「252 生存者あり」

公開
2008年12月6日
監督
水田伸生
原作
小森陽一
脚本
小森陽一、斉藤ひろし
音楽
岩代太郎
出演
伊藤英明、内野聖陽、山田孝之、木村祐一、MINJI、桜井幸子、大森絢音、香椎由宇、 山本太郎、松田悟志、杉本哲太、松田賢二、平塚真介、KENROKU、 温水洋一、西村雅彦、阿部サダヲ、ルー大柴、他
備考
  
物語
 東京を、震度5の地震が襲う。さらに、急激に上昇した海水温が、巨大台風を生み、東京に接近していた。
 元ハイパーレスキュー隊員で、今は自動車販売店に勤める篠原祐司は、娘・しおりの7歳の誕生日のプレゼントを買いに、銀座に来ていた。 突然、巨大な雹が降り注ぎ、銀座はパニックに。 地下鉄構内に降りた祐司は、携帯電話で妻・由美と連絡を取るが、聾唖のしおりを連れた由美がいる新橋駅の地下構内には、東京湾に押し寄せた高潮が流れ込み、 電話は途絶、由美としおりは離ればなれになってしまう。
 祐司もまた、地下を水に流され、意識を取り戻すと、新橋駅を目指した。 瓦礫に覆われた地下で、生存していたのは、祐司の他に、研修医の重村誠、大阪から来ていた小さな会社の社長・藤井圭介、韓国人ホステスのキム・スミン、 それにスミンが助けてくれていたしおりの5人だけだった。 さらなる水流が地下鉄構内を襲い、他にもいた生存者は呑み込まれ、かつての知識でとっさに祐司が誘導した旧駅構内に、本当に5人だけが取り残された。
 祐司は、鉄パイプを拾うと、壁面を2回、5回、2回、と叩いた。「2・5・2」〜それは、ハイパーレスキューが使う、「生存者あり」の信号。 この信号を送り続けようと言う祐司に、重村はどこか投げやりだが、9人の子供と三つ子を妊娠中の妻の元へ帰りたい藤井は、必死で壁を叩き続ける。
 一方、地上では、救助活動が行われていた。 祐司の兄・篠原静馬は、ハイパーレスキュー隊の隊長として、部下と共に地下の捜索に当たっていたが、 巨大台風の暴風雨が東京を直撃し、二次災害の恐れから、捜索中止の断が下される。 若い隊員はいきり立つが、隊長としては、部下の命もまた守らなければならない。 かつて、祐司と共にハイパーレスキュー隊で活躍していた時、引き時を誤って隊員を死なせてしまい、それがきっかけで祐司が退職した経験が、静馬にはあった。 由美が義兄・静馬に泣きすがるが、静馬は動くことが出来ない・・・・。
 地下では、スミンが、腹部の負傷箇所の出血で、放置すれば危険な状態になっていた。 これを、重村があり合わせの物を細工して器具を作り、同じ血液型の自らの血を輸血して、しのぐ。 ほっとするのも束の間、崩落が起きて、しおりが瓦礫に埋もれてしまう。絶望する祐司だが・・・・瓦礫の中から「2・5・2」の信号が聞こえる。 しおりが、見よう見まねで、祐司にもらったプレゼントを瓦礫に打ち付けていたのだ。祐司達は、しおりを瓦礫の中から掘り出した。
 若きハイパーレスキュー隊員・青木は、独断で、探査機器を持ち出して地下に降りていた。 そして、「2・5・2」の信号を探知して、静馬に報告する。
 生存者ありの報に、ハイパーレスキュー隊は、色めき立った。 だが、折しも巨大台風の暴風雨が荒れ狂っている最中。 そこへ、台風の進行を予測しきれなかったことに責任を感じていた、気象庁予報部の海野咲が、現場が台風の目に入って無風状態になる間に救助活動を行うことを提案した。 咲の計算では、無風になるのはわずか18分間。 この時間を使って、旧新橋駅の地上を爆破して穴を開け、生存者を救出する作戦が立てられた。
 救出しようとする静馬達と、生還しようとする祐司達。新橋が台風の目に入り、作戦が開始された・・・・・・・・・・。
一言
 大規模災害シミュレーション大作。 劇中の災害は、まるでSFのようですが、科学的に起こり得ることを想定して製作されていることを踏まえて観賞すると、「どうすれば生き残れるのか?」と、引き込まれます。
 ただ、大手が大がかりに製作した、ヒット確実な大作、という臭いがして、話の中だるみの仕方も、“泣かせ”の入り方も、“大作の定番”という感じがしたのはちょっと・・・・。
 しかし、出演者の演技は皆、素晴らしいと思いました。 伊藤英明演じる篠原祐司が一部スーパーマン的描写だったのと、山田孝之演じる重村誠のやさぐれ方が気になったのを除けば、 内野聖陽演じる篠原静馬以下、ハイパーレスキュー隊員達は、修羅場をかいくぐり続けて来た猛者揃いという感じが十分出ていたし、 木村祐一演じる藤井圭介の「生」への執着も説得力がありました。 そして、聾唖の女の子・しおり役の大森絢音には、天才子役をみつけた感を覚えました。
 よく分からなかったのは(この映画最大の“難”かもしれない)、クライマックスの、台風の吹き返し。 予想より早く吹き返しが来た、という、大作映画のセオリー通りの展開になり、本当ならこの後何時間も暴風雨に見舞われる筈なのに、 映画を見る限り、ものの数分(!?)の間、突風が吹いた程度にしか見えないのです。
 詰めの甘さを感じるのですが、無難な大作、といったところでしょう。



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