「ICHI」

公開
2008年10月25日
監督
曽利文彦
原作
子母澤寛
脚本
浅野妙子
音楽
リサ・ジェラルド
出演
綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介、柄本明、竹内力、島綾佑、利重剛、佐田真由美、杉本哲太、横山めぐみ、渡辺えり、 山下徹大、斉藤歩、手塚とおる、土屋久美子、並樹史朗、他
備考
  
物語
 人捜しの旅をする離れ瞽女(盲目の旅人)の市は、美籐宿という宿場町にやって来た。 市は、成り行きで二度、刀を抜けない旅の侍・藤平十馬の代わりに、ならず者達を、杖に仕込んだ刀で斬り捨てる。 ならず者は、美籐宿を荒らす万鬼党の一味。 美籐宿を仕切っている白河組の組長・長兵衛の息子・虎次は、斬ったのが十馬だと勘違いして、用心棒として十馬を雇う。 市は、彼女に懐いた子供・小太郎とその父・喜八が暮らす家に寄宿した。
 万鬼は、根城に運ばれた手下の骸を見て、逆手一文字の使い手の仕業だと気付いた。 そしてその技に、心当たりが一人だけあった。
 十馬は、市に木刀で立ち合いを申し込んで、勝ってみせ、小太郎を驚かせた。 実は十馬は、下総の藩の、れっきとした剣術指南役の家の嫡男で、剣の腕も相当立つのだが、少年時代に事故で母を失明させてしまい、 以来、刀を抜けなくなって、家にいられずに旅をしているのだった。
 長兵衛は、万鬼党を駆逐するために力を借りようと、見回りで美籐宿に立ち寄った関八州回りを接待する。 そこへ、万鬼の片腕・伊蔵が率いる一団が襲いかかり、大混乱に。 長兵衛が殺され、虎次も傷を負い、刀を抜けない十馬が白河組を失望させた時、市が現れて、万鬼党を10人程鮮やかに斬った。 そして、前に万鬼党を斬ったのも自分だと宣言して、根城に連れて行かれた。
 万鬼は、幕府の剣術指南役候補になった程の武士だったが、顔に大火傷を負って、片目と出世を失い、野党になり果てた男だった。 又、かつて逆手一文字の使い手の、盲目の男と闘ったことがあった。 その盲目の男こそ、市が捜している人物で、市に逆手一文字の剣を教えたのも彼だった。 市は、父かもしれないし違うかもしれない、盲目の男の手がかりを求めて、万鬼と会うためにわざと捕まったのだ。 手下を斬ったのが女であることに驚いた万鬼は、盲目の男は決着を付ける前に死んだと告げた。 そして、代わりに決着を付けようと、市と立ち合う。 市は敗れ、傷を負い、洞窟の牢に閉じ込められた。
 市を救出したのは、十馬だった。喜八と小太郎の家に、衰弱して意識の無い市を残して、十馬は白河組に戻る。
 組長の長兵衛を殺されて、面子を潰された白河組は、万鬼党に決戦を挑む覚悟を固め、根城を出て総力で襲いかかる万鬼党と、果敢に闘った。 十馬は白河組陣営に加わっていたが、この期に及んでも刀を抜けず、物陰に身を隠す有様・・・・。 闘いが一段落した時、白河組は壊滅に近い状態だった。
 市を連れて行った十馬を、万鬼が挑発する。十馬の刀はようやく抜け、激しく斬り結ぶ。 目を覚ました市は、“戦場”へと向かう・・・・・・・・・・。
一言
 視力の無い世界で「生きているのか死んでいるのか分からない」市に、不注意で母親の視力を奪ったことが心の傷になって刀を抜けなくなってしまった十馬と、 片目を失って人生が狂った万鬼が、引き寄せられるように集まり、絡まる、壮絶で凄惨な物語。
 ・・・・ですが、この映画の面白さは、市にかかっています。 勝新太郎の当たり役を、女性に置き換えた、今作の市が、襲いかかる屈強の男共をバッサバッサと斬って捨てる、その痛快さ! ボロボロの着物をまとい、感情も廃したような、盲目の剣の達人を、主演の綾瀬はるかが見事に演じていました。 この、綾瀬はるかの市を見るだけでも、この映画を観る価値があると思います。
 ラストシーンは、続編を意識しているのでしょうか。 もし続編が制作されるなら、当然主演は綾瀬はるかであって欲しいし、そうなればまた観たいものです。



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