| 公開 |
2007年6月16日 |
| 監督 |
荻島達也 |
| 原作 |
乙一 |
| 脚本 |
金杉弘子 |
| 音楽 |
大谷幸 |
出演 |
成海璃子、小出恵介、片瀬那奈、石川伸一郎、高田延彦、羽田実加、坂田梨香子、中野英雄、古手川祐子、八千草薫、岩城滉一他 |
| 備考 |
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| 物語 |
横浜に住む高校生の相原リョウは、友達がいなくて、携帯電話を持っていない。
ある日、公園でおもちゃの携帯電話を拾ったが、それが不思議な物で、置いた場所から消えたり、別の場所に現れたり、保健室で休んでいる時に鳴ったり!
恐る恐るリョウが電話に出ると、向こうでも、電話が繋がったことに驚いていた。
相手の名は、野崎シンヤ、長野に住む青年。
いつの間にか、おもちゃの携帯電話は消えてしまったが、「頭のケータイ」はリョウとシンヤを繋いでくれる。
何故か1時間の時差がある2人は、しばしば話しをするようになった。
リョウのかけた「頭のケータイ」が、偶然、別の人に繋がった。
「『頭のケータイ』は久しぶり」だという相手の大人の女性「原田さん」は、時々リョウの話し相手になってくれた。
リョウは、話そうとすると声が裏返って笑われ、うまく話せなくなり、授業の朗読が大の苦手だった。
シンヤは、ちゃんと声が出ていると言ってくれるが、リョウはその言葉を受け入れられなかった。
「私なんかいなくなっちゃえばいい!」
シンヤの提案で、二人は、ちょっと変わったデートをした。
シンヤが中学2年生まで住んでいた鎌倉を、長野にいるシンヤの声の案内で、リョウが歩く。
時差と距離があっても、二人は一緒に歩いているようだった。
途中、マリンショップに寄って、リョウは、主人の戸田からシンヤが預けていた荷物を受け取った。
戸田は、今はリサイクルショップで働いているシンヤは、子供の頃から壊れた物を拾ってきては修理するのが好きで、
「直してもらった物は、直してくれた人のことを覚えている」と考えていた、と話してくれた。
荷物の中身は、シンヤが修理したラジカセだった。
カセットテープに声を吹き込んで、送って欲しい、というのがシンヤの願い。
リョウは海辺で、ずっと出したことの無かった、大きな声をラジカセに向けた。
「シンヤさーん、聞こえますかー、夏になったら、あなたに会いたいです!」
リョウは、少し変わってきた。
ずっと避けていたピアノを弾いてみたり、授業の朗読がちゃんと出来て先生に誉められたり。
シンヤが、リサイクルショップの仕事で、東京に行くことになった。
その機会に、リョウはシンヤと会う約束をした。
当日、ちょっとおしゃれをして、待ち合わせ場所に向かうリョウ。
シンヤに会うことをためらっていたのを、会いたいと思ったら会うべきだと背中を押してくれた「原田さん」に、「頭のケータイ」で報告すると、
雑音混じりの中、彼女は妙なことを言った。
「これだけは覚えておいて、これから何があっても、あなたなら乗り越えられる」・・・・!?
先に待ち合わせ場所に行く予定だったリョウは、バスが渋滞で遅れて、シンヤが先に着いて待っていてくれることになった。
約束の午後3時、バスを降りたリョウは、周りを見回しながら歩き・・・・突然突き飛ばされた。
車にはねられそうになったのを、助けられたのだが、助けてくれた男の人は、代わりにはね飛ばされてしまった。
聞いたことのある特徴の腕時計を見て、リョウは、彼こそシンヤだと悟った。
病院の一室で、シンヤの亡骸を前に泣くリョウだったが、時計を見て“まだ間に合う”ことに気付き、急いで「頭のケータイ」をかけた。
待ち合わせ場所に向かう途中の、「1時間前」のシンヤに、リョウは、会うんじゃなかった、と告げる。
戸惑うシンヤに、リョウはひどい言葉を並べて、彼に失望したと言うのだが、シンヤは彼女の嘘を見抜く。
声も嫌いだと言ったリョウは知らなかったが、シンヤは、話すことが出来ないのだ!
真実を話しても待ち合わせ場所に向かい続けるシンヤを止めようと、リョウは必死に懇願し、とっさに別の嘘をつく・・・・・・・・・・。
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| 一言 |
「頭のケータイ」は、分かりやすく言い換えると「テレパシー」なのでしょうか。
ただし、何故か1時間の時差があるのに、「今」のリョウと「1時間後」のシンヤが普通に会話するという、不思議。
本作の軸を為す、このSF的な設定は、あえて深く考えず、話し相手を求めていた二人の心が生んだ奇跡と、さらりと受け入れて鑑賞するのが良いでしょう。
とても印象的なのは、前半で「頭のケータイ」が通じるようになってから、終盤に至るまで、ほとんどリョウとシンヤの会話で映画が進行することです。
「頭のケータイ」だから口を動かす必要は無く、映像に乗せてナレーションのように言葉が交わされていて、二人が四六時中会話をしているかのようでした。
そして、合間合間に二人それぞれの出来事が挿入されているようで、何だかゆったりした進行です。
終盤は一転して、事故を巡る、手に汗を握る展開に。
ここで、それまでの何気ないシーンや、リョウとシンヤの会話の内容が次々に伏線として活きてきて、巧さを感じました。
さらに、小道具一つで「原田さん」の正体が分かり、リョウの未来も垣間見えるに至っては、伏線の使い方に脱帽です。
物語自体は、どこか心が壊れていた少女が、壊れた物を直すのが得意な青年によって“直る”、心温まる話し。
悲しい出来事が一つだけ起きるけれど、少女の未来がちゃんとしていることがほのめかされていて、さわやかに希望の持てる映画です。
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