和歌と俳句

源経信

一 二 三 四 五 六

後拾遺集
浅緑のべの霞のたなびくにけふの小松をまかせつるかな

新古今集・賀
ねの日するみ垣のうちの小松原ちよをば外のものとやはみる

白の馬をひくにつけても子日する野べの小松を忘れやはする

老いらくの卯杖つきつつ我ぞ祈るねのひの松は君がよはひと

をそく散るあはれのみかは梅の花いづれの春かにほはざるべき

春も見る氷室のわたりけを寒みこやくるすのの雪のむら消え

金葉集・春
けふここにみにこざりせば梅の花ひとりや春のかぜに散らまし

金葉集・雑歌
神垣に昔わがみし梅の花ともに老木になりにけるかな

梅が枝はねりそもて結うふ垣根にもあはれやつれず匂ふなりけり

雪ふりて老木に花も咲きぬればいとど小松の末ぞゆかしき

鶯のねこそはるかに聞ゆなれこや山里のしるしなるらむ

子日する松さへしげき野べなればひかでやちよの影をみるらむ

子日して齢をのぶる船岡は松の千歳をつめばなりけり

春霞たちし渡れば眺めやる遠の里人見へみ見へずみ

春風の吹きまふ時は櫻花ちりぬる枝のさくかとぞみる

青柳の糸し垣根になみよればたちくる人もたえぬなりけり

金葉集・春
荒小田に細谷川をまかすればひくしめ縄にもりつつぞゆく

春風の山の高嶺を吹きこせば梢もみへぬ花ぞ散りける

しばしなをいかで散らさじ山櫻けふ見ぬ人もとはば教へむ

のどかなる風のけしきに青柳の靡くぞ春のしるしなりける

花ちらす春の風こそわりなけれ惜しまばしばし吹きもとまなむ

山路までみやこの春を過ぎぞゆくいづくか花の盛りなるとて

古里とあはれいづくを定めてか秋こしかりのけふ帰るらむ

白雲の八重たつ山の山櫻ちりくる時や花を見るらむ

あはれにもみへし昔の雲居かな谷のうぐひす声ばかりして