「デスノート」

公開
2006年6月17日
監督
金子修介
原作
大橋つぐみ、小畑健
脚本
大石哲也
音楽
川井憲次
出演
藤原竜也、松山ケンイチ、藤村俊二、鹿賀丈史、瀬戸朝香、香椎由宇、細川茂樹、五代路子、満島ひかり、中村育二、 青山草太、清水伸、奥田達士、小松みゆき、中原丈雄、津川雅彦、中村獅童、戸田恵梨香、他
備考
前後編の内の前編。後編は11月公開。  
物語
 犯罪者達が、突然苦しみ、死んで行く・・・・。 巷では、「救世主キラ」が犯罪者を殺していると噂されていた。
 「キラ」の正体は、エリート大学生・夜神月(やがみらいと)。 ある日、多くの犯罪者が裁かれることなく自由に生きていることを知って六法全書を投げ捨てた月は、死神リュークが気紛れに人間界に落とした「デスノート」を拾う。 名前を書いた人間を殺すことが出来る「デスノート」を、月は、犯罪の無い理想的な社会を作ることを目的に、犯罪者抹殺に使ったのだった。
 世界各地で、大量に犯罪者が死ぬ・・・・これを大量殺人事件と考えたICPO(インターポ−ル)は、日本の警察庁に、姿を見せない名探偵「L」を送り込んだ。 警察庁の捜査本部で指揮を執るのは、月の父・夜神総一郎。 Lの連絡係・ワタリが捜査本部に据えたパソコンを通して、Lは、早速キラに関する分析を披露して見せる。
 突然、全世界一斉放送が行われた。テレビカメラの前でキラに対し宣戦布告するLを名乗る男を、月はすぐにデスノートを使って殺害する。 だがこれはLの作戦で、実は日本の関東地方だけの放送だったことから、キラの所在が絞られた。
 月=キラとLの、頭脳戦が始まった。Lは、データを分析して、キラの正体を絞り込んで行く。 キラ=月は、裏をかいて攪乱を図る。
 尾行されていることに気付いた月は、デスノートを巧みに使ってバスジャック事件に“巻き込まれて”、尾行していた男がFBI捜査官・レイであることを知った。 彼を殺すのは容易だが、彼だけが死ねば、月が疑われる。 またもデスノートを使い、レイを利用して、月は日本に来ていたFBI捜査官を、レイを含めて全員殺害した。
 この事態に、捜査本部は衝撃を受ける。 キラの事件に携わっていると、キラのターゲットにされてしまう・・・・ほとんどの捜査員が捜査本部を出て行き、残ったのは総一郎以下数名になる。 残った総一郎達に、Lは遂に姿を見せた。それは、甘い物好きな、異様な雰囲気をたたえる少年だった。
 殺されたFBI捜査官達は、捜査本部の捜査員の家族を監視していたことから、Lは、キラは捜査員の身内にいると断定、 監視カメラを設置して24時間態勢で監視することを提案した。 反論する捜査員達を押さえて、総一郎はこれを受け入れ、1週間の監視が始まる。
 自宅に監視カメラが取り付けられたことを、月は察知し、なりを潜めて過ごす。 そして最終日、月が自室でテレビも付けずに勉強している最中に、新たに報道されたばかりの犯罪者が急死した。 この事件も月=キラが監視の目を盗んでデスノートを使ったものだが、捜査員の身内に対する疑いが一応晴れ、監視カメラは外された。
 死んだレイには、FBI捜査官でもあった南空ナオミという、婚約者がいた。ナオミは、レイが監視していた月をキラと考えて、マークする。
 幼なじみ・秋野詩織が、ナオミに人質に取られ、月は美術館に急行した。 詩織に拳銃を突き付けるナオミは、月に、キラであると認めろと迫る。必死に否定し、詩織を解放するよう懇願するする月。 一瞬の隙をついて、詩織がナオミの腕を振りほどいて、月に向かって走る。 ナオミが引き金を引いて、弾丸が詩織に命中、詩織は月の腕の中で息絶えた。 警察官が駆け付けたが、混乱したナオミは拳銃自殺してしまう。
 事件後、美術館のエントランスホールで、大切な人を失った月は、うなだれて座っていた。 だが、月に“真相”を聞かされたリュークは、「死神以上に死神だ」と唸るのだった・・・・・・・・・・・・。
一言
 前後編に分けて公開される作品の、前編にあたる本作。 見終えた時に感じたのは、「小説『クロスファイア』の上巻を読み終えた時のようだ」ということでした。
 小説「クロスファイア」(上下巻)は、「デスノート」より6年前に同じく金子修介監督作品として公開された映画「クロスファイア」の原作。 その主人公・青木淳子は、持って生まれた特殊能力・パイロキネシス(自然発火能力)を使って、犯罪者に制裁を加えるのですが、衝動を抑えられなくなって、殺す必要の無い人まで焼殺してしまうのが、上巻の終わり。 特別な力を(本人なりに)正しく使って犯罪者を殺す内に、行動が逸脱して“要するに殺人者”と化してしまったところに、青木淳子と夜神月とが重なって見えたのです。
 原作を映画化するに当たり、金子監督は、青木淳子には、能力を行使する対象を逸脱させず、殺伐とした感のある原作よりもかわいらしさを持たせていましたが、夜神月には手心を加えなかったようです。 その結果、「前編」が終わってみれば、「救世主」はただの人殺しに成り下がっていて、小説「クロスファイア」上巻を読み終えた時に熱風を感じたたのと同じような印象を持ったのでした。
 では、正義を掲げた筈の月=キラが悪に堕したとして、そのキラを追い詰めようとするLが正義かというと・・・・捜査のためには人命すら利用する(偽放送に出演させた偽Lをキラに殺させた)Lもまた、悪と呼べるでしょう。 悪対悪となった、月=キラとLの対決は、11月公開予定の後編に続きます。 決着がどう着くか?それ以上に、正義を背負っているつもりで実は犯罪者と変わるところのない2人に、金子監督はどういう結末を用意するのか? 後編の公開を待つばかりです。



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