| 1992年 | |
| 大林宣彦 | |
| 山中亘 | |
| 大林宣彦 | |
| 久石譲 | 勝野洋、石田ひかり、松田洋治、尾美としのり、川谷拓三、増田恵子、永島暎子、柴山智加、佐野史郎、ベンガル、根岸季衣、岸辺一徳、他 |
| ビデオレンタル中 DVD発売中(税別4700円) |
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| 小樽の坂道のぬかるみで滑り転んだのがきっかけで、綾瀬慎介は1人の少女に会った。 綾瀬は、少女小説「小樽・恋シリーズ」の人気作家。 親友でもある挿絵画家・紀宮の死をきっかけに、記憶の彼方に追いやっていた故郷・小樽を訪ねていたのだった。 コートを汚した綾瀬をクリーニング屋に連れて行った少女は、お礼にお茶をという綾瀬の申し出を断り、去って行った。 翌日、コートを引き取りにクリーニング店を訪れた綾瀬の前に、昨日の少女が現れた。 やはり、お茶をごちそうになる、と。 少女は、綾瀬のファンだった。 自分がもし「小樽・恋シリーズ」のヒロインなら、名前は何と付けるかと問う少女に、綾瀬は「三好遙子」と答え、しかし慌てて取り消す。 少女は、「はるか」と名乗った。 はるかの案内で、小樽を回り始める綾瀬。その先々で姿を見せる、古風な身なりをした少年。 遠い記憶をたどり、少年時代の思い出の地を巡る綾瀬とはるかは、謎の少年と直接言葉を交わすに至る。 少年は、「佐藤弘」と名乗った。それは、綾瀬慎介の本名だった。 「はるか」、そして「佐藤弘」との不思議な邂逅に、遙か彼方に追いやっていた記憶を、徐々に思い出して行く綾瀬。 それは、小樽にいた短い間の、父、母、憧れの人にまつわる、凄惨な日々、悲しみ、憎しみ、そして後悔・・・・。 綾瀬はついに、記憶の終着点にたどり着いた。 「はるか」は誰なのか?「佐藤弘」と綾瀬慎介の関係は?そして「三好遙子」とは・・・・? |
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| 劇中、綾瀬がはるかに語ったこと、人間の最も優れている能力=「忘れること」。
この映画で鍵になっているのは、記憶。
優れている能力「忘れること」をもって記憶に封印をした綾瀬が、その記憶を徐々に思い出して行く過程が、淡々と描かれています。
165分という長編映画。
ところが物語は、冒頭、綾瀬慎介が坂道で転んでから、小樽を去るまで、わずか5日間の出来事。
この5日間に、現実で、あるいは綾瀬の脳裏で、現在と過去が錯綜、又、流れる音楽にも支えられ、とても悠大な時の流れを感じさせる作品。 初めてこの映画を見たのは、テレビ放映された時で、軽い気持ちで見たのですが、あまりにも見応えがありました。 ただ、この感動をうまく表す言葉は、見つかりません。 綾瀬とはるかの前に現れる「佐藤弘」には、初めて見た時には混乱しました。 「時をかける少女」では現在と過去(未来と現在)の同一人物は同時に存在出来ない設定を採用した大林監督が、本作では現在と過去の同一人物を同時に存在させている訳で・・・・。 現在と過去の同一人物が並び立ち、言葉を交わす、奇妙な光景を受け入れられた時、この映画の世界にスッと入って行けます。 記憶を遙か彼方へ追いやった綾瀬慎介。 それを思い出す過程は重苦しく、思い出した後も、その内容故に重苦しさを引きずっています。 「はるか、ノスタルジィ」・・・・思い出は、甘美なものばかりではない、と。 大林監督の映画は、エピローグが巧いものが多いですが、本作のラストのエピローグ、老いた綾瀬がハードカバーの自著を持ち“あの丘”を訪れるシーンも、秀逸。 そして、最後に画面に現れる、劇中本(?)「はるかノスタルジィ」の序文が、この映画のテーマを語り尽くしています。 |
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・ 特典 |
石田ひかりインタビューと、監督と原作者の対談。 この映画の、事の起こりから、実際に撮影されるまでの、経緯や紆余曲折等が語られています。 「ふたり」より先に話が始まり、中断し、「ふたり」の後に撮影された「はるか、ノスタルジィ」。 この順番だったからこその、はるか&三好遙子役の石田ひかりの演技。 まさに、ゆったりと過ぎし、時の流れ。 |