「ブタがいた教室」

公開
2008年11月1日
監督
前田哲
原案
黒田恭史 「豚のPちゃんと32人の小学生」
脚本
小林弘利
音楽
吉岡聖治
出演
妻夫木聡、原田美枝子、大杉蓮、田畑智子、池田成志、清水ゆみ、
大沢逸美、近藤良平、ピエール瀧、戸田菜穂、
甘利はるな、東圭太、池田彩由佳、石井千也、石川すみれ、伊東奈月、鵜木伸哉、大和田結衣、大倉裕真、小川美月、岡駿斗、柚りし菓、 緒方博紀、金子海音、柿澤司、斉藤みのり、影山樹生弥、櫻木麻衣羅、樺澤力也、桜あずき、北村匠海、新川奈々、寺田英永、 夏居瑠奈、向江流架、松原菜野花、他
備考
  
物語
 4月。とある大阪の小学校の6年2組の教室に、担任の星先生が、子ブタを連れてきた。 ブタをみんなで育てて、そして食べようというのだ。 子供達は賛成して、6年2組はその子ブタの世話をすることになった。
 子供達は早速、勝手に学校の備品を使って、勝手に校庭の一角にブタ小屋を作ってしまった。 教頭先生はじめ、先生達はカンカンだが、校長先生が許してくれて、そこが子ブタのねぐらになる。 又、子供達は、子ブタに名前を付けようと話し合った。星先生は、名前を付けるのには難色を示したが・・・・結局子ブタは「Pちゃん」と呼ばれることになった。
 餌やり、糞の始末、小屋の掃除、等々、6年2組は当番を決めてPちゃんの世話をした。 食欲が旺盛で、餌になる残飯の確保に星先生も四苦八苦したり、他のクラスが植えたトマトを勝手に食べてしまって謝ることになったりしたが、 一緒にボール遊びをしたりして、Pちゃんは6年2組の一員のようになっていった。
 卒業まで150日を切った頃、星先生は、6年2組の子供達の気持ちを確認した。 Pちゃんを食べるか、食べないか〜最初の約束通り「食べる」ことを選ぶ子供もいたが、 もうPちゃんを“ただのブタ”とは思えなくなっていた多くの子供が、どうしたらいいのか「分からない」と答えたり、はっきり食べることに反対した。 では、「食べない」場合、Pちゃんをどうするのか? 6年2組の意見は、割れた・・・・。
 6年2組の話し合いは、繰り返し行われた。 Pちゃんを「食べる」か、「食べない」か、意見は伯仲した。 3年生のクラスが、後を引き継いでPちゃんを飼うと申し出てくれたが、体の小さな3年生では、体の大きくなったPちゃんの世話は危険に思える。 食肉センターに送って「食べる」のか、「食べない」ことにして3年生に引き継ぐのか。 みんなで育てたPちゃんを食べられるのか? Pちゃんの行く末を下級生に委ねることは、責任を放棄することではないのか? 星先生は、子供達の意見に耳を傾け、その議論を見守り続ける。
 いよいよ卒業式が迫った。6年2組は最後の討論を行い、多数決をとった。 結果は、「食べる」13票、「食べない」13票と、真っ二つに割れた。 最後の1票は、星先生が入れることに。
 翌朝。Pちゃんの小屋の前に6年2組の子供達を集めて、星先生は、熟慮した結論を告げる・・・・・・・・・・。
一言
 食べるためにブタを飼う〜担任の先生の提案に乗った6年2組の、4月から3月に卒業するまでの、ブタのPちゃんと過ごした1年間を描いた作品。 劇場販売パンフレットによれば、児童役の子供用台本には台詞と結末が書いてなかったそうで、半分ドキュメンタリーのような映画です。
 名前をつけて飼っている間に情が移ってしまい、当初の約束であった「食べる」ことが受け入れられなくなった子供達。 「食べる」(食肉センターに渡す)派と、「食べない」(在校生に引き継ぐ)派と、6年2組は真っ二つに割れて議論を繰り返すが、 多数決を取り直してもなお結論は出ず・・・・。 ラストシーンは悲劇的と捉えることも出来ますが、「食べる」派も「食べない」派も、Pちゃんを大切に思う心は同じで、 その思いの果たし方が違っただけのこと。 つまり、6年2組の子供達は皆、命と真剣に向き合ったということであり、結末がどうであれ、星先生の企図は達成されたのだと思えます。 劇中の校長の台詞の通り、子供達は「得難い体験をした」ことに、間違いありません。
 「(3年生に)引き継いでも、先送りにしかならない。 自分達で食べるか食べないかを決めるのが、責任を取るということだと思う。」〜劇中の、子供の発言に、このようなものがありました。 政治家に聞かせたいような台詞でした。



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