| 公開 |
2007年5月12日 |
| 監督 |
犬童一心 |
| 原作 |
さだまさし |
| 脚本 |
山室有紀子 |
| 音楽 |
大島ミチル |
出演 |
松嶋菜々子、宮本信子、大沢たかお、円城寺あや、山田辰夫、黒瀬真奈美、夏八木勲、長島敏行、金子賢、入江若葉、上田耕一、
河原崎建三、中原丈雄、本田博太郎、竹本孝之、永衣美貴、野波麻帆、小山田サユリ、村松利史、本田大輔、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
東京の旅行代理店で働く河野咲子に、故郷・徳島から、母・龍子が入院したと連絡が入った。
咲子は、すぐに徳島に帰郷した。
徳島市大病院での龍子は、若い看護師を叱りつけたり、同室の患者達に唄を披露したり、
江戸っ子気質で、小料理屋を営み「神田のお龍」と呼ばれ人て望の厚かった頃のまんま、至って気丈である。
しかし主治医は咲子に、手術も勧められないほどの末期ガンで、余命1年もないことを告げた。
たった一人の家族である母に、どう告知していいのか〜咲子は、愕然とする。
不注意な発言を龍子に手厳しくたしなめられた小児科の医師・寺澤は、龍子にも、娘である咲子にも、頭を下げて謝罪した。
以来、寺澤は、苦悩する咲子の支えとなる。
その寺澤から、咲子は、龍子が医学部の解剖実習のための献体を希望していることを知らされた。
咲子は何も聞いていない・・。
ある日、龍子の店から暖簾分けした板前の松山が、風呂敷に包まれた箱を咲子に渡した。
龍子から、死後に咲子に渡すよう託されていたのだが、早く渡さなくてはいけないのではないかと思ったのだ、と。
帰宅した咲子が開いた箱の中には、相続に必要な書類の他に、咲子の父の手紙や、毎年咲子の誕生日に送られていた現金書留の封筒が入っていた。
咲子は、中学生の頃、母・龍子に、父親について問い詰めたことがある。
龍子は、家族のある人だったので結婚はしていないが、大好きな人の子だから咲子を産んだ、その人はもう亡くなった、と答えたのだが・・。
主治医の許可を取り、咲子は龍子を人形浄瑠璃鑑賞に連れ出す。
食事に寄った店で、咲子は龍子にわだかまっていたことをぶつけた。
店をたたんでケアハウスに入ったことも、献体のことも、娘である自分に何の相談もせず勝手だ、
父親のことだって、本当は生きているのではないか、どうして嘘をつくのか、と。
だが、龍子は泰然と切り返す。
咲子だって嘘をついているではないか、主治医は“いつまで”と言っているのか、と。
・・・「肝臓の炎症」としか教えられていない龍子が、本当の病状を知っている?〜咲子は、言葉を無くした。
咲子は東京に戻り、“父”が龍子に書いた手紙を手に、“父”と母の思い出を歩いた。
そして、“父”の住所にたどり着く。そこは、篠崎医院という小さな医院だった。
患者を装って入った診察室で、咲子は遂に、“父”篠崎孝次郎と対面した。
篠崎も、その“患者”が、龍子が産んだ自分の娘であることを悟った。
傍らに篠崎の妻らしき看護師がいて、父とも子とも名乗れず、ぎこちなく言葉を交わすだけの一時。
徳島出身だという篠崎が、長い間阿波踊りを見ていないと言い、咲子は、「よろしければ、遊びにいらしてください」と言い残して診察室を後にした。
龍子の容態が悪化して、集中治療室に移された。
小康を得て元の大部屋に戻ることが出来たが、もはや「神田のお龍」たる龍子ではない。
咲子は、難色を示す主治医を説き伏せて、龍子にもう一度阿波踊りを見せるため、外出許可を取り付けた。
阿波踊りの日が来た。咲子が押す車椅子で、龍子は久々に街に出る。
夜になり、祭りの熱狂は高まって行く。
演舞席に座って、咲子と寺澤と、松山とケアマネージャーの啓子に囲まれて、龍子は楽しく阿波踊りを見物する。
途中、咲子が席を離れて、祭りの喧噪の中を走った。
ある願いを抱いて・・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
初めの方で、「徳島県人の龍子が、何故ひどい東京訛りなんだ?」と、違和感を感じました。
本当は、その訛りこそ、龍子が東京の人であって生粋の徳島県人ではないことに気付いて、その龍子が徳島に暮らし、
娘を育てたのはどういうことだったのだろうかと思いをはせるための、手がかりだったのでしょうが、
理解したのは、もう終盤にさしかかる頃。
重要な伏線に気が付かなかったのは、この映画を鑑賞する上での失敗でした。
ただ、東京訛りでその人が東京の人だと分からせる手法は、難しいのではないかとも思います。
というのは、ベテラン俳優でさえ(又、時代劇であっても)、東京以外の地方の人間を演じる時に東京訛り(「ひ」を「し」と発音することが多い)のままということが少なくないから。
だから、本作における龍子の東京訛りも、演じる宮本信子自身の訛りだと思ってしまったのです。
最初の方でずっと引きずる違和感を持ってしまうと、他にも勘違いを誘発したり、粗を感じたり・・・・。
振り返ってみると、なかなか繊細な描写のある良作だと思えるのですが、鑑賞中は、しっくり来ませんでした。
それでも名シーンだと思ったのは、篠崎医院での、篠崎と咲子の対面シーン。
初対面の2人が、それと名乗らずとも親子と分かった様、当たり障りのない言葉を選んで交わすぎこちない会話、もどかしい思い・・・・。
この映画が(本当は)丁寧に作られていることが表れているシーンでもあります。
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