和歌と俳句

加賀千代女

一 二 三 四 五 六

潅仏や蔦の若葉もあゆみそめ

葉に成し木は何思ふ仏生会

けしの花我身わすれし月日哉

けし咲や蒔たその手もおそろしき

そのわかれ浮草の花けしの花

花に針心知りたき茨かな

うのはなの闇に手のつく若葉哉

卯のはなは日をもちながら曇りけり

卯の花や垣の結目も降かくし

うへが上にさす欲もなきあやめ哉

音ばかり筧失なふあやめ哉

降らいでもぬるる名のあるあやめ哉

沢にあるうちは名たたぬ菖蒲哉

風さけて入口涼し菖蒲哉

むかしにも似かよふ影やかきつばた

卯の花の影三つよつやかきつばた

行春の水そのままや杜若

水の書水の消したり杜若

面影のかはるを果やかきつばた

萍の身はまたおもしかきつばた

短夜や旭にあまる鶏の声

橘の香やその空はへだつとも

紫陽花に雫あつめて朝日かな

こぼれてはもとの水なり紅の花

ふみそむる鹿の子の道や紅の花