「ジェネラル・ルージュの凱旋」

公開
2009年3月7日
監督
中村義洋
原作
海堂尊
脚本
斉藤ひろし
音楽
佐藤直紀
出演
竹内結子、阿部寛、堺雅人、羽田美智子、山本太郎、貫地谷しほり、野際陽子、国村隼、高島政伸、尾美としのり、 林泰文、正名僕蔵、平泉成、並木史朗、河原さぶ、黒瀬真奈美、佐野史朗、玉山鉄二、 、他
備考
  
物語
 東城大学学部付属病院の不定愁訴外来、通称「愚痴外来」の医師・田口公子。 「チーム・バチスタ事件」を解決(?)した功績で、倫理委員長という分不相応な役職を与えられた彼女に、告発文書が届いた。 救命救急センターの速水センター長は医療機器会社・メディカルアーツと癒着していて、センターの花房看護師長も共犯だというのである。 高階院長に報告した田口は、そのまま、真相解明を命じられてしまった。 早速、救命救急センターをコソコソする田口だが、当然(?)何もつかめない内に、メディカルアーツの磯辺支店長が病院で転落死する事件が発生。 直前に磯辺に嫌がらせを受けていた(ように目撃されたが、ソフトボールの試合の写真を収めたCDを渡されただけ)田口が警察に連行される騒動になったが、 彼女はすぐに釈放、磯辺は自殺したものとされた。
 厚生労働省の大臣官房付技官・白鳥圭輔が、足を骨折して東城病院に入院した。 実は彼にも、速水に関する告発文書が送られており、白鳥は、頼まれもしない田口の協力を買って出た。
 田口宛ての告発文書は、手書きで、共犯者に触れている。白鳥宛ての告発文書は、ワープロ作成で、共犯者のことが書いてない。 告発者は誰なのか?何故2種類の文書が、田口と白鳥に送られたのか?
 速水は、救命救急センター長に就任して5年。 ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)とあだ名される彼は、“金にならない”救急搬送依頼でも決して断らず、 そのためにスタッフは極限まで酷使され、専横的なやり口で、センター内は元より、他科にも、事務局にまで、敵だらけだった。
 「チーム・バチスタ事件」の時と同じように田口を振り回しながら、白鳥は強引に聞き込みして行く。 倫理委員会の副委員長である、精神科の沼田准教授に告発文を見せると、沼田は、倫理委員会の招集をかけることにした。 その夜、田口の片腕のベテラン看護師・藤原真琴に呼び出された、花房美和は、手書きの告発文書を書いたのは自分だと認めた。 センターのゴミ袋に入っていたワープロ作成のミスプリントをみつけて、自分の名を共犯者として書き加えて田口に送ったのだと・・・・。
 速水の他に、佐藤副センター長以下の救命救急センターのスタッフが集められて、倫理委員会が始まった。 速水は、あっさり告発文書の内容は事実だと認めた。ワープロ書きの文書は自分が作ったのだとも。 同時に、救命救急センターの抱える問題〜慢性的な人員不足、いつ医療事故が起きてもおかしくないほどのスタッフのオーバーワーク、 経営的には手出しばかりの赤字状態であること、5年前に約束されていたドクターヘリ導入も実現しないこと〜等々をぶちまける。 メディカルアーツとの癒着も、赤字補填のためだと説明し、花房が証拠となる領収書のファイルを提出した。 速水は辞表を出すが、沼田は懲戒処分を主張、委員会の大勢は沼田を支持するが・・・・田口と白鳥が発見した“証拠”に、騒然となる。
 そこへ、横転したトラックが突っ込んだショッピングセンターで大火災が発生したという知らせが入った。 速水以下、救命救急センターのスタッフは、直ちにセンターに戻る。 速水は、高階院長から全権を委ねられて、非常事態を宣言、病院全体を使って受け入れ態勢を整えた。
 一方、沼田と腹心の講師・小峰がたむろする屋上ヘリポートで・・・・磯辺の転落死事件の真相を、白鳥がおさえた!
 救急車がショッピングセンターから、東城病院に殺到した。 速水の方針で、全て拒否せず受け入れて、臨時処置所にした玄関ホールは、たちまち野戦病院と化す。 速水に任された佐藤によりトリアージが断行され、全ての医師、看護師、事務局員が対応する。 道路は渋滞が発生して、救急車も進めなくなり、病院の中も外も大混乱に陥った。 ストレッチャーが不足して、患者の移送が出来なくなると・・・・ジェネラル・ルージュ=速水と頷き合った花房は、倉庫に走る・・・・・・・・・・・。
一言
 13ヶ月前に公開された「チーム・バチスタの栄光」の、続編。 事件の謎解きが主だった前作とは趣が変わり、医療現場の問題が主である今作は、田口&白鳥の迷コンビぶりに磨きがかかって、 深刻な事実を真面目に題材にしながら、最初から最後まで笑って楽しめる娯楽作品に仕上がっています。 2通の告発文書に込められた思い、磯辺支店長転落死事件の真相、「ジェネラル・ルージュ」の本当の由来、「癒着」で行われていた真実、 ドクターヘリ問題の行方、等々、いろんな伏線が思いがけないところで明らかになったり、オチになったり、お見事としか言いようがありません。
 シリーズの主人公は田口&白鳥コンビですが、本作の物語を引っ張っているのは、速水。 演じる堺雅人の演技が素晴らしく、特に、終盤の「夢が叶った」と言わんばかりの表情は、感動的でした。
 速水の下で働く医師・看護師役の山本太郎、羽田美智子、貫地谷しほりの動きも、よく訓練したのでしょう、 救急救命現場の緊迫感を醸し出していました。
 全ての出演者の中で、演じる竹内結子の程よく“抜けた”名演技(迷演技)の甲斐あって、主役なのに影が薄い(?)田口。 倫理委員長として、癒着事実を究明して下した勧告は、高階院長ならずとも「お見事でした」と言ってしまうような、鮮やかな「大岡裁き」でしたが ・・・・これにより、田口の希望に反して、倫理委員長としての地位は不動のものとなったことでしょう。
 さらなる続編が製作されれば、是非観たいと思います。



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