンデアンの音楽隊の方々との夕食会。
音楽は、世界共通のものなのだなぁ〜
とっても軽快なリズム、そして舞踏や歌
皆、素朴で暖かくて明るくて、とても良い人達だ。
こんなに、笑ったのは久しぶりだった。
夜遅くまで、音楽を奏でたり、おしゃべりをした。


<2004.6.17>
Grand Parc du Puy du Fou(グランパークピュデュフ)へ向けて。
函館で会っていたシャトリーと2年ぶりの再会。
ジャックリーヌが施設内を案内してくれた。
会話の流れの中で、明日ローマの円形場をモデルにして作った場所で行う芝居に
私が出演することが決まった!
(ビックリ!)

館内はとても見事に自然と調和していて、すばらしかった。
明日出る舞台の様子を見に行った。
「デカい・・・」

夕食会はヴァンデアンの音楽隊の方々と再び。
今日は楽団の皆がそろった。
公民館のようなところで歌ったり、踊ったり。私も歌ったり踊ったり好きだけど、こちらの人たちは更に好きらしい。


スリソーさんとジェローム。
赤いシャツを着ているのがジェロームだけれど、
実は私と同い年!!
とっても気があっちゃって、というより、同い年ってのはとても近い感覚がある。
面白いと感じるところが似ていて、とうとうボケとツッコミという関係まで出来上がっていた。


<2004.6.18>

舞台に立っちゃいました!日本人では初だよ!!

しかも昨日の公民館でのパーティーはローカル紙に載っちゃって・・・。

舞台での私の役は王シーザーの妻役。台詞は無いけれど、国際派女優の仲間入り???

「素晴らしい演技だった。さすが女優だ。」と皆のフランス語をオーバーに訳すとこう言ってくれた。

それより、普段公務員だの農家さんだの職人さんだのが、休日だけ利用してここまで出来るかね!?

と思うほど、他の役の出来に驚いた。

本当に臨場感あってパワフル。

夜、光と音のスペクタクル!

そして夜は今回のメイン、夜の野外劇を観にいく。

満席。

約2000人の地元住人がボランティアで出演。

もちろんジェロームも出演。

馬は走る、鷹は飛ぶ、羊は鳴くし・・・動物はとにかく多い。

この村の歴史と生活を表現する。

光の使い方、火の使い方、水の演出!

城は燃え、花火は舞い踊る!!

表現に終わり無く、とにかく素晴らしかった。



<2004.6.19>
今日でお別れの日。別れの朝はとても辛い。

フランス語の表現はとても面白い。

「あなたは、私達の沢山のキスの中にいるよ」

直訳するとこんな感じ。

本当に愛にあふれていた。

最後は最高の表現。

左右の頬にハグを2往復

合わせて4回。

本当にありがとう。

実はここにいる間、インドネシアにいる友人へ電話をすることになっていて、

ホテルに国際電話が無かったため

シャトリーさんの家で昼食を食べた時

電話を借りた。

そのお礼をちゃんとしていなかったと気になって、

昨晩、小さな封筒に日本円で1,000円程度包んで、小さなカードを添えて渡していた。

「電話代。ありがとう。」

今日シャトリーは見送りに来れなかったけれど、

言付けを頼んでいた。

「「このお金はいらないよ。でもこのカードは可愛いから貰っておくわ!」だって。」

と言って、お金を返された。

私の気持ちが届いたんだなあと、ほっとして嬉しくなった。

函館の2人はこれから更に南へ向かうため、

ナントで別れ、一人パリへ向かう。


<2004.6.20>

パリ。

朝蚤の市へ行き、更に、モンマルトルの丘へ地下鉄に乗って行く。

本当にアートに溢れている。
単純に私はモンマルトルの丘が好きになった。

一目ぼれをした絵があった。

大きなキャンバスに母と娘をモチーフに砂や石を合わせて作った作品

彼は神戸でも個展を開いたことがあるらしい。

でも、私の今の財布の中身から言うとお金が足りない。

「学生価格で、お願い!!」と哀願した。

本当は私は学生ではなかったけど、ほんの少しだけ金額を下げてくれた。

でも、まだ財布の中身が足りない。

「とりあえず、一周してくるから」

とハワイのマーケットのような事を言って、

ATMに走った。

(本当はこの金額でも買おうと思っていた)

「戻ってきたよ〜。ところでもう少し安くなる?」

「あの人があなたの2倍の金額で買って行ったよ!」

と白髪のおじ様を指差した。

すごいパンチを食らったようだった。

その人の絵画で別のものを選んで買ったけれど、

いいものは、やはり、いいものだった。

この他にもう一枚小さな絵と、似顔絵も描いてもらった。

作家さんとは一緒に記念撮影!

その後、シャンゼリゼ通りを気取って歩いてみた。

1人で歩いている日本人は、珍しいらしく、ビジターには見えないようだ。

色んな人に声を掛けられた。

でも少し歩くと「ヴィトン・シャネルなんでもあるよ〜!」

とアジア系の男性が片言の日本語で寄ってきた。

ここでもコピー商品か〜やっパリ(おあとがよろしいようで・・・)

夜、東京で言えば、はとバスツアーみたいな、

「ムーランルージュ」のツアーに参加した。

隣の席には、やはり日本人。

秋田から来た両親と娘2人。

娘の1人が今度結婚するらしく、

その記念に家族で来たらしかった。

なんかゆとりある生活。

(こういう人達を目にしたときに未来の目標が高まっていくのかしら?)


<2004.6.21>

今日は世界遺産「モン・サンミッシェル」へバスツアー。

片道4時間もかかるんだよーーー。

着いた時はほんとうに感動!!



<2004.6.22>

今日は午後の便で成田へ帰る。

午前中はゆっくりと、パリ市内を散策。

お土産を買ったり、美味しいワインも買いました。

モンマルトルで買った絵を宅急便で出し、

荷物をまとめドゴール空港へ。

なんかめちゃくちゃ重いとは思っていたけれど、

預け荷物の重量オーバーで追加料金を結構取られた。。。

なんかあっという間だったな〜。