「群青 愛が沈んだ海の色」

公開
2009年6月27日
監督
中山陽介
原作
宮木あや子
脚本
中山陽介
音楽
沢田穣治
出演
長澤まさみ、佐々木蔵之介、福士誠治、良知真次、田中美里、洞口依子、玉城満、今井清貴、宮地雅子、他
備考
  
物語
〈第1章〉
 沖縄の小さな島、南風原島に、立派なグランドピアノと共に、世界的ピアニスト・森下由紀子が移り住んだ。 ウミンチュ(漁師)の仲村龍二は、由紀子の奏でるピアノの音に心を奪われ、彼女に惹かれる。 龍二が深い海で宝石サンゴを採ってきて由紀子に贈り、2人はつき合い、結婚する。
 やがて龍二と由紀子の間に娘が生まれたが、まだ幼い娘・涼子を残して、由紀子は病死してしまった・・・・。
〈第2章〉
 涼子は、島に数少ない子供、同い年の上原一也と比嘉大介と仲良く成長する。 18歳の春、3人は、それぞれの道を決めた。 一也はウミンチュの修行、大介は本島・那覇の芸術大学へ進学、そして涼子も看護師を目指して本島へ。
 大介の家は、この機会に家族みんなで那覇に移住することになり、壮行会が開かれる。 その夜、一也が涼子に向けて愛の歌を歌い、2人は付き合うようになった。 実は涼子が好きだった大介は、失意の内に、島を去る。
 一也は、龍二に、涼子との結婚の許しを請うたが、龍二は認めなかった。 一人前のウミンチュとして認められようと、かつて龍二が由紀子のためにしたように、宝石サンゴを採ってこようと考えた一也は、 深海に潜り、行方が分からなくなり、龍二達が捜索して・・・・水死体で発見された。
 一也の死を受け入れられない涼子は、精神のバランスを崩してしまう・・・・。
〈第3章〉
 1年ぶりに帰島した大介が目にしたのは、虚ろで、廃人のような涼子だった。 島の伝統的焼き物を再現することを理由に帰って来た大介は、仲村家に寄宿、龍二から、京子が一也を失ったショックで入院し、退院後も、 母・由紀子の遺品であるピアノが置かれている離れに籠もって、思い出の中だけに生きる人になってしまったことを聞かされた。 大切なピアノは、涼子が乱打して島中に騒音迷惑をかけたため、龍二が断腸の思いで弦を切っていた。 事実に衝撃を受け、涼子のことを気にしながら、何も出来ない大介は、焼き物に打ち込む。
 ある日、涼子が離れから出てきて、大介の作業に興味を示した。 大介が手伝って、涼子作の花瓶が完成すると、2人は花瓶を携えて、一也の母・和恵が一人で暮らす家を訪ねる。 そこには、一也と共にあり、笑顔で溢れていた頃の涼子の写真があった。 しかし涼子は今も、生気のないままだ。
 大介は、一大決心をした。一也が採ってくることが出来なかった宝石サンゴを、採ってこようというのである。 だが大介は海に出たまま行方不明になり、龍二と島の人々は海を探し回る・・・・・・・・・・。
 一方、涼子がたたずむ離れには、突然風が舞い込み、楽譜をまき散らした。 それは、亡き母・由紀子が書き遺した、「Ryoko」と題された曲・・・・・・・・・・。
一言
 沖縄が舞台の映画ですが、沖縄らしいカラリとした空気感は無く、むしろ陰があり、風の音が印象的です。 そして、文学的な香りが強く漂う作品です。どことなく、雰囲気には、「奈緒子」(2008年)に近いものを感じました。
 酸素ボンベ無しで海に潜ってどれだけの時間生存していられるのかとか、クライマックスで涼子の部屋で起きたこととか、 非現実的なところが少々気になりましたが、そこはあまり突っ込んではいけないところでしょう。
 「責めるな」〜劇中の、大切な人を失った人の後悔や喪失感に対する、失われた人からのこのメッセージは、 スクリーンの前でも救いになった人がいるかもしれません。
 興行的にはどうだか分からないけれど、ここ2、3年の長澤まさみ主演作(出演作)の中では、一番質の良い映画だと思います。



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