| 公開 |
2004年1月10日 |
| 監督 |
佐々部清 |
| 脚本 |
田部俊行、佐々部清 |
| 音楽 |
寺島民哉 |
出演 |
寺尾聰、原田美枝子、柴田恭兵、吉岡秀隆、鶴田真由、國村隼、井原剛志、石橋蓮司、嶋田久作、斉藤洋介、中倉育二、豊原功輔、
田山涼成、本田博太郎、笹野高史、西田敏行、樹木希林、高島礼子、田辺誠一、井川比佐志、奥貫薫、奈良岡朋子、高橋一生、他 |
| 備考 |
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| 物語 |
現職警部・梶聡一郎が、妻・啓子を自宅で絞殺したと、自首した。
彼は妻に頼まれて殺害したこと(=嘱託殺人)自体は自供したが、殺害は3日前。自首するまでの2日間については黙して語らない、「半落ち」止まり。
別の事件の犯人の急襲に向かっていた県警捜査一課の志木和正が呼び出され、取り調べに当たらされた。
梶は、7年前に一人息子・俊哉を急性骨髄性白血病で亡くし、さらに妻がアルツハイマー病を発症して、半年前に刑事を辞して警察学校で後進の指導に当たりながら、妻の看病に当たっていた。
その梶が、何故妻を殺したのか。志木の取り調べにも梶は沈黙を守る。
そうこうする内に、妻殺害後に梶が東京行き新幹線のホームにいたことがマスコミへのたれ込みで明らかに。
現職警部の事件が大きくなることを恐れた県警幹部は、梶に“空白の2日間”は死に場所を探して県内を歩き回っていたと供述させるよう、志木に命じた。
梶が何も言わないのは、何かを隠しているが嘘が付けない人だからだと察した志木は抵抗するが、結局梶は「完落ち」しないまま、捏造された供述と共に送検された。
検察の担当検事・佐瀬銛男は、調書の供述が捏造だと見抜いた。
佐瀬は県警に啖呵を切り、それを偶然聞いた東洋新聞の記者・中尾洋子がスクープをものにしようと動き出す。
だが検察は、内部の不祥事が刑事事件に発展したため、県警と取引せざるを得なくなり、佐瀬も不本意ながら矛を収め、舞台は裁判所に移ることに。
うだつの上がらない居候弁護士・植村学は、この事件の弁護で名を挙げようと目論んで、「啓子は梶さんを恨んでないと思います」と記者に語った啓子の姉に頼んで、梶の弁護士に収まった。
梶と接見した植村は、やはり真実を語らない梶に「あなたには、守りたい人がいませんか?」と言われ、野心ではない感情にとらわれる。
梶の裁判の主任を務める判事・藤林圭吾は、妻と共にアルツハイマー病の父を介護しながら生活している。
だから彼は、アルツハイマー病の妻を殺した梶の事件に、特別な気持ちを抱いていた。
そんな藤林を、先輩判事・辻内はたしなめる。
第1回公判は、捏造された事実を基に、真実を語らないままの被告人・梶、熱の冷めた弁護士・植村、牙を抜かれた判事・佐瀬、そして判事達の間で淡々と進んで、第2回で結審することになった。
一方で、記者・中尾は真実を追っていた。
梶が妻と共に、俊哉の死後、ドナー登録していたこと。梶が骨髄を提供した少年がいること。
啓子の姉が保管していた、啓子の日記。
啓子の日記に貼られていた、骨髄提供を受けて命を得て、東京新宿歌舞伎町のラーメン屋で働いている少年の新聞への投書の切り抜き。
第2回公判。
傍聴席には、志木が、ラーメン屋で働く少年を連れて駆けつける。
証人として出廷した啓子の姉は、「私は啓子を殺してやることも出来なかった」と泣き崩れた。
結審を前に、佐瀬が啓子の日記を手に、梶に迫る。植村も、本当のことを話すべきだと叫ぶ。
藤林までも、梶に問う。
「人が壊れるとはどういうことですか?」「魂が無くなった命は命ではないのですか?」
「そんな裁きを決めるのは、あなたでも私でもない!」
藤林は自宅で、アルツハイマー病の父をみつめながら、判決を起草した。
裁判所で、読み上げられた判決に、傍聴席にどよめきが・・・・・・・・・・
※上の空白部分は、結末のネタばれになるので、文字色を背景と同色にして、読めなくしてあります。
既に見ているから大丈夫、あるいは気にしないという方ば、マウスでドラッグすると、文字が白色に反転して、読めるようになります。
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| 一言 |
静寂で、濃密で、重厚な映画。
自首した梶の「半落ち」から始まって、空白の2日間を巡って警察、検察、マスコミ、弁護士、裁判所が奔走し、翻弄され、最後に「命」とは何かを問う物語でした。
藤島が書いた判決は、梶が黙し続けたのは、暴かれるべき事実ではなく、守られるべき真実であると気付いた上で、
しかしどんな命であれ人の手で奪ってはならないという信念の表れであると同時に、
実刑により身柄を拘束することによって自殺の機会を与えず、梶に生き続けて欲しい(梶もまた命を全うすべきである)という彼の祈りでもあるのだと思います。
骨髄移植とドナー登録、アルツハイマー病と介護制度といった、難しい問題を織り交ぜながら、静かな映像に、人の思いをしっかり映し止めた、良作です。
形式上の主人公は梶ですが、彼を取り調べた刑事・志木、県警の事実捏造を見抜いた担当検事・佐瀬、隠された事実の存在を知り取材に当たった新聞記者・中尾、
名を挙げようと弁護を引き受けた弁護士・植村、そして、梶同様アルツハイマー病の家族を抱える判事・藤林と、事実上の主人公はリレーされる面白い形式。
しかし一人一人の思いも存在感も薄まることなく、それぞれが際立つことで、この映画は濃密なものになっています。
そして、志木も佐瀬も中尾も植村も藤林も、良心に後押しされるように、自らの立場からちょっとずつ逸脱して、梶事件に、梶聡一郎その人に関わっていくところに、
静けさの中にも熱いものを感じるのです。
さらに、ここでいう人の思いは、主要登場人物だけのものではありません。
例えば、事実を捏造した県警上層部や、県警と対決することに尻込みした検察の事務官といった、悪役(あるいは、つまらない人物)になってもおかしくない人達も、
ただ己の保身を図っているのではなく、守るべき家族、守るべき家族の生活を背負っていて、だから必死なのだと明示することにより、
悪役に堕すことなく、それぞれ思いを持った生身の人間としての存在感を発揮しています。
その他も、端役に至るまできちんと「思い」が込められていて、映画に厚みが感じられるのです
又、演じる俳優達の演技も、素晴らしいです。
アクションもCGを駆使したシーンも無い分、俳優一人一人の演技がじっくり撮られていて、
監督は俳優の力を余すところ無く引き出したのだろうと思えるくらい。
どのシーンも、息を殺してスクリーンを食い入るように見詰めました。
※上の空白部分は、結末のネタばれになるので、文字色を背景と同色にして、読めなくしてあります。
既に見ているから大丈夫、あるいは気にしないという方ば、マウスでドラッグすると、文字が白色に反転して、読めるようになります。
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