「ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ」

公開
2007年7月7日
監督
前田哲
原案
岩貞るみこ
脚本
川嶋澄乃、松本稔
音楽
上野洋子
出演
松山ケンイチ、高畑充希、池内博之、坂井真紀、利重剛、山崎努、永作博美、田中哲司、西山茉希、上間宗男、 フジ、オキちゃん、ダン、ポイ、クロ、ムク、サミ、スカイ、コニー、チャオ、カナ、ゴンちゃん、ちゅら、ティダ、もも、クルー、 ラーフ、カマイルカNo.1、カマイルカNo.2、カマイルカNo.3、他
備考
  
物語
 沖縄美(ちゅ)ら海水族館に新任の獣医・植村一也が着任、海獣課に配属された。 「獣医」である一也は、比嘉剛、望月ユリら飼育員と一緒にイルカの餌の準備やプールの清掃等、飼育の仕事に従事させられて、不満を漏らす。 仲村課長は一也に、それがデータを見るだけの獣医ならいらないという福原館長の方針であり、イルカのことをよく知っていなければ治療も出来ないと諭すのだった。
 仕事に慣れてきて、3頭の子を産み育てたことから「ビッグマザー」とも呼ばれるイルカのフジにも受け入れられ、一也の沖縄での生活は軌道に乗るが、 東京に残してきた恋人・青山陽子との遠距離恋愛はすれ違い気味・・・・。
 フジに、異変が起きた。尾びれが突然壊死を始めたのだ。 原因不明の壊死は止まらず、体全体に進行するのを防ぐため、一也は獣医として、フジの尾びれの切除を決断する。
 手術は成功し、フジの命は助かった。だが、尾びれの大半を失ったフジは、泳ぐことを忘れてしまったかのように、プールの片隅で浮かんでいるだけになってしまった。 母親に捨てられておじいと暮らし、毎日フジに会いに来ていた少女・玉城ミチルは、言い放つ。「泳げないイルカは、イルカじゃない!」
 一也は、アメリカのタイヤメーカー・グッドイヤーが、鮫に食われて手びれを失ったウミガメにゴム製手びれを作ったことにヒントを得て、 フジに人工尾びれを作ることを福原館長に提案する。 館長の了解を得て、一也は東京のブリヂストン本社に飛んだ。 ブリヂストンは、一也の話を聞いて検討を約束、後日、技術者の須藤から引き受ける旨の回答が届き、人工尾びれプロジェクトが始動した。
 須藤が人工尾びれの開発をする間、イルカは異物を付けられることを嫌う習性を持つことから、比嘉がフジに異物装着訓練を行う。 そして迎えた、試作第1号の装着。フジは、装着されたゴムの尾びれで、泳いだ! この試験を踏まえて、さらに人工尾びれの改良が続く。
 改良型の人工尾びれを付けられたフジは、誰も予想しなかったジャンプまでした。 しかし予想外のフジの行動は、事件をもたらした。 人工尾びれが、フジの運動能力の回復に耐えられず、破損してしまったのだ。 比嘉は、人工尾びれの破損によるフジの負傷を危惧し、プロジェクト中止を主張した。
 プロジェクトは中断したが、一也は比嘉に提案する。 続けるかやめるか、フジに決めさせよう、と。 一同が見守る中、比嘉が手にした人工尾びれを見せると、フジは寄って来た。 〜フジは人工尾びれを欲しがっている。
 人工尾びれプロジェクトは再開した・・・・・・・・・・。
一言
 沖縄美(ちゅ)ら海水族館のバンドウイルカ・フジにまつわる実話を基に制作された、フジが本人(?)役を演じている映画。 本筋は、松山ケンイチ演じる新米獣医・植村一也の成長記であり、人工尾びれ開発プロジェクトの成功談ですが、 高畑充希演じる親に捨てられた少女・ミチルの大きなサイドストーリーや、利重剛演じる仲村と永作博美演じる七海の小さな(そして、ほのぼのとした)サイドストーリーが、 語り過ぎないようにそっと絡ませてあって、巧さを感じました。
 「デスノート」2作で人間性の何か大きなものが欠落したようなLを演じた松山ケンイチが、本作では実に人間臭く一也を演じ、 坂井真紀演じる、一也が落としたボールペンを追ってすかさずプールに飛び込んだベテラン飼育員・望月ユリは凛々しく、 田中哲司演じる、ブリヂストンの須藤勇治は本当に物作りを楽しむ技術者に見え、 主役から脇役まで、それぞれの役者がその役そのものに見えました。 さらには、イルカ達!特にフジ!!まるで、演技指導が理解出来たかのようでした。
 全体的に、好感度の高い作品です。
 この映画で一番気に入ったシーンは、沖縄美ら海水族館の水槽が大写しになるシーンです。 ストーリーには直接関係の無いシーンですが、映画の大きなスクリーンいっぱいに水槽が映し出されると、まるで水族館の中にいるような気がしたのです。 「映画を映画館で観る」ことの醍醐味を感じさせるシーンでした。



学芸員室/映画掛TOPへ戻る