「引き出しの中のラブレター」

公開
2009年10月10日
監督
三城真一
脚本
藤井清美、鈴木友海
音楽
吉俣 良
出演
常盤貴子、本上まなみ、萩原聖人、吹越満、伊東四朗、六平直政、林遣都、豊原公輔、仲代達也、水沢奈子、片岡鶴太郎、 八千草薫、竹財輝之助、中島知子、西郷輝彦、岩尾望、他
備考
  
物語
 久保田真生は、ラジオのパーソナリティー。今日も番組の中でリスナーの葉書を紹介する。 北海道のラジオネーム「2組のハヤミ」の、全く笑わない祖父と父が仲違いしているのを何とかしたくて、祖父を笑わせるにはどうしたらいいだろう、 という相談には、真生は言葉が出ず咄嗟に、リスナーに意見を募集してしまう。
 真生自身、この仕事に反対する父と疎遠になったまま、父を亡くして間もなかったのだ。 生前の父の手紙を、真生は今も開封出来ずに、引き出しにしまったままでいる。
 「2組のハヤミ」こと早見直樹の祖父・恭三は、40年以上前に妻に家を出られて以来、笑顔を失っている。 直樹の父・健一は栄転が決まり、直樹は早く二人を仲直りさせたい。 真生の番組に他のリスナーが寄せたアイディアを、同級生達と実行してみたが、全然効果無く、恭三と健一はますます険悪に・・・・。
 直樹の手紙で事態を知り、真生は北海道に飛んだ。 直樹に会い、恭三に会い、直樹の周囲の人達に会い、思いをきちんと伝えられずにいる様を見て、真生の心にも変化が。 東京に帰った真生は、引き出しから亡き父の手紙を取り出し、ようやく読んで、父の本当の気持ちを知った。
 ラジオネーム「恋する戦士」こと中倉晃平は、大病院の跡取り息子で、年上の恋人との結婚を両親に反対され、彼女とも連絡がつかなくなっている。 下着ショップの経営者・松田由梨は、独身だが妊娠中で、母・晶子の心配をよそに、一人で生み育てるつもりでいる。 タクシードライバーの稲村太郎は、長崎から東京に出てきて道が分からず客に怒鳴られてばかりで、故郷に残した家族に電話で当たり散らすことを繰り返している。
 真生は、ラジオ局に、企画署〜大切な人に思いを伝える特別番組、「引き出しの中のラブレター」〜を提出した。 それは社長の裁断で採用され、放送日も決まる。
 真生は、再度、恭三を訪ね、特別番組宛てに、手紙を書いて送ってくれるよう頼んだ。
 「引き出しの中のラブレター」の放送日。恭三からの手紙が来ないまま、番組は始まった。 リスナーから寄せられた手紙を、真生が次々に紹介する。
 その時間、晃平は両親に自分の意思を宣言して年上の恋人を捜して走る。 由梨はいよいよ出産の時を迎え、晶子は彼女についていた。 太郎にも、思わぬことが・・・・。
 番組終盤。局内の別の部署に紛れ込んでいた恭三の手紙がみつかり、最後に紹介する手紙を急遽変更して読むことになる。 その、恭三の手紙の文面は、真生の全く思いを寄らないものだった・・・・・・・・・・
一言
 常盤貴子演じるラジオのパーソナリティー自身のエピソードを中心に、 関係がギクシャクしたままの親子3代、 故郷を離れて東京で出稼ぎ中のタクシードライバー、 シングルマザーになろうとしている妊婦とその母、 両親と年上の恋人の間で悩む青年、等のエピソードが並行して描かれる群像劇で、 クライマックスの仕掛けがラジオ番組であるところから、「泣きたい時のクスリ」を連想しました。
 「こうなるんだろう」と思っていたことが、ちょっとずつ違う展開(結末)で、上手く脚本を作っていると思います。 無関係に進行していたエピソードが最後に繋がって一つになることはよくあるけれど、本作の場合、予想外の繋がり方をしたのも、楽しめました。
 エンドロールの間も物語は続いて、エンドロールの後にもう少しシーンがあり、ラストシーンは、いい感じだと思います。
 題名は「引き出しの中のラブレター」ですが、恋文に限らず、「引き出しの中にしまったまま伝えていない、大切な人への思い」くらいの意味に理解するのが良いのでしょう。



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