| 公開 |
2007年3月24日 |
| 監督 |
長尾直樹 |
| 原作 |
よしもとばなな |
| 脚本 |
長尾直樹 |
| 音楽 |
池谷仙克 |
出演 |
鈴木京香、堀北真希、役所広司、森下愛子、小林裕吉、手塚理美、田中直樹、岸辺一徳、きたろう、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
涌井みつこの母・よしこが亡くなった日、葬式も何もかも放って、墓石職人の父・悟が失踪した。
残されたみつこは、アルバイトをしながら高校に通い、父をいつでも迎えられるように冷蔵庫でビールを冷やし、父の帰りを待ち続けた。
半年後、悟が発見された。場所は、「アルゼンチンババア」と呼ばれる、変わり者の女が独りで住む、町はずれの草原の屋敷(ビル)。
アルゼンチンババアは、昔はスペイン語やタンゴを教えていたらしいが、今は頭がおかしくなっていると噂され、近づく者は誰もいない。
だが、みつこは、一人アルゼンチンババアの屋敷に乗り込んだ。
アルゼンチンババアことユリに思いがけず歓迎されたみつこは、父・悟に対面出来た。
悟は、石を削っては並べて「曼荼羅」を作っていると言い、その中心はユリだと言い・・・・とにかく話すことが意味不明で、家に帰ることを拒んだ。
みつこは、失望して帰宅する。
みつこの話を聞いて憤慨した叔母・滝本早苗が、従兄弟・信一と共にユリの屋敷を訪ねたが、やはり、悟を連れ戻すことは出来なかった。
みつこが再度赴いても、駄目。
悟の友人達が一計を案じ、「三度の飯より石を彫るのが好き」な彼を正気に戻そうと立派な御影石を調達してユリの屋敷に届けたが、
悟は夜闇に紛れて御影石を地中に埋めようとする。
それを目撃したみつこは激怒。悟を追い払った後、御影石を台車に乗せて、家に持って帰ってしまった。
交通事故の怪我と、“重労働”の疲労と、勢いで冷蔵庫のビールを一気飲みした二日酔いとで、ボロボロになったみつこを見て、
早苗は「今度こそ!」とユリの屋敷へ。
だが今回は、思いがけないことが起きた。
ユリが苦しみだしたのである。
病院に搬送されたユリを診察した医師の説明を聞いた早苗と悟は、驚いた。
ユリは、妊娠していたのだ。父親は、悟。
だが、ユリは、悟に家に帰るよう告げた。
みつこの父親を務められない男が、これから生まれる子供の父親になれる訳がない、と。
悟は、帰宅した。しかし今度は、みつこがいなくなっていた。
「心当たりがある」悟は、みつこを探すことなく、あの御影石を、一心不乱に掘った。
“完成した物”を軽トラに積んで、悟は、思い出の民宿に行った。
かつて親子3人でイルカを見に行った時に利用したその民宿に、みつこはいた。
2人は、よしこの死後初めて、思いをぶつけあう。
ようやく和解した親子は、悟が軽トラで運んで来た、御影石のイルカ〜イルカが好きだった良子にふさわしい墓〜をボートに乗せて、イルカを見に海に漕ぎ出した。
それは、残された家族がようやくそろってする、よしこの弔いだった。
時が流れ、ユリが男児を産んだ・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
誰も関わろうとしない奇人が、実は人の心の痛みをよく知る、温かい心の持ち主で、大きな喪失で壊れてしまった親子の心と絆を再生させた物語。
〜というあらすじは良い話なのですが、見終わった後、いくつか気になることがのこりました。
1アルゼンチンババアことユリの臭い
ユリの屋敷に初めて乗り込んだみつこは、悪臭に苦しみ、歓迎するユリに抱きしめられるに至っては失神!
その後、早苗も信一もユリの屋敷で悪臭に苦しんでいたので、ユリとその住まいの臭いがきついことは間違いないでしょう。
ところが、いつの間にかみつこは平気になっている・・・・?
ユリと親しくなったみつこには、その臭いが気にならなくなった・・と考えたいのですが、失神するほどの悪臭に耐えられるようになるとは思いがたいのです。
2子供のテロ
ユリを馬鹿にしたことで悟にトマトを投げつけられた子供達が、仕返しにしたのが、ロケット花火をユリの屋敷に撃ち込むこと!
この攻撃で、ユリの屋敷は炎に包まれかけたし、鶏小屋の鶏も焼死しかけたのです。
しかも子供達は、逃げおおせて、何の罰も受けていません。
人の心の温かみを題材にする映画だけに、子供が“いたずら”を超えたロケット弾攻撃まがいの、テロ行為をはたらいたエピソードが、許せません。
3「ババア」に見えない鈴木京香
アルゼンチンババアことユリの設定年齢は分かりませんが、妊娠が「あの年齢で?」と言われていることから、赤ん坊の母と言うよりは祖母に近い年齢には違いないでしょう。
そのユリを演じたのは鈴木京香。
ボサボサ銀髪のかつらと、趣味の悪い(?)厚化粧と、低く発する声で「ババア」を怪演していますが、そこは所詮(撮影時)37、8歳の“美人女優”。
入院中のシーンでは厚化粧もなく、「ババア」の特殊メイクを施すでもなく、スクリーンに大写しになったその顔は、30代の肌。
「ババア」には見えません。
(物語上の主人公はみつこですが)事実上の主人公であるだけに、きちんと「ババア」に見える女優を配して欲しかったところです。
これらのことは皆、生身の俳優が演技してみせるものだからこそ、感じることではあります。
意外に映像化の難しい原作小説だったのでしょう。
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