「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCES」

公開
2008年5月10日
監督
樋口真嗣
脚本
〈オリジナル脚本〉菊島隆三、小國英雄、橋本忍、黒澤明  〈脚色〉中島かずき
音楽
佐藤直紀
出演
松本潤、長澤まさみ、阿部寛、宮川大輔、椎名桔平、甲本雅裕、高嶋政宏、国村隼、KREVA、黒瀬真奈美、生瀬勝久、 古田新太、上川隆也、他
備考
  
物語
 戦国時代。海に面した大国・早川と同盟関係にあった秋月が、軍事力に勝る山名の武将・鷹山刑部率いる軍勢の攻撃に耐えきれず、落城した。
 城に残されている筈の黄金の採掘に駆り出されていた金堀の武蔵は、可燃性ガスの爆発のどさくさに脱出、付いて来る木こりの新八と一緒に逃げる。 山奥の川で、2人は金が仕込まれた薪を発見、大はしゃぎするが、野伏せりに捕らえられてしまう。
 野伏せりの正体は、秋月の侍大将・真壁六郎太。 城代家老の長倉和泉と共に、秋月の最後の後嗣・雪姫を守って隠し砦に籠もり、姫と軍資金の黄金百貫を早川領に移し、秋月を再興する策を練っていた。 解放されようと必死の武蔵は、敵の裏をかいて一旦山名領に出てから早川領を目指す案を六郎太に提示し、長倉はその案を採用。 六郎太は、男装した雪姫と、六郎太と新八と、金を仕込んだ薪の荷と共に、隠し砦を出発。 ほどなく、隠し砦は山名勢の襲撃で陥落したが、一行は先へと進んだ。
 隠し砦で死んだ長倉は、雪姫も死んだように偽装していたのだが、忠臣の六郎太がそこにいなかったことから、雪姫は生存して逃亡していると確信、探索の手を緩めなかった。
 山名の警戒網を、ある時は知恵で、ある時は腕ずくで、突破して進む一行。 六郎太は、事実を隠して武蔵と新八を利用したかったのだが、男装している雪姫が女であることも、雪姫が秋月の後嗣であることも、武蔵達に知られてしまった。 騙されて危険に巻き込まれた武蔵達は怒るが、雪姫は「裏切り御免」と詫び、改めて協力を懇願。 一行は何とか、山名と早川の国境近く、荒羅祇山に入る。
 荒羅祇山ではちょうど、早川の領民達が夜通し踊り明かす火祭りが行われるところだった。 武蔵は、この祭りに紛れて逃げ切るつもりだったのだが、不介入の習いを破って、燃えさかる炎の周りを民衆が歌い踊る場所へ、山名勢が踏み込んで来た。 包囲されて、抵抗しようとする武蔵を一刀で倒した後、六郎太は雪姫と共に捕らえられた。
 捕らわれの身となった六郎太と雪姫は、早川領との国境近くに建設中の、山名の隠し砦に連行された。 うまく逃げていた新八も、火祭りの焚き火の消えた跡で、他の薪と一緒に燃えた、“薪に仕込まれていた金”を探して、自分達が運んでいたのが金ではなく鉛だったことに気付いて 落胆したところを、捕らえられて、隠し砦に連れて行かれた。
 武蔵は、意識を取り戻して、六郎太の一撃は峰打ちであったことと、瞬時に六郎太の大切な小刀が懐にねじ込まれていたことに気付いた。 六郎太が自分に託したことを理解して、武蔵は山名の隠し砦に向かった。
 その頃、隠し砦では刑部が、六郎太と雪姫から軍資金の所在を聞き出そうとしていた・・・・・・・・・。
一言
 黒澤明監督作品を、脚本を変えてリメイクされた作品。 基本設定はそのままに(武蔵は、オリジナルの登場人物)、前半は黒澤版と近く、途中から黒澤版から離れ、火祭りから先は完全オリジナル。
 50年前の脚本をそのまま再映像化するのではなく、現代流に脚色したのは、悪い判断ではないのですが、やり過ぎではないかと思われるところもあります。 特に、CGを駆使した山名の隠し砦や、ど派手な爆発は、どうかと。 攻勢をかけようとしている山名が、隠し砦=追い込まれた時に逃げ込んで、身を隠して立て籠もる拠点を建設するのは不自然だし、 一応「戦国時代」という舞台設定の時代劇である以上、守るべきフォーマットはあると思うのです。
 オリジナル作品の名台詞「裏切り御免」が、今作では2回使われています。 2回目は、1回目があったからこそ出てきた(1回目がなければ出なかった)のですが、伏線となる肝心の1回目は、不自然な使われ方だと感じました。
 六郎太役の、長身の阿部寛の殺陣は豪快で見事だし、男勝りの姫を演じた長澤まさみも、今までにない太い発声で熱演し、新八役の宮川大輔も、 オリジナル作品の2人組の“意地汚さ”を一身に背負う怪演で、役者の演技は見物でした。 又、軍資金の(真の)輸送方法も(オリジナル作品とは違う)、あっと驚かされるものでした。
 面白い映画にしようという作り手の思いが、過剰になって空回りしている感はあるものの、地道な部分では健闘していて、楽しめる娯楽映画ではあります。



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